観察研究がもっと簡単に!Reactive Stat の傾向スコアマッチング機能 〜医療・社会科学研究者向け、ブラウザ完結型の因果推論プラットフォーム〜
エミュイン合同会社
公開日:2025/7/3
ブラウザ完結型統計プラットフォームにRエンジン連携による本格的PSM機能を搭載、マッチング品質評価から事後解析まで一貫した研究ワークフローを提供
統計解析プラットフォーム「Reactive Stat」に、観察研究における因果推論の精度を飛躍的に向上させる傾向スコアマッチング(PSM)機能を搭載いたしました。本機能は、医療研究や社会科学研究において、ランダム化比較試験が困難な状況での選択バイアス軽減を可能にし、より信頼性の高い治療効果推定を実現します。 Rエンジンとの緊密な連携により、最近傍マッチングアルゴリズムによる精密なペアリング、標準化平均差(SMD)による品質評価、そしてマッチング後のMantel-Haenszel検定、条件付ロジスティック回帰、層別化Cox回帰まで、一連の解析プロセスを統合的に提供します。研究者は複雑な統計手法を直感的な操作で実行でき、観察データから確実性の高い因果関係を導き出すことができます。
観察研究に役立つ、統合型の傾向スコアマッチング医療研究の現場では、倫理的制約や実用性の観点から、理想的なランダム化比較試験の実施が困難なケースが数多く存在します。例えば、がんのステージ別治療効果の検証や、新薬の安全性評価において、患者背景の違いが結果解釈を複雑化する問題は、研究者が日常的に直面する課題です。
Reactive stat の傾向スコアマッチング機能は、このような観察研究における根本的な課題を解決します。各患者が特定の治療を受ける確率(傾向スコア)を算出し、背景因子が類似した患者同士を精密にマッチングすることで、あたかも小規模なランダム化試験を多数組み合わせたような解析環境を構築できます。
信頼性の高い R により解析し、その結果は AI に解説させることができます直感的なUIにより、統計の専門知識を持つ研究者から、これから因果推論を学ぶ大学院生まで、幅広いユーザーが活用可能。複雑な統計理論の理解に時間を費やすことなく、研究の本質的な価値創造に集中できる環境を提供します。
R の出力結果がわかりにくい場合は、AI に解説させることができます。統計の専門家がそばについていなくても、独力で高度な統計手法を使いこなすことができます。
研究品質を保証する包括的品質管理システム本機能の核心は、マッチング品質の客観的評価システムです。従来のp値に依存した評価から脱却し、国際標準である標準化平均差(SMD)を採用。SMD
マッチング設定は研究目的に応じて柔軟に調整可能です。1:2の比率設定により効率的なサンプル活用を実現し、Caliper値(デフォルト0.2)の調整で類似性の厳密さをコントロール。研究の特性に応じた最適なバランスを追求できます。
シームレスな事後解析による完結型研究環境
マッチング完了後は、研究目的に応じた3つの専門的解析手法をワンクリックで実行できます。
Mantel-Haenszel検定では、マッチングで作成された層ごとの2×2分割表を統合し、死亡率や疾病発生率などの二値アウトカムの群間比較を高精度で実施。特に単純明快な効果判定が求められる臨床研究に最適です。
条件付ロジスティック回帰は、マッチングペアを条件として複数の共変量を同時考慮。交絡因子の詳細な評価が必要な疫学研究や、複雑な背景因子を持つ患者群の解析で威力を発揮します。
層別化Cox比例ハザード回帰では、生存時間データに対してマッチングペアを層として扱い、時間依存性のアウトカムを分析。長期追跡研究における治療効果の経時的変化を精密に捉えます。
研究現場に寄り添う実用性重視の設計思想ブラウザ完結型の安全な環境で、データは外部送信されることなく完全にローカル処理。医療データの機密性を保ちながら、高度な統計解析を実行できます。また、マッチング結果は専用カラム(matched_pairs、propensity_scores)として保存され、R のコードもわかりやすく表示されますから、研究の透明性と再現性を確保します。
研究者の皆様には、ぜひこの革新的なツールを活用いただき、より確実性の高い研究成果の創出にお役立てください。
ブラウザとデータファイルがあれば、すぐに解析できます・マニュアル本は要りません。
・すべての統計手法のページには、利用に必要な解説が載っていますし、必要な情報へのリンクも用意してあります。
・PCにソフトウェアをインストールする必要はありません。
・信頼性の高い R での結果が得られます。
・ウェブアプリで結果を得たあとに、そのデータを外部の R サーバーに送信し、その実行結果を得ることができます。
