「バッテリーリサイクルの日本市場動向(-2030)」調査資料を販売開始

株式会社マーケットリサーチセンター

更新日:2025/9/9

(株)マーケットリサーチセンタ-(本社:東京都港区、グローバル調査資料販売)では、「バッテリーリサイクルの日本市場動向(-2030)」調査資料の販売を2025年6月5日に開始いたしました。日本のバッテリーリサイクル市場規模(国内市場規模を含む)、動向、予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。

■レポート概要
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近年、自動車やスマートフォン、再生可能エネルギーをはじめとするさまざまな分野でバッテリー需要が急速に拡大しています。その反面、リチウムイオン電池を中心とするバッテリー廃棄物が増加し、環境負荷や資源枯渇のリスクが懸念されています。こうした状況を受け、日本ではバッテリーリサイクル市場の整備・拡大が急務となっています。廃バッテリー中に含まれるニッケル、コバルト、リチウムなどの貴重金属を回収することは、資源循環型社会の実現に寄与するとともに、輸入資源への依存度を低減できる点が大きなメリットです。
本レポート「Japan Battery Recycling Market Overview」では、日本国内におけるバッテリーリサイクル市場の現状と将来展望を多角的に分析し、政策動向や技術トレンド、主要プレイヤーの競争環境を整理します。具体的には、以下の項目に関して詳細に調査・検証を行い、関係者が今後の戦略策定や投資判断に活用できる情報を提供することを目的としています。
過去数年間(2018年〜2022年)のバッテリーリサイクル市場規模推移と、2023年を基準年とした2023年〜2028年までの市場成長予測
自動車用バッテリー、産業用蓄電システム向けバッテリー、家庭用小型バッテリーなど用途別の需要動向
法規制や補助金制度など政府・自治体の政策動向が市場に与える影響
リサイクル技術(物理的分解、化学的分離、冶金処理、直接再利用など)の最新トレンド
主要リサイクル事業者および製造メーカー(バッテリーメーカー、リサイクル企業、素材メーカーなど)の競争環境と事業戦略
国内外の資源価格動向やサプライチェーンリスクがリサイクルビジネスに与える影響
今後の市場成長を牽引する要因およびリスク・課題の整理
これらの分析を通じて、バッテリーリサイクルにかかわる企業、自治体、研究機関、投資家などの関係者が、将来の市場動向や技術動向を把握し、適切な意思決定を行うための基礎情報を提供します。
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市場規模の推移と将来予測
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日本のバッテリーリサイクル市場は、自動車電動化の進展や再生可能エネルギー導入拡大を背景に、大きく成長してきました。
2018年には市場規模が約500億円程度と推定されており、自動車用バッテリーを中心に、廃車時の用途でリサイクル処理が始まった段階でした。主に鉛蓄電池のリサイクル市場が成熟している一方、リチウムイオン電池リサイクルは研究開発段階の技術も多く、実用化は限定的でした。
2019年には電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及が徐々に進み、リチウムイオン電池回収・リサイクルの必要性が高まりました。市場規模は約650億円に拡大し、特に自動車メーカーがバッテリー回収ネットワークを構築する動きが見られました。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で自動車生産・販売が一時的に停滞したものの、家庭用蓄電システム向けバッテリー需要が伸びたことで市場規模は約700億円に着地しました。廃バッテリーの回収量は増加傾向にあり、リチウムイオン電池の前処理技術や分離・回収プロセスの実証試験が活発に行われました。
2021年には、脱炭素・再生可能エネルギー政策の強化により、蓄電池の導入が加速。廃棄バッテリー量が急増したことで市場規模は約850億円に成長しました。特に化学的分離技術や冶金処理技術の商用化が進み、銅・ニッケル・コバルトなどの金属回収率向上に貢献しました。この年には、経済産業省が「リサイクル標準」を策定し、民間企業の技術開発を促進するための補助金制度を打ち出しました。
2022年は、電気自動車の販売台数が前年比約50%増加し、廃棄バッテリー回収量が大幅に増えるとともに、リチウムイオン電池リサイクル市場の実質的な立ち上がりを示しました。市場規模は約1,000億円を突破。用途別では自動車用電池の比率が全体の約70%を占める一方、家庭用や産業用蓄電システム向けのリサイクル需要も新たに顕在化しました。これにより、リサイクル事業者は前処理(破砕・分離)と、化学的分離(沈殿法や硫化物抽出など)の両方を組み合わせたハイブリッド型ソリューションを開発し、実証プラントを稼働させています。
2023年の市場規模は約1,150億円と見込まれています。バッテリー性能向上により使用期間が延びる一方で、リサイクル対象となる廃棄量は着実に増加。加えて金属資源価格の高騰(特にコバルトやニッケル)によりリサイクル経済性が向上したことが、市場拡大を後押ししています。
2024年以降も市場は成長軌道をたどり、2028年には約1,800億円に達すると予測されます。年平均成長率(CAGR)は約15〜17%と高水準を維持しており、特に次の要因が成長ドライバーになると見込まれます。
自動車市場のEV・FCV化加速に伴う廃棄リチウムイオン電池回収量の急増
再生可能エネルギー普及促進による家庭用・産業用蓄電システムの導入拡大
資源価格高騰・輸入資源依存リスクの高まりからリサイクル材の安定確保が必要に
政府・自治体の補助金・助成金制度の拡充によるリサイクル技術開発・設備投資支援
サーキュラーエコノミー推進の潮流を背景とした企業のESG対応強化
