なぜコンビニの近くに別のコンビニができるのか? 立地戦略に隠されたビジネスのヒント

ビジネス

2017/5/16

『すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった』(榎本篤史/PHP研究所)

 立地戦略というと、新規出店を任された一部の人にしか関係のないことと思うかもしれないが、実はさまざまなビジネスに共通した戦略が隠されている。しかも、立地戦略のからくりがわかれば、普段街中を歩いていて疑問に感じていたことの答えも見つかる。そこで、『すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった』(榎本篤史/PHP研究所)を取り上げる。

ロードサイド店はドライバー目線が大事

 車通りの多い道沿いの店の立地を見てみると、ドライバー目線が大きく関係していることに気が付く。例えば、ドライブ中にたまたま見つけて入る人が多いロードサイドのマクドナルドは、看板を目にしてから余裕を持って入りやすいアウトカーブ(店がカーブの外側にあること)沿いに店を構えている。インカーブ(店がカーブの内側にあること)沿いに作ってしまうと、看板が目に入ったときには通り過ぎてしまうからだ。コンビニも飲食店同様、駐車場への入りやすさがポイントのひとつになっているが、それ以上に出るときに出やすい立地かどうかが重視されている。信号の手前よりも信号の向こう側にある店の方が、駐車場から出るとき、信号待ちの車が邪魔にならない。駐車場に入りやすそう、停めやすそうという心理は、ロードサイド店を出店する際にはかなり大事なポイントだ。だから、右折しなければ入れない店は敬遠されがちだが、中央部分に導流帯という待機スペースがある道では右折車がその中で右折のタイミングを待つことができる。ファミリーをターゲットにした飲食店などは、そのようなスペースのある道沿いに出店することで、右折の苦手なドライバーに駐車場への入りやすさをアピールしている。

セブン-イレブンとローソンの異なる戦略

 コンビニは似たような場所に出店しているようでいて、コンビニごとに異なる戦略を持っている。例えば、どんな立地でもほぼ同じコンセプトの店を作るセブン-イレブンに対して、ローソンは立地に合わせて、ローソン100やナチュラルローソンなど別形態の店舗にするケースがある。また、セブン-イレブンは立地そのものよりもエリアにこだわっている。そのため、選んだ場所での売り上げが芳しくない場合でも、一度売れると読んだエリアを簡単に捨てることはない。本当に売れる場所が見つかるまでエリア内を転々とすることさえある。あっちにあったセブン-イレブンがいつの間にかこっちに移っていたということがあるのはそのせいだ。「駐車場が広く取れるところに移した方が売れそうだ」「こっちに出店した方が朝晩の人通りが増える」など同一エリア内で試行錯誤するのがセブン-イレブンの特徴だ。それに対して、ローソンは予想通りの売り上げが上がらなかったときにはそのエリアから撤退するか、店の形態を変えるかという選択をする。エリアの特性を再考して、ターゲットを変えることができるのがローソンの強みだ。

立地戦略が不要な業種とは?

 飲食店や販売店はどんな場所に出店するかによって客足が大きく変わるのが普通だ。しかし、ユニクロやドン・キホーテのような高い求心力を持っている店にはあまり細かい立地戦略は必要ない。店舗そのものが客を引き寄せる施設になるからだ。多少不便な場所にあっても、駐車スペースさえあればそこそこの集客が期待できるブランド力はやはり貴重だ。場所代の安いお得な場所を上手く使って集客することができる。逆に、ちょっとした場所の違いにこだわった程度では、売り上げが大きく変わることがないとも言える。サービスや品質でお店を選ぶ人が多いクリーニング店や、どこにあるかよりも誰が担当してくれるかの方が重要視される美容院も立地戦略は不要。場所代が割安なテナントビルの2階や3階などにあっても、飲食店ほど売り上げに差が出ない。

 とは言っても、やはり立地を選ぶことが重要なポイントであることは間違いない。入りやすいお店には、また行きたいと思う。もしかしたら、そんな風に感じるのは、立地戦略にまんまとはまったせいかもしれない。

文=大石みずき