生後9か月で飼い主から見放されたシーズー犬が“聴導犬”に――難病のパートナーを支える「こんちゃん」の波乱の物語

暮らし

2018/12/30

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『聴導犬こんちゃんがくれた勇気 難病のパートナーを支えて』
(高橋うらら/岩崎書店)

「働く犬」にも、いろいろ種類がある。例えば、臭いをかぎわけて犯人をさがす「警察犬」、狩の手伝いをする「猟犬」、目の不自由な人の安全な歩行を助ける「盲導犬」、体の不自由な人の手元に必要なものを運ぶ「介助犬」。そして、『聴導犬こんちゃんがくれた勇気 難病のパートナーを支えて』に登場するのは、耳の不自由な人のお手伝いをする「聴導犬」。

 聴導犬は、耳の不自由な人に、生活に必要な音を報せるのが仕事。2018年7月1日時点、日本で働いている聴導犬はわずか71頭だけであり、約1000頭いる盲導犬に比べて圧倒的に数が少ないことが分かる。

 本書は実際に聴導犬として働いている「こんちゃん」が、優しい口調で読者に語りかけるスタイルで書かれていて、聴導犬について学ぶことができる児童向けノンフィクションだ。

 こんちゃんは、とっても可愛らしいシーズー犬の男の子。生後9か月の頃、元の飼い主の動物アレルギーが原因で見捨てられ、動物愛護施設で保護されることに。その施設でこんちゃんは「日本聴導犬協会」の人に出会い、落ち着いている・集中力があるなど、聴導犬としての才能を見出され、聴導犬への道を歩み始めることになったのである。

 本書に書かれているのは、こんちゃんの頑張る姿だけではない。こんちゃんとパートナーの仁美さんが全国チェーンのレストランに入ろうとしたとき「入店拒否」されたこと、日本では聴導犬を連れていると嫌な顔をされることなども語られている。

 聴導犬の働きを知ることで、ハンディキャップを持つ人がどうすれば暮らしやすくなるかを考えられるようになる、本書。2020年には、東京でオリンピックとともに、パラリンピックが開催。補助犬を連れたパラリンピックの選手も、海外からたくさん日本にやってくるだろう。そのとき、私たち日本人が選手と補助犬を温かく迎えてあげるには、どうすればよいか、考えるきっかけにもなりそうだ。