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市場を牽引する要因と課題
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バッテリーリサイクル市場を牽引する主な要因は次の通りです。
人手不足と省力化ニーズの高まり
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日本国内のものづくり現場では少子高齢化に伴う人手不足が深刻化しており、リサイクルプラントにおいても自動化・省人化技術へのニーズが高まっています。従来は手作業による電池分解・素材分離が主流でしたが、近年は自動破砕機やAIカメラを利用した選別ライン、ロボットアームによる分解・仕分けなど、省力化・高効率化技術が導入されています。特に、剥離試薬を使わずに機械的分離技術を実現することで、薬剤コストや廃液処理コストの低減が期待されています。
政策・規制の強化
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国際的な脱炭素・資源循環の流れを受けて、日本政府は資源循環基本計画やリサイクル法を強化し、バッテリーリサイクルを推進しています。経済産業省はリサイクル標準を策定し、製造メーカーに対してリサイクル可能設計(Design for Recycling)の義務付けを検討中です。また、使用済みバッテリーの回収率向上のために義務的回収スキームの整備や、民間企業への補助金・助成金制度を充実させ、リサイクル設備の導入コストを部分的にサポートしています。
資源価格高騰とサプライチェーンリスク
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リチウム、コバルト、ニッケルといったバッテリー原料金属は、主に海外(オーストラリア、コンゴ民主共和国、チリ、アルゼンチンなど)からの輸入に依存しています。国際情勢や需給バランスの変化、地政学リスクにより価格が変動しやすく、安定調達が難しい状況です。このため、廃バッテリーを通じた国内資源回収が企業経営の安定性向上やコスト削減につながることから、リサイクル材の価値が高まっています。特に直近では、コバルト価格が前年比約50%上昇し、リサイクル材を利用した製造コスト削減メリットが顕在化しました。
技術開発の遅れとコスト課題
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リチウムイオン電池リサイクルにおいては、物理的分解、化学的分離、冶金処理の各プロセスが必要となり、多段階の工程が存在します。各技術段階で求められる設備投資が膨大であり、導入コストや運転コストを回収するためには、大量処理体制を確保する必要があります。また、技術成熟度が異なるため、一部の素材(特に高容量シリコン系負極や全固体電池)の分離技術はまだ試験段階にあり、回収率やコスト面での課題が残っています。
廃棄バッテリー回収網の未整備
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自動車用バッテリーについては、自動車メーカー各社が回収ルートを整備しつつありますが、産業用や家庭用小型バッテリーについては回収チャネルが一元化されておらず、分散的に廃棄されるケースが依然として多いです。行政や企業が連携し、使用済みバッテリー回収ステーションを全国展開するなど、利用者が容易に廃棄できる仕組みづくりが必要です。
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製品・技術トレンド分析
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バッテリーリサイクルに関わる技術トレンドは、主に「前処理技術」「化学的分離技術」「冶金処理技術」「直接再利用技術(リユース)」の4つの領域に分けられます。
前処理技術
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廃バッテリーをリサイクルしやすい形状に破砕・分離する工程です。近年はインパクト破砕機や冷凍破砕技術、湿式破砕技術など、機能性を高めた破砕装置が開発されています。冷凍破砕は、バッテリー内部の電解液を凍結させた後に破砕することで安全性を高め、爆発リスクを低減します。湿式破砕は、水中で破砕することで粉塵飛散を抑制し、作業環境を改善します。剥離剤を使わずに電極材料を剥離する物理的分離技術も注目されており、コスト削減と環境負荷低減に貢献しています。
化学的分離技術
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前処理で得られた粉体を化学的に処理して、金属を溶出・沈殿させる工程です。従来は硫酸や塩酸を用いた湿式冶金法が主流でしたが、近年は環境負荷を低減するために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)やクエン酸などの生分解性有機酸を用いた溶媒抽出法、イオン液体を用いた選択的抽出技術が実用化されつつあります。また、高濃度硫酸による直接溶解技術や、硫化アンモニウムを活用した沈殿分離技術も開発が進行中です。これらの技術は、コバルトやニッケル、リチウムなどの高純度分離を可能にし、リサイクル材としての付加価値を高めます。
冶金処理技術
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化学的分離工程で得られた溶液をさらに冶金処理して、金属単体または合金として回収する工程です。電解精錬、化学沈殿、溶媒抽出後の電解精製などが主要手法です。近年はスパッタリング技術やプラズマ冶金など、新しい手法の研究も進んでおり、微細構造の制御により高純度な金属回収が可能になります。この工程で回収された金属は、再びバッテリーの正極材や負極材、あるいは他の金属製品の素材として再利用されます。
直接再利用技術(リユース)
