言葉の選び方ひとつで周りの見る目が変わる! 職場で一歩リードするための上手な日本語の使い方とは?

ビジネス

公開日:2017/3/31

『「参考になりました」は上司に失礼! 入社1年目の国語力大全』(日本エスプリ研究会/宝島社)

 日本人なら誰もが子どもの頃から慣れ親しんでいるはずの日本語だが、案外大人でも正しく使えていないことが多い。中には間違った意味で覚えてしまい、とんでもない場面で使って、相手を怒らせてしまうような人もいる。そこで、職場での正しい言葉の使い方が分かる本『「参考になりました」は上司に失礼! 入社1年目の国語力大全』(日本エスプリ研究会/宝島社)を取り上げる。

アドバイスに対する感謝は大げさなくらいがちょうどいい

 上司や先輩からアドバイスをもらったとき、感謝のつもりで「ありがとうございました。とても参考になりました」などと言ってはいないだろうか? もし、そんな言い方をしていたらすぐにでも直した方がいい。おそらく、言っている本人は本気でアドバイスを参考にして自分なりの答えを出すつもりなのだろうが、言われた方は「えっ? せっかくアドバイスしたのに、参考程度なの?」とがっかりしてしまう。だから、こういうときは、「ありがとうございました。大変勉強になりました」とはっきり感謝していることが分かる表現を使うようにしたい。結局アドバイスをもとに自分なりの考えで結論を出すことには変わりはないのだが、受け手が感じるニュアンスが大きく違う。相手にとって気持ちよく感じられる言葉を選ぶのが大人の国語力なのだ。

上司を上からほめると嫌味になる

 職場などで、自分よりも目下の人をほめるのは簡単でも、目上の人をほめるのはけっこう難しい。上司に対して下手なほめ言葉を使うと、あからさまなゴマすりに見えてしまうし、選ぶ言葉を間違えると思いっきり嫌味になってしまうからだ。例えば、「部長、見直しました!」「さすがにお上手ですね」などと言ってしまいがちだが、言われた部長はきっと心の中で「君、部下なのに何様のつもり?」と感じているに違いない。なぜなら「これまで大した人ではないと思っていたのに意外とやりますね」と言っているようなものだからだ。こういうときは、「部長、改めて恐れ入りました!」「さすがですね。格が違います」などという言い方をした方がいい。上司だってほめられること自体はうれしいはずだ。しかし、明らかに目下の人から見下されるような言葉をかけられるとカチンときてしまう。職場での関係を円満に保つなら、さりげなく下から持ち上げるようなほめ言葉を選んで使えるようにしておきたい。

advertisement

冠婚葬祭のときほどボロが出やすい

 仕事上の言い回しは、間違いを訂正しながらでも少しずつ身につけていけるものだが、冠婚葬祭で使う表現は、年齢が高くなっても意外と間違ったままになっていることが多い。なぜなら、冠婚葬祭での言葉は、間違って使ってもその場で周りから指摘されないことが多いからだ。正しいつもりで使い続けてしまうと、間違っていることにも気づかないまま使い続けることになる。例えば、お通夜や葬儀の席で、「90歳まで生きられるとは大往生でしたね」などと言ってしまいがちだが、遺族に対して「大往生だった」「天寿をまっとうされた」などと言うのは失礼に当たる。これらの言葉は遺族が言う言葉だからだ。もし、参列した側が言うとしたら「もっと長生きしていただきたかったのに残念です」という言い方になる。

言葉をどう言い換えるかで差が付く

 日本語はどんな言葉に言い換えるかで似たような言葉でも受け手のニュアンスが変わる。例えば、「それって間違っていませんか?」などとストレートな言い方をすると相手の逃げ場が無くなってしまうが、「もし私の記憶違いだったら申し訳ないのですが…」と言い換えるようにすると、間違った相手も素直に謝りやすい。ビジネスでも日常生活でも、相手やシチュエーションにふさわしい言葉を選ぶことが重要だ。この本には1000以上の例文が載っていて、漢字の使い分けやカタカナ言葉の言い換えまで○×式で分かりやすく説明されている。入社1年目の新入社員だけでなく、新入社員の前で恥をかきたくない先輩社員にも必携の1冊だ。

文=大石みずき