「ダメな男とつきあってもそれを学習してね」西原理恵子の言葉が深い! 大反響の『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』とは?

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更新日:2017/9/4

『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(西原理恵子/KADOKAWA)

 いつか目の前に王子様が現れて、自分を幸せにしてくれる。幼少期、何度もお母さんや先生に読んでもらった童話で女の子はそんな幻想を刷り込まされます。しかし現実は、そう甘くない。お金持ちの王子様と結ばれて幸せになりましたとさ、めでたしめでたし、で物語は幕を閉じますが、主人公のその後の人生については誰も知りません。

 もし王子様が、病気になったら? 借金したら? リストラされたら? 不倫したら? 離婚したら?

 漫画家の西原理恵子先生は『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(KADOKAWA)の中で、女性の生き方について「王子様を待たないで。社長の奥さんになるより、社長になろう」とアドバイスします。本書は、どこまでも貪欲に逞しく、自分の力で歩いてきた西原先生ならではの生き方指南書。今回はその中から、筆者の胸に響いた言葉を紹介します。

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自分に何ができるのか、できないことはなんなのか、最初からわかっている人はいない

 うちのめされて、人は、初めて自分の立ち位置を知ることができる。周りの人と自分がどう違うのかを、客観的に判断できるようになる。そうして、やっとスタート地点にたてるんだと思う。だからもし今、ダメな自分、弱い自分を思い知らされてるとしたら、そこから始まるんだと思ったらいいP53

 地元では絵が得意だった西原先生ですが、上京して入った美大の予備校では、成績は最下位。その時期にとことん自信を失い、打ちのめされたからこそ、その後は、卑屈にならずに済んだそうです。そして自分にできることを考え、エロ本の世界で活躍するようになります。どんな世界にも、見上げれば自分より上の人がいる。時に私たちはそんな現実から目を背け、逃げてしまうこともあります。そんなとき、西原先生は自分と相手にどれぐらいの実力差があるのかを、客観的に把握することが重要だと語っています。自惚れや根拠のない自信を捨て、自分という人間を見定め、受け入れる。そうして初めて自分がどうしたらうまく戦っていけるか、どこを主戦場にすればいいか、生きるための戦略を立てられるわけですね!

女の一途は幸せの邪魔?

 働いていれば、男でしくじってもなんとかなる。(中略)ダメな男とつきあってもそれを学習してね。(でもすぐ別れてね)そうすれば優しい人のありがたみがわかるから。「天下とるぞ」って言うなら、自分でやれ。糟糠の妻にはならないこと。彼の夢を支えるんじゃなくて、自分の夢をかなえてください。P94-95

 常に男性に頼らず生きてきたイメージがありますが、意外にも、上京して無職の男性と同棲している時期があったという西原先生。ただでさえ、仕事も駆け出しで収入的に不安定なうえに、仕事が終わって帰宅すると家でダラダラしているだけの彼氏が待っている。それでも寂しさゆえに、そんな彼と別れられない日々が続きました。西原先生は、絵の仕事だけで月収30万円稼げるようになることを目標に、がむしゃらに邁進します。そして自分でちゃんと稼げるようになって目標を達成したとき、きっぱり無職の彼とも別れられたのです。「貧乏だと、こんなしょーもない男でもいないよりマシと思ってしまう。」「いつまでも男捨離しないでいると、人生が汚部屋になりますよ!」という言葉が胸に刺さります……。

この他にも
●「好きなことだから、お金はもらわなくてもいい」は、間違いです。好きなことで生きていきたいなら、それでちゃんとお金が稼げるようにならなくちゃ。
●自由ってね、有料なんですよ。(中略)自分で働いてお金を稼ぐっていうのは、そうやって、ひとつひとつ、自由を勝ち取っていくことなんだと思います
●夢をつかむことより、たとえ夢破れても、そこから立ち直ることのほうが大事。転んでもいいから、また、顔をあげる、そういう女の人になってください。
●大事なのは、自分の幸せを人任せにしないこと
●ダイヤモンドをくれる男より、一緒にリヤカーひいてくれる男がいい。しょぼい一日を、ふたりで笑い話にできるなら怖いもんなし。

 など、力強い名言が詰まった本書。一緒にリヤカーひいてくれる男がいい。というのが、なんとも西原先生らしくて素敵ですよね。最後に、西原先生は、こう締めくくっています。

 どんな時でも、次の一手は、自分で考えて、自分が選ぶ。王子様を待たないで。幸せは自分で取りにいってください。

 女性の生き方が多様化している現在、私たちは人生の選択肢をいくらでも広げることができます。誰かに幸せにしてもらうのではなく、自分で自分を幸せにする。そんな厳しくも優しい言葉に満ちた『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』は、若い女の子や、その母親だけでなく、全ての世代の女性にオススメしたい一冊です。

文=藤野ゆり/清談社