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バッテリーセルやモジュール単位で性能検査を行い、一定の性能を保持しているセルを再組立てしてセカンドライフ用途の電池パックとして再利用する技術です。電気自動車から取り外されたバッテリーを、家庭用蓄電システムや小型産業用無停電電源装置(UPS)などに転用する事例が増加しています。性能劣化試験データを活用して、安全かつ効率的に性能を保証することで、新品電池よりも低コストで導入できるメリットがあります。ただし、劣化状態のばらつきが大きいため、検査・選別技術の高度化が求められます。
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用途別・セグメント別分析
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バッテリーリサイクル市場を用途別に分類すると、自動車用バッテリー、産業用蓄電システム向けバッテリー、家庭用小型バッテリーの三つの領域に大別できます。それぞれの市場特性を以下に整理します。
自動車用バッテリーリサイクル
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国内では、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及に伴い、リチウムイオン電池を搭載した自動車用バッテリーが主なリサイクル対象となっています。一般に自動車用バッテリーは10年ほど使用されると性能が低下しますが、リチウムイオン電池のセカンドライフ技術により、現役車両バッテリーを蓄電用途に転用する動きが活発化しています。
主要プレイヤーである自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダ、マツダなど)は、自社製EVの回収ルートを構築し、リサイクル事業者と連携してセルレベルでの再利用・素材回収を推進しています。廃車時に回収されたセルは前処理工程を経て、シート状のリチウム化合物を再生する「サーマル処理技術」や、化学溶媒を使わずに電極コーティングを剥離する「機械的分離技術」が採用されています。これにより高いリサイクル率を達成し、廃バッテリーから抽出されたニッケル・コバルト・リチウムを新しい電極材に再加工するサーキュラーエコノミーサプライチェーンが構築されています。
産業用蓄電システム向けバッテリーリサイクル
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再生可能エネルギー導入の拡大に伴い、風力発電や太陽光発電の出力変動を平準化するための産業用蓄電システム(ESS)が需要を伸ばしており、リチウムイオン電池の導入量も増加しています。産業用バッテリーは高容量・高出力を重視するため、形状も大規模なパック単位となることが多く、回収・リサイクルにおいては規模の経済が働きやすい面があります。
この領域では、建設機械や産業車両など既存の鉛蓄電池からの置き換え需要もあり、バッテリーリサイクル業者はリチウムイオン電池と鉛蓄電池の両方を取り扱う体制を整備しています。産業用蓄電システムは寿命が約10年とされ、交換時にはセルやモジュール単位で回収されるため、各種電池製造メーカー(パナソニック、東芝、GSユアサなど)と連携して、リチウムイオン電池と鉛蓄電池の素材を分別回収し、高純度の金属素材へと再生するサプライチェーンが形成されています。
家庭用小型バッテリーリサイクル
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家庭用蓄電システムやスマートフォン、ノートPC、玩具、家電製品などに使われている小型バッテリー(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、アルカリ乾電池など)は、最終利用者による廃棄方法が分散しており、回収率が低い傾向にあります。自治体が運営する回収ステーションや家電量販店、コンビニエンスストアでの回収ボックス設置などによって、利用者が手軽に廃棄できる仕組みが普及しつつあります。
リサイクル事業者は、回収された小型バッテリーを前処理工場へ搬送し、まず火災・爆発リスクを低減するために電解液を除去します。続いて機械的破砕を行い、正極材・負極材・集電体(銅箔やアルミ箔)を分離し、化学的分離工程や冶金処理工程へと導きます。ニッケル水素電池やアルカリ乾電池は既に成熟したリサイクル技術が存在し、ニッケルや水酸化カオリン、亜鉛などを高い回収率で取り出せますが、リチウムイオン電池については前処理コストが高く、分離効率向上が求められます。
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主要プレイヤーと競争環境
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日本のバッテリーリサイクル市場には、大手電池メーカー、専業リサイクル事業者、素材メーカー、化学メーカーなど多様な事業者が参入しています。それぞれの強みや事業戦略を整理すると以下の通りです。
大手電池メーカー
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パナソニック、東芝、GSユアサ、日立化成などの大手電池メーカーは、自社製電池の回収・リサイクルを自社内で完結できる体制を整備しています。特にパナソニックは、EV向け電池および家庭用蓄電システム用電池の回収ルートを全国に構築しており、自社工場で前処理から化学的分離、冶金処理までを一貫して行う技術開発を推進しています。これにより高効率・低コストで金属素材を回収し、自社の電池材料へと再投入することで、サプライチェーンの安定化を図っています。東芝やGSユアサも同様に、再生可能エネルギー向け蓄電池を意識したリサイクル事業を展開。技術提携やM&Aを通じ、化学分離技術や冶金処理ノウハウを強化しています。
専業リサイクル事業者
