45歳以上は要注意!? 「年齢を条件とした配置転換」に悲哀の声

ビジネス

公開日:2020/9/3

45歳以上は要注意!? 「年齢を条件とした配置転換」に悲哀の声

 日本企業の特徴として、今なお「終身雇用」をイメージする人は多いかもしれません。特に大企業であれば、将来を約束される印象は強いもの。しかし最近、大企業が「45歳以上の社員」に目をつけているようです。

相次ぐ「45歳以上」への早期退職募集

 45歳以上の社員に対して「早期退職も含めたジョブ選択」を検討しているのは、日本を代表する企業の一つ、富士通。

 富士通は、2020年を目途にグループ全体で5000人の配置転換を予定しており、今回はその一環の人事施策とのこと。塚野英博CFOは2019年1月、「会社が強化を必要とする直接部門(中略)にできるだけ移ってもらい、コストではなく利益を作っていってほしい」とコメントしました。

advertisement

 他にも、カシオは「勤続10年以上の45歳以上の一般職」と「50歳以上の管理職」に対して、協和発酵キリンは「勤続5年以上かつ45歳以上の社員」を対象に希望退職者を募っています。協和発酵キリンが同施策を行うのは初めてで、応募者には通常よりも割り増しした退職金を支給予定。場合によって再就職の支援も行うそうです。

 職種や能力ではない「45歳以上」という条件には、ネット上で様々な意見が飛び交うことに。

「大手に入っても安心できない時代がついに来たか……」「45歳で特別なスキルも持たないまま社会に放り出されるって怖すぎるな」「その世代は給与水準も上がってる。会社としてもテコ入れしたい部分なのかもね」といったコメントが上がっていました。

2000年以降で最小となった「早期退職者の募集」

 日本全体で見た際に、希望退職や早期退職を募集する企業はどの程度あるのでしょうか。東京商工リサーチは、2018年における「主な上場企業の希望・早期退職者募集状況」の調査結果を発表しています。

 2018年に「早期退職者の募集」を行った上場企業は、公表されている数で12社。2017年の25社から約半減しており、2000年から開始された同調査の中でも最小の結果です。ちなみに2000年以降で数字が一気に増えたのは2009年。リーマン・ショックの影響が大きく、募集企業は191社に達しました。

 各企業の「早期退職者の募集人数」を確認してみると、最多は日本電気(グループ会社を含む)の2170人。他に大正製薬ホールディングス(グループ会社を含む)が948人、カタログ通販大手の千趣会(グループ会社を含む)が280人で続いています。

 2018年は人手不足の解消を図る企業が多かった模様ですが、企業にとっては「事業の選択と集中」も引き続き加速中。早期退職の募集や人員の再配置といった取り組みは、今後も増えていきそうですね。