ダイビングでアオリイカを観察する方法とその生態系の魅力

株式会社伊豆高原ダイビングスクール

公開日:2025/5/22

アオリイカの神秘を追う:ダイビングで楽しむ観察術と生態系の魅力

アオリイカの透明な体とダイナミックな産卵シーンは、ダイバーにとって忘れられない感動を与えてくれます。このブログでは、アオリイカを観察するためのベストなタイミングや場所、注意点から、その生態系での役割まで詳しく解説。美しい海の世界でアオリイカとの出会いを最大限に楽しむためのガイドをお届けします!

アオリイカとは?

アオリイカは、日本近海に広く分布するヤリイカ科のイカで、胴長は約20~45cm、大きい個体では50cm以上にもなります。
特徴的なのは、胴を囲む大きな半円形のヒレで、これが「障泥(あおり)」という名前の由来です。
体は透明感があり、状況に応じて体色を変化させる擬態能力を持っています。
遺伝子研究により、シロイカ型、アカイカ型、クワイカ型の3種類に分類されますが、ダイビングでよく見られるのはシロイカ型です。

アオリイカの生態とライフサイクル

アオリイカは「年魚」と呼ばれ、寿命は約1年と短いです。春から初夏(4~6月がピーク)に産卵し、産卵後に死にます。
メスは海藻や岩の隙間に卵を産み付け、卵塊はサヤエンドウのような形状で、1つの塊に5~10個の卵が含まれます。
孵化まで約3~4週間で、孵化した子イカは初めは数ミリ程度ですが、秋には300~1,000gに成長します。

アオリイカは水温に敏感で、適水温は15~25℃以上。春に浅場へ移動して産卵し、冬は深場へ移動します。
また、回遊性が強く、潮の流れを好むため、産卵や捕食のために沿岸近くに現れることが多いです。
捕食行動は独特で、長い触腕で獲物を叩く「イカパンチ」を経て、首の付け根をかじるように食べます。
主なエサは小魚やエビ類で、これらが集まる場所にアオリイカも集まりやすいです。

ダイビングでの観察ポイント

アオリイカをダイビングで観察するには、以下のポイントを押さえると成功率が上がります。

1. 季節とタイミング

産卵期(4~8月):アオリイカの産卵シーンはダイビングのハイライトです。特に5~6月に、和歌山県串本や静岡県伊豆半島(富戸や大瀬崎)では産卵床が設置され、観察しやすくなります。産卵に夢中なアオリイカはダイバーにあまり警戒しないため、迫力あるシーンが見られます。


夜間ダイビング:アオリイカは夜間に産卵することが多く、ナイトダイビングでの観察がおすすめ。ただし、近づきすぎるとストレスを与えるため、適切な距離を保ちましょう。


秋~初冬:子イカが岸近くの表層で群れる時期で、透明度の高い海では小さなアオリイカの群れを観察できます。


2. 生息場所

アオリイカは岩礁帯や海藻(ホンダワラやアマモ)が豊富な場所を好みます。水深10~20mの平根やゴロタ石周りが特に有望です。カワハギが生息するポイントもアオリイカの観察に適しており、海藻に根掛かりしやすい場所は特に狙い目です。

産卵床:人工産卵床(イカ柴)が設置されたダイビングスポット(例:串本、富戸)は、産卵行動を観察する絶好の場所です。


潮の流れ:アオリイカは潮の流れが強い場所を好むため、上げ潮や下げ潮のタイミング(特に満潮・干潮の2時間前後)が観察に適しています。


3. 観察のコツ

距離を保つ:産卵中のアオリイカは攻撃的になることがあり、卵を守るオスが特に警戒心が強いです。2~3mの距離を保ち、急な動きを避けましょう。


擬態に注目:アオリイカは岩や海藻に合わせて体色を変化させます。透明度の高い海では、背景に溶け込む姿や銀河のような目の輝きを観察できます。


スミに注意:アオリイカは外敵から逃れるためにスミを吐きます。スミを見かけたら近くにアオリイカがいるサインです。ただし、スミは視界を遮るため、落ち着いて観察を続けましょう。