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「E社(仮称)」「F社(仮称)」などの専業リサイクル事業者は、自動車用廃バッテリーや小型バッテリーの回収・前処理を中心に、化学分離・冶金処理プラントを運営しています。特にE社は、欧州系企業とライセンス契約を結び、先進的な機械的破砕技術と湿式冶金法を導入しています。F社は、化学産業向けのバイプロダクトを活用した溶媒再利用技術を自社開発し、溶媒コストを低減しています。これらの事業者は「バッテリーリサイクル専用プラント」を全国に展開し、大規模処理能力を武器にリサイクル量を拡大しています。ただし、資金調達面や後工程(冶金処理設備)の高コストが課題となっており、政府支援や金融機関からの融資を受けて設備投資を進めています。
素材メーカー・化学メーカー
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昭和電工、住友金属鉱山、三菱マテリアルなどの素材系企業は、リサイクル材を高付加価値素材に転換する技術開発に注力しています。昭和電工は、リサイクルされたニッケルを使った高性能正極材を開発し、一部EVバッテリーメーカーに供給実績があります。住友金属鉱山は、冶金処理技術を応用して、リサイクル金属を高純度ニッケル・コバルト製品として製造し、自社の鉱業から得られる原料と組み合わせることでコスト競争力を確保しています。三菱マテリアルは、リサイクル材を用いて銅めっき粉を製造し、電子部品向けに提供するなど、リサイクル材の幅広い用途開拓を進めています。
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戦略的示唆と今後の展望
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バッテリーリサイクル市場は今後も高い成長が見込まれますが、競争が激化し、技術面・コスト面での差別化が重要になります。以下では、事業者や政策担当者が採るべき戦略的示唆を示します。
脱炭素・資源循環を両立させるビジネスモデル構築
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政府は2050年カーボンニュートラルを目指す中で、二次元展開(リサイクル材を再度バッテリー材料へと投入するサーキュラーエコノミーモデル)の構築を推進しています。電池メーカー各社は、自社製バッテリーの回収から素材化、再投入までを自社グループ内で完結できる垂直統合型モデルを構築し、サプライチェーンの安定化とコスト削減を図ることが重要です。同時に、専業リサイクル事業者や化学メーカーと連携し、粗分離された金属素材を高付加価値素材に転換する技術開発を加速することが求められます。
補助金・助成金制度の活用と大規模プラント整備
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リサイクルプラントの設備投資コストは巨額であり、地方自治体のバックアップや政府補助金を活用して大規模設備を早期に整備する必要があります。特にリチウムイオン電池リサイクルでは、陽極材・陰極材分離技術、化学分離・冶金処理設備の導入が課題です。地域連携による共同リサイクルセンターの設立や、中小企業向けリサイクルプラントの共同出資モデルなど、資金調達面でのスキーム構築が急務です。
産業用蓄電池・セカンドライフ用途の拡大
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廃バッテリーをそのまま再利用するセカンドライフ用途、特に家庭用や産業用蓄電システムへの転用は、新たなビジネスチャンスです。電気自動車のバッテリーを蓄電システム向けに再用途化することで、新車用電池販売以外の収益源を確保できます。自治体や住宅メーカーとの連携で、太陽光発電と組み合わせたスマートグリッド構築を推進し、リサイクル材を活用したエネルギーソリューション事業を展開するとよいでしょう。
技術開発と人材育成への投資
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リサイクル技術は物理的分離、化学分離、冶金処理など多段階にわたり、高度な専門知識と経験が必要です。産学官連携による研究開発や大学・研究機関との共同プロジェクトを通じて技術の成熟度を高めるとともに、労働集約的な作業を自動化するロボット技術、AIによる異物検知・選別技術の開発に投資することが重要です。また、リサイクルエンジニアや化学技術者、プラントオペレーター向けの専門教育プログラムを整備し、人材不足を解消する体制を構築する必要があります。
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まとめ
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本レポート「Japan Battery Recycling Market Overview」では、日本国内のバッテリーリサイクル市場を、多角的な視点から分析しました。市場規模は2018年の約500億円から2022年には約1,000億円へと急速に成長し、2028年には約1,800億円を超える見通しです。自動車用バッテリーの普及に伴う廃棄リチウムイオン電池の回収増加、産業用蓄電システム向け電池需要拡大、家庭用小型バッテリーの分散回収網整備など、用途別に市場が拡大しています。
政策面では、政府がリサイクル標準の策定や補助金制度を強化し、バッテリーリサイクルに対する支援を拡充しています。技術面では前処理・化学分離・冶金処理・直接再利用技術の高度化が進み、コバルトやニッケルといった貴重金属の回収効率が向上しています。主要プレイヤーとしては、大手電池メーカーが垂直統合モデルを構築し、専業リサイクル事業者が大規模プラントを整備、素材メーカーが高付加価値化技術を開発するなど、競争環境は急速に進化しています。
今後は、脱炭素と資源循環を両立するビジネスモデル構築、補助金・助成金を活用した大規模プラント整備、セカンドライフ用途への展開、技術開発と人材育成への継続的な投資がカギとなります。

■目次
はじめに
1.1 調査背景と目的
- リチウムイオン電池をはじめとする二次電池普及の加速
- 環境規制強化および資源循環ニーズの高まり
