LiLiCo 価値観に変化「ドキュメンタリーは知らなかった世界を知る大きなチャンス」
有限会社DROP.
更新日:2025/3/16
映画『REASON~あの日、HIPHOPに憧れた少年たち~』TBSドキュメンタリー映画祭2025 今日から開幕
刑務所から復活のラッパー紅桜・ダメな奴とダメな奴らの壮絶人生を描くドキュメンタリー
TBSテレビやTBS系列各局の記者やディレクターが、歴史的事件、現在進行形の出来事、そして市井の人々の日常を追い続け、記録し、情熱を込めて世に送り出してきたドキュメンタリーブランド「TBS DOCS」。その想いが結実した場として2021年にスタートした「TBSドキュメンタリー映画祭2025」が、本日よりヒューマントラスト渋谷にて開幕。
オープニング作となるのは、2024年TBSドキュメンタリー映画祭にて公開された『ダメな奴~ラッパー紅桜 刑務所からの再起~』の続編、『REASON ~あの日、HIPHOPに憧れた少年たち~』。3年8か月服役をしていた伝説のラッパー・紅桜が所属する平均年齢42歳の津山のHIPHOPクルー・PartyGunPaulに密着。「西日本一の窃盗団」「ヤクザに借金800万」など壮絶な人生を歩む49歳のラッパー4PRIDEなど、環境に翻弄されながら荒んだ生活を送る彼らを救ったのがHIPHOPだった。自らの過酷な人生をラップで表現する世界。しかし夢で食えるほど甘くない世界。歳を重ねアラフィフ、アラフォーになった彼らにも子供や孫が誕生。昼間の顔は「解体業」「ごみ回収業」「コンビニ」「配送業」など様々。早朝から深夜まで家族のために働くおじさんラッパーたちのリアル。それでも歌い続ける「理由」に迫った作品。
上映初日を迎え問題児ラッパー軍団PartyGunPaul(PGP)のYAS、紅桜、VOCA Luciano、HKR、DJ KAJI、嵯峨祥平監督、映画祭アンバサダーLiLiCoと共に、本作に込めた熱い思いを語り、舞台挨拶を行った。
昨年上映された前作を鑑賞し、大号泣したというLiLiCo。「何が刺さったのか自分でも謎なくらい彼らの人間関係に感動。今回もインタビューシーンではみんな凄く良い事を言っていて、それが凄く気持ち良かった。彼らの言葉に笑ったり、共感したり」と本作にも大満足。早くも第3弾製作を希望。これに嵯峨監督は「彼らの意志を継いで子供世代がラッパーになっていたりするので、その歴史をこれからも撮影し続けたい」と意気込んでいた。
またLiLiCoは紅桜夫婦の絆にも感銘を受けたそうで「奥さんの心中を色々と考えたりする中で妻の立場で作品を観ていました。今まで私は夫婦関係におけるルール違反はNOタイプでしたが、紅桜さんに出会ってその考えもちょっと変わりました。ダメなものはダメだけれども“許す”という事が生きていく中で大事だと。私は考え方が固い人間かもしれませんが、そんな私の中に“許す”という感情を作ってくれたのは紅桜さん!」と心境の変化を口にしていた。
一方、紅桜は周囲からのリアクションについて「反響は凄くて、地元・岡山の銭湯に行っても『スターが帰って来たぞ』と言われる。僕らは音楽だけをやっているような人間だけれど、普通の人たちにも届いているんだと思った。ライトやスピーカーの通らない所に音が通じた気がして嬉しいです」と驚いていた。
YASも「僕らの映画が作られたのは、これからのHIPHOP界にも重要なことで、このようにHIPHOPを取り上げてもらってありがたいです」としみじみ。DJ KAJIは「僕らの普段の生活が撮影されて作品になって最初は何が面白いのか不思議に思いました。だって僕らからしたら当たり前の事なので。でもそこがこんな形でドキュメンタリー映画になって、第三者目線で作品を観て僕も感動するものがありました」と意外な心境だった。
HKRも「僕も作品を観て感動しました」と大満足で、VOCA Lucianoは「舞台挨拶という機会も設けていただき、いい経験になって光栄です」と照れ笑い。嵯峨監督は「皆さんが凄いのは、誰一人カッコつけずに全部をさらけ出してくれるところ。だから無遠慮と思う様な事も聞かせていただいたりして、皆さんにおんぶに抱っこ状態で質問させていただきました」と彼らの生き様に痺れていた。
最後にLiLiCoはアンバサダーとして「TBSは上質なドキュメンタリーを届け続けてくれています。本作のようにHIPHOPや重いテーマ、アイドルを題材にした作品もあります。ドキュメンタリーは知らなかった世界を知る大きなチャンスになるので、興味のないテーマでもあっても観てみたら新しい扉が開きます。本映画祭で沢山のドキュメンタリーに触れてみてください」と映画祭をアピール。
紅桜は「皆さんがいないと、自分たちはここに上がることはできません。皆さんがいないとどれだけカッコいい音楽をやっても、どれだけ生き様を歌っても、聴いてくれる人がいなかったらやっている意味がないです。これからも俺たちがダサかったら笑ってもらって、カッコ良かったらカッコいいと返してください。それが自分たちの活動の源になります」と呼び掛けた。
嵯峨監督は「僕が出来るのはHIPHOPを知らない人たちにこの世界を届ける事です。口コミで本作を広げていただき、本物のHIPHOPの世界はこんなにも魅力的だという事を広めていただければ幸いです」と話した。