群れの動き:アオリイカの群れには、後方からの攻撃に備える「見張り役」がいることがあります。反対向きに泳ぐ個体に注目すると、群れの動きがより面白く観察できます。


アオリイカと生態系

アオリイカは海洋生態系の中で重要な役割を果たしています。捕食者としては小魚や甲殻類を食べ、食物連鎖の中位に位置します。
一方で、ウツボや大型魚(タイやヒラメなど)の餌食にもなります。産卵床となる海藻は、磯焼けや護岸整備で減少しており、アオリイカの個体数に影響を与えています。漁業者やダイバーの間では、人工産卵床(イカ柴)を設置する活動が広がり、持続可能な生態系保全に貢献しています。

また、アオリイカの卵は外敵に狙われやすく、ウツボが産卵床に潜むこともあります。
ダイビング中に卵塊を見つけたら、その周辺でウツボや他の捕食者を探してみると、生態系のダイナミズムを感じられます。

観察時の注意点

自然を尊重:産卵中のアオリイカに近づきすぎると、ストレスを与え、産卵行動を妨げる可能性があります。静かに観察し、フラッシュ撮影は控えましょう。


安全第一:産卵床は浅場(水深20m程度)にあることが多いですが、潮流が強い場合があるため、ダイビング計画を慎重に立てましょう。


環境保護:磯焼けによる海藻減少がアオリイカの産卵に影響を与えているため、ゴミ拾いや産卵床設置活動に参加することで、生態系保全に貢献できます。


おすすめダイビングスポット

和歌山県串本:産卵床が設置され、5~6月にアオリイカの産卵シーンが見やすい。ビギナーダイバーにもおすすめ。


静岡県伊豆半島(富戸・大瀬崎):透明度が高く、産卵床での観察が人気。子イカの群れも見られる。


三重県伊勢市/尾鷲市:6~8月に産卵シーンが観察しやすい。カワハギと共存するポイントも多い。


まとめ

アオリイカのダイビング観察は、その神秘的な姿と生態系のダイナミズムを体感できる貴重な機会です。
産卵期の4~8月や夜間ダイビングを狙い、岩礁や海藻が豊富なポイントで、適切な距離を保ちながら観察しましょう。
生態系の一員として、アオリイカが小魚を捕食し、ウツボなどに狙われる姿は、自然の複雑なバランスを教えてくれます。
人工産卵床の設置など、ダイバーとして環境保全にも関心を持ちながら、アオリイカとの出会いを楽しんでください!

次回のダイビングでは、ぜひアオリイカの銀河のような目や力強い産卵シーンを探してみてください。自然の驚異を肌で感じる、忘れられない体験が待っています!

店舗・筆者情報

店舗名: 伊豆高原ダイビングスクール渋谷店
住所:東京都渋谷区渋谷1−8−5 グローリア宮益坂503
電話番号: 03−6421-0981
メールアドレス: shibuyadive@tbz.t-com.ne.jp
営業時間: 12:00〜21:00
休み: 不定休
公式LINE: https://lin.ee/4YpNom5

筆者プロフィール

名前: 土屋 遼将(ツチヤ リョウマ)
生年月日: 1998年3月2日
経歴: 大学卒業後、単身で小笠原へ移住。自然の素晴らしさ、海の素晴らしさ、そしてダイビングの面白さ・素晴らしさに魅了される。
ダイビングの魅力を広めるために帰京し、都内の別ダイビングショップを経て、現在 伊豆高原ダイビングスクール渋谷店 店長 に就任。

「このツアー気になる!」という方、お早めにご連絡ください♪
皆さんと最高のダイビングを楽しめるのを楽しみにしています!

それでは、また海でお会いしましょう!