- 電気自動車(EV)や再生可能エネルギー蓄電システムの普及とリサイクル必須性
1.2 レポートの範囲と構成
- 対象電池種類:自動車用バッテリー、産業用蓄電池、モバイルデバイス用電池、鉛蓄電池等
- リサイクル工程区分:収集・回収、前処理(分解・選別)、素材抽出(粉砕・溶解)、精錬・製錬、再利用原料化
- カバー領域:産業チェーン全体(メーカー、回収業者、処理業者、素材サプライヤー、最終需要家)
- 地理的範囲:日本全国、地域別(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)動向分析
1.3 調査期間およびベースラインデータ
- 調査対象期間:2018年~2024年実績値、2025年~2030年予測
- 主要参考データ:経済産業省、環境省、一般社団法人 JBRC(日本電池工業会リサイクル推進協会)統計、各社IR資料
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市場構造
2.1 バッテリーリサイクル市場の定義と区分
- 二次電池の用途別区分(自動車用、産業用、家庭用、モバイル用など)
- 電池化学組成別区分(リチウムイオン、鉛蓄電池、ニッケル水素、ニカドなど)
- リサイクルプロセスフェーズ別区分(前処理、素材回収、素材精製、販売・再利用)
2.2 主要産業参加者のマッピング
- 電池メーカー(パナソニック、東芝、GSユアサ、村田製作所など)の取り組み状況
- 回収業者・廃棄物処理業者(ENEOSリサーチ、横浜ゴム子会社など)
- 素材精製企業(住友金属鉱山、三井金属鉱業、大同特殊鋼などの素材部門)
- リサイクル装置・システムサプライヤー(アタゴ、クボタ環境機械部門など)
2.3 政府・業界団体の役割
- JBRC(一般社団法人日本電池工業会リサイクル推進協会)の指針と認定制度
- 環境省・経済産業省によるリサイクル法規制(資源有効利用促進法、廃棄物処理法改正)
- 地方自治体の収集・回収ネットワーク整備状況
2.4 用語定義・略語一覧
- EOL(End‐of‐Life)、SOC(State of Charge)、LLR(Lithium Leaching Rate)など専門用語
- 回収率、リサイクル率、素材回収効率、CO₂排出削減量指標の定義
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調査方法論
3.1 二次調査(デスクリサーチ)
- 官公庁統計(経済産業省「資源循環に関する統計」環境省「廃棄物統計」)の活用手法
- 業界レポート(JBRC年次報告書、日本電池工業会報告書など)参照のプロセス
- 企業IR・プレスリリース・技術論文の収集と分析手法
3.2 一次調査(インタビュー・アンケート)
- インタビュー対象:電池メーカーの環境部門責任者、リサイクル事業部門責任者、廃棄物処理企業の部門長
- アンケート対象:地方自治体環境課、産業廃棄物収集業者、素材精製企業の技術担当者
- 主な質問項目:収集・回収ルート、前処理技術、素材回収効率と課題、コスト構造、将来需要予測の視点
3.3 市場規模算出フレームワーク
- トップダウンアプローチ:二次電池出荷量から推定される廃棄・リサイクル対象量の算定
- ボトムアップアプローチ:主要リサイクル企業の処理能力・稼働実績データ集計+推計モデル
- 価格ベース市場規模:リサイクル原料(コバルト、ニッケル、銅、アルミニウムなど)の市場価格と回収量乗算による算出方法
3.4 品質管理プロセス
- 二次データの相互比較・矛盾検証(異なる統計データ間のギャップ分析)
- インタビュー・アンケート結果のクロスチェック(複数担当者間の意見整合性確認)
- 専門家レビュー体制:リサイクル技術専門家による仮説検証と結果的妥当性の確認
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日本のマクロ環境および政策動向
4.1 経済・産業構造概況
- 日本国内GDP推移と産業別電力需要の伸長動向(2018年~2024年)
- 自動車産業・蓄電池産業の成長性およびそのリサイクル需要への影響
- 再生可能エネルギー普及に伴う大型蓄電システム導入拡大と廃棄バッテリー発生量の将来見通し
4.2 政策・法規制の枠組み
- 資源循環促進法に基づく二次電池リサイクル義務と認定制度
- 廃棄物処理法改正による産業廃棄物の処理・再資源化基準強化
- EV推進政策および蓄電池普及支援策(補助金、優遇税制など)がリサイクル市場に与える影響
4.3 環境保護・サステナビリティ潮流
- ESG投資拡大による企業の環境対応圧力とリサイクル事業への参入動機
- 循環経済モデル構築の取り組み:カーボンニュートラル実現に向けた再生可能資源活用
- 地方自治体による独自のリサイクル支援プログラム(リサイクル施設整備補助、回収ネットワーク形成など)
4.4 廃棄物管理インフラ動向
- 地方自治体ごとのバッテリー回収ルール・回収拠点設置状況の違い
- 廃棄物処理業界の再編動向:中小企業の統合・大手企業による買収など
- 廃棄物処理施設整備計画とリサイクル前処理拠点分散配置の現状
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市場ダイナミクス
5.1 市場インサイト
5.1.1 バッテリー種類別リサイクル市場構造(鉛蓄電池 vs. リチウムイオン vs. ニッケル水素)
5.1.2 自動車用バッテリーと産業用蓄電池の発生量推移とリサイクルフロー比較
5.1.3 廃棄・回収プロセスのボトルネック(不法投棄、回収効率低下、前処理コスト増加など)
5.2 テクノロジー動向とイノベーション
5.2.1 粉砕・溶解技術の進化:高効率素材回収手法(溶媒抽出、熱分解、超音波分離など)
5.2.2 電気化学的リサイクル技術(電解処理によるコバルト・ニッケル抽出)の実用化動向
5.2.3 AI・IoTを活用した回収物流効率化:回収ルート最適化、在庫管理、品質トレーサビリティの実装事例
5.2.4 ディープフリーディング技術:セパレーター・電解質からの有価物回収研究動向
