電子版1~9巻が一挙配信開始!約1年ぶり『カゲロウデイズ』コミカライズ最新9巻では、更なる核心に迫る――

マンガ

更新日:2017/6/2

『カゲロウデイズ』(漫画:佐藤まひろ、原作:じん(自然の敵P)、キャラクター原案:しづ・わんにゃんぷー/KADOKAWA)

『カゲロウデイズ』『チルドレンレコード』『夜咄ディセイブ』『ロスタイムメモリー』などのVOCALOIDを使用した名曲をはじめ、ライトノベルやコミックス、TVアニメまで幅広い展開で絶大な支持を得ている『カゲロウプロジェクト』、通称“カゲプロ”。音楽家である「じん(自然の敵P)」が中心となって繰り広げるカゲプロの世界は、初音ミクやAIの声でニコニコ動画を中心に広められ、今や完全に確立した地位を得ている。書籍関連の売り上げもシリーズ累計850万部を突破しており、その人気は留まるところを知らない。

 そんなカゲプロのコミックス『カゲロウデイズ』(漫画:佐藤まひろ、原作:じん(自然の敵P)、キャラクター原案:しづ・わんにゃんぷー/KADOKAWA)の最新刊9巻が、1巻~8巻と合わせ一挙2017年3月27日に発売された(電子版も同日配信)。そこで、改めてこの物語を振り返ってみようと思う。

 物語は、引きこもりの少年・シンタローのキーボードが壊れたことから始まる。彼のパソコン内に住んでいる謎の電脳少女・エネとの言い合いで、キーボードにコーラをこぼしてしまったのだ。この日は8月14日とお盆真っ只中で、ネットショップからの配送は早くて2日後。ネット中毒のシンタローにとって、パソコンが使えないなんて生命線を断たれたも同然だ。2日も待てない。やむを得ず、彼はキーボードを買うために外出を決めたのだった。

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 外に出たのは2年ぶり。うだるような暑さの中、なんとか店へ辿り着いた彼だったが、なんと店内でテロリストの人質として捕まってしまう。そこで、人質でありながらへらへらと笑いながら話しかけてくる変な少年と出会った。実はその少年・カノは、赤い目を持つ異能力者集団「メカクシ団」の1人。テロリストたちの気付かないところで、メカクシ団の団員たちが着々と人質解放の準備を進めていたのだ。そこにシンタローとエネの作戦も加わり、見事テロリストを撃退した。
 この一件がきっかけで、シンタローとエネもメカクシ団に加入することとなった。団員の中には、なんと彼の妹・モモもいた。アイドルとして活動しているモモには、昔から人の「目を奪う」能力があったのだ。これらの出会いは、偶然起こったこと……のように思えたのだが、しかし、実は偶然ではなかった――。

 本作品は、様々なキャラクターたちの様々な視点で描かれており、読めば読むほど裏が見えてくる。そしてその中心にあるのが、タイトルにもなっている「カゲロウデイズ」という呪われた世界。「カゲロウデイズ」とは、一体何なのか。誰がどうやって、何の目的で作ったものなのか。その答えは8巻で明かされる。

 最新刊の9巻では、団員たちの幼少期や、団員の1人であるマリーとの出会い、そして「カゲロウデイズ」の更なる秘密が描かれている。じわじわと明かされる、仕組まれた運命と出会い。団員たちは、これからどうなっていくのか。「カゲロウデイズ」から解き放たれる日は来るのか。
 カゲプロの楽曲を知っている人でも、物語として読むことで気づくことがたくさんある。むしろ、知っていれば知っているほどゾクゾクする。6年以上に渡って愛され続けているカゲプロの世界を、コミックスでより具体的に脳裏に焼き付け、あらゆる角度から思いを馳せてみては?

文=月乃雫