片づけ本共通のキーワードは「いかに捨てられるか」

生活

更新日:2012/11/14

 2012年上半期に130万部を超えるベストセラーとなった『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)。大ヒットを受けて、10月9日に『人生がときめく片づけの魔法2』(近藤麻理恵/サンマーク出版)が発売された。

 片づけ本、整理本に関する需要はいつの時代も尽きることがない。「超」整理法―情報検索と発想の新システム』(野口悠紀雄/中央公論社)や『「捨てる!」技術』(辰巳 渚/宝島社)など、ロングセラーとなった本は数知れないし、人気の有無を問わず今でも絶え間なく刊行されている。

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 果たして、これらの本にはどのような秘訣が書かれているのだろうか? 大まかにまとめると、まず『「超」整理法』は、本や書類を入れた封筒などを使い終わるたびに左右どちらか固定した端から収納していくというもの。時間順に収納していくことで、使用頻度の高いものは片側に残り、使わないものは自動的に反対側へ流れるシステムを作るわけだ。これなら、量が増えて棚に収まらなくなったときに、反対側からチェックしていけば捨てやすい。

 また『「捨てる!」技術』では、「“とりあえずとっておく”は禁句」、「 “いつか”なんてこない」といった捨てるための考え方10か条を説いた後、「見ないで捨てる」、「その場で捨てる」といった捨てるテクニック10か条を挙げ、ものを捨てることへの抵抗感をなくして実行に移す習慣をつけようというものだ。

 そして、『人生がときめく片づけの魔法』は、現在自分の持っているものを一度すべて出して1箇所に集め、「手にとって“ときめいたもの”だけを残し、そうでないものは捨てる」という考え方が基本。部屋別、エリア別など部分的に片付けようとすると“ときめき”の判定が難しくなるので、服なら服、本なら本でひとつのジャンルをとにかくすべて1箇所に集めて行うのが成功のコツだという。

 いずれにせよ、これらの片付け本に共通するキーワードは、「いかに捨てられるか」ということだ。それに尽きるといわんばかりに、膨大なページ数を「捨てること」に割いている。皆がそれに気づいて実行に移せば、誰もが片付けられるはずなのだが…。現実的には、どうしてもその流れに乗り切れず、片づけが進まないままの人は必ずいる。そして、また新たな片づけ本が登場したらそれに飛びつく、という負のスパイラルを繰り返しているのだ。

 要は読者の気持ちを後押しできるかどうかにかかっている。この手の本が出るたびに手にとって目を通していながらいまだに片づいていない人は、きっと方法論は十分理解しているはず。あとは「やろうという気持ち次第」と、とっくに気づいているだろう。それでも、新たな方法論が出るとついつい読みたくなってしまう人は、片づけ本が捨てきれずに溜まってしまう前に、自己啓発本にシフトするほうが得策かもしれない。

文=キビタキビオ