5.3 市場促進要因とドライバー
5.3.1 原材料価格上昇(コバルト・ニッケル・銅など)のリサイクル経済性向上効果
5.3.2 電池リサイクル法制の整備:メーカー責任拡大による回収体制強化
5.3.3 環境保護意識の高まり:消費者・企業の資源循環志向がリサイクル業者へ波及
5.3.4 メーカー主導のリユース・リマニュファクチャリングモデルの普及(バッテリーセル再生事業など)
5.4 市場阻害要因と課題
5.4.1 回収率の地域格差:地方自治体間の情報共有不足と回収インフラの未整備問題
5.4.2 電池の前処理コスト高騰:バラスト素材の分離難易度と人件費・エネルギーコスト増加
5.4.3 素材純度確保の技術的課題:電解液・集塵材など副生成物処理技術の不足
5.4.4 法規制・認可取得の複雑性:廃棄物処理法・化学物質管理法などへの適合コスト
5.4.5 海外リサイクル依存リスク:未処理電池の海外輸出規制強化に伴う国内処理需要不足問題
5.5 サプライチェーン分析
5.5.1 回収フェーズ:地方自治体ルート vs. 民間小売店ルート vs. メーカー回収ルートの比較
5.5.2 前処理フェーズ:分解・選別工程における人手依存度と自動化技術導入状況
5.5.3 素材抽出・精製フェーズ:溶解・電気化学プロセスを担う中核企業とその設備キャパシティ
5.5.4 再利用原料化フェーズ:回収素材の販売先(製錬業者、電池再製造企業、素材加工業者)と価格動向
5.5.5 ロジスティクス:大型バッテリー(EV用)輸送、危険物輸送規制、地方拠点から中核処理工場への輸送コスト
5.6 業界専門家の見解とケーススタディ
5.6.1 メーカー環境部門担当者インタビュー:サプライチェーン責任とリサイクル投資戦略
5.6.2 リサイクル事業者技術担当者ヒアリング:新技術導入時の課題と実証実験結果
5.6.3 地方自治体担当者の事例:地域間連携による共同回収・前処理拠点運営モデル
5.6.4 大手素材精製企業の取り組み:素材回収率向上のための技術革新投資と協業事例
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日本のバッテリーリサイクル市場規模・予測
6.1 総市場規模・推移(売上高ベース)
6.1.1 2018年~2024年の実績分析:廃棄・回収電池量とリサイクル原料売上推移
6.1.2 用途別(自動車用 vs. 産業用 vs. モバイル用 vs. 鉛蓄電池)市場シェア推移
6.1.3 2025年~2030年予測:年平均成長率(CAGR)予測とシナリオ別分析(ベースケース、ハイケース、ローケース)
6.2 市場規模・予測:電池化学組成別
6.2.1 リチウムイオン電池リサイクル市場:素材価値(コバルト、ニッケル、銅など)の価格変動影響
6.2.2 鉛蓄電池リサイクル市場:従来市場の成熟度と今後のリサイクル技術革新余地
6.2.3 ニッケル水素電池リサイクル市場:ハイブリッド車普及減速による発生量推移と市場縮小リスク
6.2.4 ニカド電池リサイクル市場:用途減少によるニッチ市場化と特定回収チャネル維持費用
6.3 市場規模・予測:用途別
6.3.1 自動車用バッテリーリサイクル市場(EV用・HV用バッテリー):廃棄電池発生量増加見込みとリサイクル需要
6.3.2 産業用蓄電池リサイクル市場(大型ESS、工場用バックアップ用バッテリー):設備更新タイミングとコスト要因
6.3.3 モバイル・家電用電池リサイクル市場(スマートフォン、ノートPC、携帯ゲーム機):小型電池回収率向上施策の効果
6.3.4 鉛蓄電池リサイクル市場(自動車用鉛バッテリー、UPS用、産業用鉛電池):既存法規制による回収率安定状況
6.3.5 二次利用・リユース市場(状態良好なセル再利用、再生セル販売):市場規模推定とビジネスモデル動向
6.4 市場規模・予測:素材別価値取引
6.4.1 コバルト商品価値取引市場:国際価格連動性と国内回収量影響要因
6.4.2 ニッケル・銅・マンガン取引市場:国内製錬所への供給動向と需給バランス
6.4.3 アルミニウム・プラスチック材回収市場:副次素材取引額とリサイクルコスト低減効果
6.4.4 希少金属(リチウム、コバルト)回収率推定値と回収効率向上余地の影響分析
6.5 市場規模・予測:地域別
6.5.1 北海道・東北地域市場(製錬所立地・回収拠点数):地域特性と集積効果
- 北海道の鉛蓄電池回収ルートと精錬補助金制度影響
- 東北地方の自動車用電池リサイクル需要と漁業・農業連携モデル
6.5.2 関東地域市場(東京、神奈川、埼玉、千葉等):回収インフラ密度と精錬施設への輸送コスト影響
- 首都圏での産業用蓄電池廃棄・リサイクル集中度と処理能力倍率
- 東京都における小型電池(家電用)回収キャンペーンの効果分析
6.5.3 中部地域市場(愛知、静岡、岐阜などの自動車産業集積地域):自動車用電池回収量と地域間連携モデル
- 愛知県を中心としたEV普及率上昇と廃棄バッテリー発生予測
- 静岡・岐阜県の素材精製拠点ネットワーク整備状況と物流最適化課題
6.5.4 近畿地域市場(大阪、京都、兵庫など):精錬・素材加工企業立地と回収量需要関係
- 大阪府内のリサイクル工場集積度と地場産業との連携効果
- 兵庫県における電池素材研究開発拠点と事業化推進状況
6.5.5 中国四国・九州沖縄地域市場(地方自治体予算規模と支援制度の地域格差)
- 九州地方での鉛蓄電池回収量と自治体協力による回収促進事例
- 沖縄県における小型電池回収インフラ未整備問題と将来投資計画
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セグメント別市場動向
7.1 電池化学組成別動向
7.1.1 リチウムイオン電池リサイクル動向
- コバルト、ニッケル、銅の回収効率向上技術導入事例
- 固体電池出現による従来リチウムイオンリサイクル市場への影響予測
7.1.2 鉛蓄電池リサイクル動向
- 既存法規制(鉛蓄電池リサイクル法)遵守率の実態と課題
- 精錬コスト低減技術(硫酸回収、分離効率向上)による収益性変化
7.1.3 ニッケル水素電池リサイクル動向
- ハイブリッド車普及減速に伴う廃棄電池発生量推移と市場影響
