名古屋めしはパクリだらけ!? ケチが多い!? ちょっと残念な名古屋(人)とは?

エンタメ

2017/5/3

『名古屋はヤバイ』(矢野新一/ワニブックス)

 名前を出すと、みんなが「知ってる!」と同意してくれるぐらいの有名人。けれども、そのあとに「だけど、あの人、よくわからないんだよねー」という言葉がつづいて、それも「わかるー!」と同意されてしまう。名古屋という存在を人にたとえると、そんな感じなのかもしれません。

 冒頭からかなりの自虐で入っている『名古屋はヤバイ』(矢野新一/ワニブックス)。本書は、県民性研究の第一人者であり、名古屋を知り尽くした矢野新一氏が、ちょっと残念な名古屋の一面を紹介している一冊。

 というのも、2016年に名古屋市観光文化交流局が、札幌、東京23区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市の住民に対して行った「都市ブランド・イメージ調査」で、名古屋は「最も魅力に欠ける都市」第1 位に選ばれてしまったそうだ。これを名古屋市が調査したというのがなんとも言い難い。

 日本の三大都市の一角というのもあって、指摘されるまで名古屋にそんなイメージがなかった方もいるはず。本当に名古屋は残念な都市なのだろうか。第1章「名古屋(人)はなぜ嫌われるのか?」より、超要約して紹介していこう。

お金を出すことがとにかく嫌い

 名古屋人は老若男女問わず、ひたすら貯蓄を愛する堅実生活派。東京、名古屋、大阪の違いは「東京人は高くていいモノ、大阪人は安くていいモノ、名古屋人は悪くても安いモノを買う」と言われるほど。さらに名古屋人の食を表す言葉に「一安二量三味(いちやすにかささんあじ)」があるそうだ。漢字の通り、とにかく安さが大事、次に量が多いこと、味はその次ということだそうだ。

 名古屋人がこうなってしまった元凶は、尾張国を治めた尾張藩にあるとか。実質100万石といわれた尾張藩は、初代藩主であった徳川義直の晩年にはすでに財政難の状態にあった。そこで尾張藩が庶民に対して勤倹貯蓄を奨励したことが、名古屋人気質の原因になったと分析している。

名古屋めしはパクリだらけ

 名古屋めしはほとんどパクリだという説があるらしい。「天むす」「とんてき」は三重県発祥。喫茶店メニューで有名な「モーニング」は、名古屋ではなく、一宮や豊橋発祥とも。味噌カツも三重県津市発祥。ひつまぶしは同じく津市発祥というのが有力。いずれも全国区で名古屋めしのイメージが広がっているだけに、ショックが大きい…。このパクリ問題について、名古屋人の反論が載せられている。

「天むすの発祥地が三重県なんて、みんな知らないわけでしょ?広めてあげたと言うと恩着せがましいけど、いいものは広めていこうという意識がある」。

 矢野氏はこの言い分に「名古屋人の気質が見え隠れする」という。いやいや、しかしあまりに手強いではないか、名古屋人。「名古屋めしパクリ問題」の 結論として矢野氏は「大々的に“名古屋が発祥”“うちの店が元祖”と謳って商売している店は少ない印象。名古屋めしは中京圏で発展した独自の食事文化の総称である」としめくくっている。

 本当はもう少しご紹介しようと思ったが、これ以上はあまりに印象が悪くなってしまう。私もこんな記事を書いて名古屋人から恨まれるのが怖い…。そこで本書第4章「それでも実はすごい名古屋」を箇条書きでご紹介して終わりにしたい。(名古屋人のみなさん、なぜこっちをメインで紹介しなかったと怒らないでください…)。

・東京に次いで地価が高く、2016年の市政世論調査で「名古屋は住みやすい」と思っている人が9割いた
・トヨタ、デンソー、LIXIL、メニコン、シヤチハタなどなど、名古屋には幅広い業界メーカーが集積し、その上、業界のトップメーカーが並んでいる
・家康の「天道は贅沢を最も嫌う。倹約は天下のため、子孫のため」という教えが今でも名古屋に根付いている
・伊藤みどり、浅田真央などなど、世界的アスリートを数多く輩出
・益川敏英さん、赤崎勇さん、天野浩さんなどなど、名古屋大学から6名のノーベル賞受賞者を輩出

 地域とはまさに人間のようなもので、良いところもあれば悪いところもある。これだけ名古屋に特筆すべきところがあることは、それだけ名古屋は魅力的な場所ということではないだろうか。

文=いのうえゆきひろ