各新聞をキャラ付けしたら? 社説の「口癖」って? 時事芸人が教える痛快&ディープな読み方

ビジネス

2017/4/7

『芸人式新聞の読み方』(プチ鹿島/幻冬舎)

「難しそう…」と敬遠していたが、就職活動が始まるからと、新聞を慌てて読み始めた私。「文字ばっかりでイヤ」「小難しい言葉だらけ」「取っつきにくい」というイメージを持っているのは学生時代の私だけではないはず。そんな新聞がもし“面白く”読めたなら、毎日がほんのちょっとだけ楽しくなるかもしれない。

 そんな新聞の面白い読み方を伝授してくれるのが、『芸人式新聞の読み方』(プチ鹿島/幻冬舎)だ。著者のプチ鹿島氏は一般紙・スポーツ紙・タブロイド紙などを幅広く読んでいる、芸人随一の新聞エキスパート。芸人ならではの解説と新聞各紙へのイジりに思わずクスリとなる一冊となっている。

■新聞各紙の「キャラ」

「新聞なんてどれも同じじゃないの?」と思っているあなた。それは大きな間違い! 例えば、お笑い芸人を見れば「リズムネタ芸人」「裸芸人」「モノマネ芸人」など様々だろう。つまり、無個性であれば「売れない」し「存在意義ない」と見なされてしまう。これは芸人でも車のメーカーでも、そして新聞でも同じことなのだ。ちなみに本書では、

『朝日新聞』は“高級な背広を着たプライド高めのおじさん”

『産経新聞』は“いつも小言を言っている和服のおじさん”

『毎日新聞』は“書生肌のおじさん”

『日本経済新聞』は“現実主義のビジネス一筋おじさん”

『読売新聞』はずばり“ナベツネ”

とキャラ付けされて紹介している。何と個性豊かだろうか。そして当たり前かもしれないが、見事におじさんだらけ。一人固有名詞が交じってはいるが、このまま擬人化アニメになっても、きっと面白い…はずだ。

■アンケート調査・記事での違い

 アンケートにも新聞各紙の違いは鮮明だ。例えば2015年9月17日に参院特別委員会で安全保障関連法案が「強行採決」された時の世論調査を一部紹介しよう。

『朝日新聞』

“安全保障関連法は、参議院の委員会で採決が強行され、本会議で可決、成立しました。国会でのこうした進め方はよかったと思いますか。よくなかったと思いますか。”

回答結果
よかった………16%
よくなかった…67%

『毎日新聞』

“安全保障関連法を審議した参議院の特別委員会では、野党が入口を封鎖するなどして採決に反対し、与党は質疑を打ち切って強行採決しました。あなたは、与党が強行採決をしたことを問題だと思いますか”

回答結果
問題だ…………65%
問題ではない…24%

『読売新聞』

“安全保障関連法は、野党の多くが採決に反対する中、参議院本会議で、自民党、公明党と野党の一部の賛成多数で可決され、成立しました。与党が採決をしたことは、適切だと思いますか、適切ではないと思いますか”

回答結果
適切だ…………30%
適切ではない…60%
答えない………10%

 このように、各社同じ出来事についてアンケートを取っているにもかかわらず、違いが見られる。『朝日』はやんわりと「こういうの、よくないよね」という印象を与え、『毎日』に至っては、もはや怒り心頭だ。『読売』はちゃっかり、与党と野党が揉み合い、ひと悶着あった「参議院特別委員会」ではなく、その後に行われた「参議院本会議」を取り上げている。自民党寄りの『読売』らしさが出ていると言えるだろう。

 もう一つ印象深かったのが、駐留米軍の費用を日本に負担することを求め、当選したトランプ大統領誕生直後の記事。『日経』は「費用負担はやむを得ない」「ビジネスライクな対応を」と述べ、『産経』は真逆で「損得勘定と国際秩序を天秤にかけるな」と怒っているのがわかる。会社が違うとここまで違うようだ。

■社説で登場するフレーズ

 各紙の個性は、新聞社の主張が記載されている社説で使われるフレーズにも表れている。『読売』であれば「看過できない」、『毎日』は「納得がいかない」、朝日新聞は「~重い」などのフレーズが口癖なのだとか。本書を読んだ後に、社説でこれらのフレーズを見つけたら思わず笑ってしまいそうだ。

 紹介しきれないが、本書では他にもスポーツ紙各紙の「キャラ」やスポーツ紙から見る「SMAP騒動の裏側」、タブロイド紙・夕刊紙の「匂わせ芸」などについて書かれているので、新聞全般の面白話や裏話が楽しめる。

 ネット隆盛の時代、新聞業界は“斜陽産業”だ。しかし、読み方一つでまだまだ楽しめるツールであることは間違いない。このまま新聞がなくなってしまうのは、まさに「看過できない」ことだ。

文=冴島友貴