- コバルト・ニッケル抽出効率向上技術の研究動向
7.1.4 ニカド電池リサイクル動向
- 航空機用バッテリーなどニッチ用途リサイクル市場の特殊性
- 環境負荷低減技術(CADmium捕集・分離)導入効果
7.2 用途別動向
7.2.1 自動車用バッテリーリサイクル動向
- EV普及・HV台数増加に伴う使用済みバッテリー出荷予測と回収ルート整備状況
- メーカーリコール電池の一括回収体制とリコール履行率
7.2.2 産業用蓄電池リサイクル動向
- 太陽光発電・風力発電連携の大型ESS用バッテリー廃棄タイミングと需要予測
- 産業用UPSバッテリー(企業データセンター向け)リサイクル契約モデル
7.2.3 モバイル・家電用電池リサイクル動向
- スマートフォン・ノートPC・携帯ゲーム機使用済み電池回収施策の展開(店頭回収ボックス設置など)
- 中小リサイクル業者と家電メーカー協業による回収促進プログラム
7.2.4 鉛蓄電池リサイクル動向
- 自動車バッテリーの回収網整備と中古バッテリー再生ビジネス
- 産業用鉛蓄電池(工場用バックアップ電源)リサイクル契約形態と保管基準
7.3 技術・プロセス別動向
7.3.1 前処理技術動向(電池分解・選別工程)
- 全自動化分解ライン導入事例と人手削減効果
- BMS機能残存電池の安全性試験・放電工程の最適化
7.3.2 素材抽出技術動向(溶解・浮遊選択、電気化学分離技術など)
- 溶媒抽出プロセスの改善事例(有害物質排出低減、省エネ化)
- 電解処理による高純度コバルト抽出技術の導入状況
7.3.3 精製・精錬技術動向(電気精錬、サーマルメタリュージーなど)
- 電気精錬炉設備導入事例と投資回収シミュレーション
- サーマルメタリュージーを利用した高効率合金化技術の研究動向
7.4 流通チャネル別動向
7.4.1 自治体回収チャネル動向
- 地方自治体ごとの回収ステーション設置数推移と回収率の地域間格差
- 官民連携モデル(コンビニ・家電量販店店頭回収)による回収効率向上状況
7.4.2 小売店・電池メーカー回収チャネル動向
- スーパーマーケット・家電量販店の回収ボックス設置推進と顧客周知施策
- 電池メーカーの自主回収プログラム(リサイクル料金込み販売モデルなど)の影響
7.4.3 専門回収業者チャネル動向
- 大手廃棄物処理業者によるバッテリー回収部門強化と地方進出動向
- リサイクルPL(プロダクトライン)ごとの取り扱い体制整備状況
7.4.4 リサイクル業者・素材精製業者チャネル動向
- 素材精製企業とリサイクル業者の協業モデル(共同投資、技術提携など)の事例
- 素材流通商社の取扱量推移と国内外販売先連携戦略
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競合環境および主要企業動向
8.1 ポーターの5フォース分析
8.1.1 新規参入の脅威:高額設備投資、技術ノウハウ、認可取得の難易度
8.1.2 代替プロセスの脅威:海外センターへの輸出処理、バッテリーリユースビジネスの競合度
8.1.3 既存競合企業間の競争状況:大手電池メーカー系リサイクル部門 vs. 中小専門業者のシェア争い
8.1.4 取引先(自治体・大手メーカー)の交渉力:調達規模に伴う価格交渉力の強弱
8.1.5 サプライヤー(素材精製企業・前処理装置サプライヤー)の交渉力:特定装置・触媒依存度による影響
8.2 主要プレーヤー企業概要
8.2.1 一般社団法人 JBRC(日本電池工業会リサイクル推進協会)
8.2.1.1 組織概要・沿革
8.2.1.2 リサイクル認定制度の運用状況と加盟企業数推移
8.2.1.3 回収率向上施策(消費者啓発、回収ネットワーク構築)事例
8.2.1.4 テクノロジー標準化推進活動とガイドライン策定状況
8.2.2 パナソニック株式会社(環境ビジネス部門)
8.2.2.1 企業概要・沿革
8.2.2.2 EV用電池リサイクル事業の取り組み状況と処理能力
8.2.2.3 家庭用・モバイル電池回収プログラムと提携先ネットワーク
8.2.2.4 資源循環ソリューション提供モデル(B2B向け)
8.2.2.5 サステナビリティ目標とリサイクル率向上の中長期計画
8.2.3 住友金属鉱山株式会社(素材精製部門)
8.2.3.1 企業概要・沿革
8.2.3.2 リチウムイオン電池リサイクル素材供給事業の開始時期と拡大状況
8.2.3.3 素材精製プロセス(硫酸溶解・電気精錬など)の設備キャパシティと技術優位性
8.2.3.4 国内外提携先企業との協業モデル(自動車メーカー、欧州リサイクル企業など)
8.2.3.5 素材販売先(化学メーカー、電池メーカーなど)との取引構造
8.2.4 三井金属鉱業株式会社(リサイクル素材部門)
8.2.4.1 企業概要・沿革
8.2.4.2 廃電池回収から素材精製までの一貫体制構築状況
8.2.4.3 リサイクル素材の品質管理体制と品質保証スキーム
8.2.4.4 中小リサイクル業者向け技術支援プログラムと装置共同開発事例
8.2.4.5 電池リサイクル市場における差別化要素(コスト優位性、素材純度など)
8.2.5 ENEOSホールディングス株式会社(子会社ENEOSリサーチ)
8.2.5.1 企業概要・沿革
8.2.5.2 廃バッテリー回収から素材抽出までの一貫エコシステムモデル
8.2.5.3 独自の溶媒抽出技術・電気化学技術の実証プラント設置状況
8.2.5.4 大手自動車メーカーとのリサイクル協業プロジェクト
8.2.5.5 グループシナジーを活かした再生原料販売戦略
8.2.6 株式会社アタゴ(リサイクル装置サプライヤー)
8.2.6.1 企業概要・沿革
8.2.6.2 バッテリー前処理装置(分解機、選別機)ラインナップと販売実績
8.2.6.3 技術提携事例(大学・研究機関との共同開発)と市場投入製品
8.2.6.4 国内外拠点ネットワークとアフターサービス体制
8.2.6.5 将来展望:自動化・無人運転対応装置の開発状況
8.2.7 大同特殊鋼株式会社(特殊素材部門)
8.2.7.1 企業概要・沿革
8.2.7.2 リサイクル素材を用いた高付加価値特殊鋼材生産モデル
