マンガ家として生きていく方法、伝えます! コルクラボマンガ専科、開講

マンガ・アニメ

2019/4/8

 出版社がマンガを宣伝したり、マンガ家をキュレーションしてくれていた時代が終わって、ツイッターはじめとするSNSで個人が作品を発信するのが当たり前となった現在。それは言い換えれば、マスメディアよりも「個」の影響力が強くなり、かつての成功法則が通用しない新時代に突入したということでもある。

 そんな時代に於いてマンガを描くということ、そしてマンガ家として生きていく“生存戦略”を学ぶ授業「コルクラボマンガ専科」が青山ブックセンター本店にて開講されている。

 主宰したのは作家のエージェント会社、コルクの代表にして、『宇宙兄弟』『バガボンド』など数多くの大ヒットマンガ作品を編集してきた佐渡島庸平さん。さらに文章表現インストラクター・作家の山田ズーニーさん、マンガネーム制作の研究所「東京ネームタンク」代表のマンガ家、ごとう隼平さんの三名が講師を務めている。

 半年間の期間限定講義型のコースで、毎月2コマ、全12回という内容だ。初回の授業で、佐渡島さんは受講生たちに「何よりもまずこの2つをしていきましょう」と切り出した。

山田ズーニーさん

ごとう隼平さん

(1)【知らない】を知る
自分が何を知らないのかを、知ることからはじめる。そこから知識、行動、気づき、技術、習慣……と少しずつ壁を越えていく。

(2)課題を必ずやることで【習慣の壁】まで越える
知ることで得た知識も、やってみて獲得した技術も、三日坊主では身につかない。そこで自分を鍛える方法として、授業で出された課題を毎回必ずやる。

 そのために活用するのがtwitterである。受講生は全員twitterアカウントを開設(すでに使用しているアカウントでも可)し、「#コルクラボマンガ専科」上で、マンガによる日記や課題、スケッチを毎日発信。相互にフォローやコメントをして、仲間の作品の感想を積極的に伝えあい、受け取りあう。

 たとえるなら、池の水を各自のコップで掬ってそれぞれ喉を潤すのではなくて、掬った水を交換しあい、分けあうようなもの。他者の目を通して自分の個性や作風を意識し、人の作品にふれることで自分とは異なる発想や視点を発見できる。

 本専科の大きなテーマは3つある。

【自分を知り、表現力をつけること】【技術を身につけること】【マンガ家として生きていくこと】。言語表現のプロである山田さん、マンガ表現のプロであるごとうさん、そしてマンガ編集のプロである佐渡島さんが各々のテーマを受け持って、みっちりと指導する。

 たとえば、第一線に立つマンガ家たちと長年仕事をしてきた佐渡島さんは、一流作家の共通点を受講生たちに説く。

「彼ら彼女らのすごいところは、最初に出したネームの完成度そのものよりも、そこから何度も何度も推敲する気力と体力、粘り強さを持っていること」

 いいものを持っているのに、作品づくりの壁を乗り越えていく途中で潰えてしまった新人作家をたくさん見てきた。十五年近く編集者の立場からマンガ制作に携わった経験から分かってきた、マンガ家になるために必要なこと・もの。それをマンガ家を目指す志望者たちに伝えたい、と。

 マンガを描く上で大切なことを、佐渡島さんはこう説明する。

「土台にあるのは自分を貫く思想、つまり自分は何が『好き』なのか、です。自分の『好き』を読者に伝えるということは、自分という人間を伝えることに他なりません」
「『好き』を押しつける“主張”ではなく、『好き』をおすそ分けする“思想”を持つこと。“主張”は描いたら終わってしまうものだけど、“思想”は終わりません。ずっと続いていく。だから自分を知って、自分の“思想”をまずつくっていきましょう」

 それから「ストーリー・設定」の作り方、「演出」の技術、「魅力のあるキャラクター」など具体的なマンガの描き方を学んでいく。またSNSによる効果的な戦略や、著作権の管理など、従来のマンガ家講座にはないビジネス的なことを学べる回もあるそうだ。

 半年間の修行ののちの卒業制作は、「バディ」をテーマとした作品のネーム提出だ。成績優秀者には佐渡島さん、山田さんが担当編集者となって、ヒット作家になるためのサポートをしてゆく。

 新時代を生き抜くマンガ家になりたい人、マンガ家として生きていきたい人にとって理想の実践的な学び舎だ。

●受講生の作品はtwitter「#コルクラボマンガ専科」ハッシュタグで読むことができます

●次回のマンガ家コースや別コースの開催に興味のある方は、公式WEBページから事前案内のメール登録ができます!【公式ページ】https://school.corkagency.com/

取材・文=皆川ちか
撮影=内海裕之
(c)青山ブックセンター本店