8.2.7.3 リサイクル素材取引先構造(自動車メーカー、家電メーカー、電子機器メーカーなど)
8.2.7.4 製鋼プロセスにおけるリサイクル素材配合比率・品質要件
8.2.7.5 サステナビリティレポートにおける資源循環指標開示状況
8.2.8 その他注目企業・ベンチャー(リサイクルロボティクス、AI選別技術企業など)
- 国内ベンチャー企業によるバッテリー自動分解ロボット開発事例
- AI・画像認識技術を活用した素材選別自動化システムの実証事例
- 海外リサイクル企業との提携・技術導入ケース
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機会評価(2025~2030年)
9.1 電池種類別機会評価
9.1.1 リチウムイオン電池:EV・PHV市場拡大に伴う大量廃棄電池発生予測とリサイクル需要増加余地
9.1.2 鉛蓄電池:既存リサイクル実績の高い市場から高機能リサイクル技術導入による収益性向上余地
9.1.3 ニッケル水素電池:HV普及のピークアウト後の廃棄量ピークとリサイクルフローの確立機会
9.1.4 ニカド電池:ニッチ用途ながら特殊用途電池リサイクル技術開発による競合優位構築余地
9.2 技術別機会評価
9.2.1 電気化学抽出技術:高純度コバルト・ニッケル回収を可能にする次世代技術実用化余地
9.2.2 溶媒抽出プロセス高度化:環境負荷低減・省エネ化を両立する新規触媒・溶媒技術導入機会
9.2.3 ロボティクス自動分解技術:人手依存度削減・安全性向上による前処理コスト削減機会
9.2.4 AI選別・品質判定技術:選別精度向上による副生成物低減と精製コスト効率化余地
9.3 流通チャネル別機会評価
9.3.1 自治体回収インフラ強化:共同回収拠点構築による回収コスト削減と地域連携モデル創出機会
9.3.2 家電量販店・小売店連携:来店客を活用した小型電池回収促進施策の拡大余地
9.3.3 メーカー再資源化プログラム:メーカー責任延伸(EPR)とB2B統合回収モデルの強化機会
9.4 規制・環境別機会評価
9.4.1 廃棄物処理法改正対応:認定事業者数増加による参入障壁緩和と新規事業者参入機会
9.4.2 CO₂排出削減目標達成支援:カーボンマイナス企業としてのリサイクル事業展開価値
9.4.3 海外輸出規制強化:国内処理インフラ拡充による内需取り込み機会
9.5 ビジネスモデル別機会評価
9.5.1 サブスクリプション型リサイクル契約モデル:定額回収・処理サービス提供による収益安定化機会
9.5.2 リユース・リマニュファクチャリングモデル:セル再生・中古セル販売による付加価値創出余地
9.5.3 素材トレーディングモデル:回収素材を活用したエコマテリアル・商社ビジネス領域拡大機会
9.5.4 コバルト・ニッケルの国内マテリアルバリューチェーン構築:素材一貫供給体制確立による産業競争力向上
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戦略的考察および提言
10.1 市場成長シナリオ設定
10.1.1 ベースケースシナリオ:現行政策維持およびEV普及トレンド継続による堅調成長
10.1.2 ハイケースシナリオ:政府支援強化、技術革新加速に伴う市場急拡大(CAGR+5ポイント想定)
10.1.3 ローケースシナリオ:EV普及鈍化・海外依存規制強化による市場停滞リスク
10.2 戦略的提言
10.2.1 既存リサイクル事業者向け:前処理・素材精製設備高度化への投資推奨とコスト最適化策
10.2.2 電池メーカー向け:サプライチェーン全体での回収・リサイクル統合プラットフォーム構築提案
10.2.3 地方自治体向け:共同回収センター設置による地方コスト削減モデル構築の支援
10.2.4 素材精製企業向け:高純度素材供給に向けた技術提携推進と購入先多元化戦略
10.2.5 新規参入企業向け:サブスク型回収モデル・B2Bトレーディングビジネスモデル参入のシナリオ検討
10.3 リスク要因と対応策
10.3.1 原材料価格変動リスク:素材価格ヘッジ手法と長期供給契約モデルの構築
10.3.2 技術陳腐化リスク:中長期的なR&D投資計画策定と官学連携による技術開発強化
10.3.3 法規制変化リスク:法改正情報収集体制強化と法規適合プロセスの標準化
10.3.4 海外依存リスク:国内精製能力拡充による自給率向上と輸出先分散化戦略
10.3.5 人材確保リスク:リサイクル技術者育成プログラム導入と業界横断的な人材交流促進策
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付録
11.1 用語集
- 本レポートで使用した専門用語および略語(EOL、SOC、リコメンダブル、電解液、等)の定義一覧
11.2 図表リスト
- レポート内主要図表の一覧(図表番号、タイトル、ページ番号)
11.3 調査対象一覧
- インタビュー実施先企業:電池メーカー、回収業者、処理業者、素材精製企業、地方自治体担当部署など一覧
- アンケート回収先:産業廃棄物処理業者、リサイクル協議会会員企業、地方自治体環境課など一覧
11.4 二次情報ソース一覧
- 官公庁統計、業界団体レポート、専門誌記事、各社IR資料等の出典一覧
11.5 調査協力企業一覧
- 調査に協力した企業・団体:バッテリー関連メーカー、リサイクル装置メーカー、素材精製企業、自治体など一覧
11.6 調査担当者プロフィールおよび謝辞
- 調査チームメンバーの氏名、所属、役割および謝辞
11.7 法令・ガイドライン関連資料
- 資源循環促進法、廃棄物処理法、化学物質排出把握管理促進法、電池リサイクル関連通達等主要法令・ガイドライン抜粋一覧
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■レポートの詳細内容・販売サイト
https://www.marketresearch.co.jp/MRC-BF04D012-Japan-Battery-Recycling-Market-Overview/

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