・外部の R サーバーに送信されるデータは、セキュリティを考慮し、数値計算に必要な最小限のセットとしています。また、送信前に内容を確認できます。自動的に送信されることはありません。
・常に最新バージョンのRを利用できます。
・結果がリアルタイムに反映されるウェブアプリですので、統計解析に不慣れな場合でも試行錯誤が容易です。
・データの内容を常に把握しながら作業が行えるように工夫してありますので、どうしたらいいかわからない、という状況に陥ることがありません。
・出力されるグラフはインタラクティブな高機能なものです。
・データファイルを読み込んで利用できます。
・CSV 形式データファイルおよびエクセルファイルに対応
・データファイルはブラウザ内部に読み込まれるだけで外部には送信されませんので、セキュリティの問題はありません。
・日本語のデータファイルを扱うことができます
・海外製のアプリですと、カラム名が日本語だと受け付けられないなどの制約がしばしばありますが、Reactive stat にはそのような制限はありません。
共用PCやタブレットでも
ソフトをインストールできない共用のPCや、iPad などタブレットでも実行可能です。
モバイルデバイスの場合は、 Google Drive, One Drive などのクラウドストレージからファイルを直接読み込むことができます。
読み込んだデータファイルの内容がそのままクラウドに送信されることはありませんので、個人情報を含むデータでも安心して解析できます。 共用PCの場合は、ログアウトすればすべて消去されますので安心です。
なお、R での解析やその結果を AI に解説させる機能では、クラウドに最小限のデータを送信しますが、統計解析に必要最小限のデータであり、個人情報が送信されることはなく、また、送信前にその内容を確認する手順になっていますので安心です。
スマートフォンでも
スマートフォンでも使えるように画面設計してあります!
最終的な統計解析を行うことを想定しているわけではなく、統計に不慣れなユーザーに手軽に親しんでいただくことが目的です。 専用のサンプルデータを解析手法ごとに用意していますし、 膨大な数の R のサンプルデータを簡単に検索して読み込めます。 また、できるだけ詳細に解説を付けてありますので、実際にデータを操作しながら統計を学んでいただくことが可能です。
Google Drive や One Drive のデータファイルを読み込めますので、ご自身のデータの解析して論文の原稿を書くこともできてしまいます!
インタラクティブな解析で理解が深まります
Reactive stat の名前の由来は
データの内容を常に確認しながら設定し、設定を変更するとリアルタイムにグラフなどが変化することが名称の由来です。
常にデータ内容を視覚的に把握しつつ解析を行えます
小さなヒストグラムなどで、しつこいほどにデータ内容を視覚的に示します。
統計処理においては、常にそのデータの性質、すなわち、カテゴリー変数なのか連続変数なのか、どのような分布をしているのかなどを把握しておく必要があります。
常にデータ内容を意識しつつ作業できますので、迷うことなく素早く正しい結果に到達できます。
すべての統計手法にデータと設定のサンプルを用意してあります
すべての統計手法のページには、 サンプルデータと設定の呼び出し ボタンが付いています。 これを押すと、典型的なサンプルデータと、そのデータに対する解析のための設定内容が読み込まれます。
その統計手法を初めて扱う場合でも、 どのような形式のデータが必要なのか、どのような形で結果が得られるのか、 サンプルを読み込んで実際に動かすころで理解が深まります。 そして、ご自身のデータをどう処理すればよいかがすぐに分かります。
信頼できる R の解析結果を AI に解説させて容易に理解できます
Reactive stat では、ほとんどの統計解析を R言語 (統計解析を主な目的とする専門的なシステム) を利用して行うことができます。
R は数多くの専門家が参画して作り上げられたシステムで、信頼性が高く、無料で利用できる素晴らしいものですが、なかなか敷居が高いです。 出力された解析結果も、英語で書いてあってわかりにくいです。
それを劇的に使いやすくしてくれたのが EZR ですが、インストールが必要だったり、やはり統計解析の初心者には難しいという声も聞かれます。
そこで、Reactive stat では、ブラウザでの簡単な操作で、インタラクティブに R による解析が行えるようにしてみました。 さらに、その解析結果を、AI に解説してもらう機能が付いています。
AI による解説には、そこで使われている統計手法の説明から、得られた結果の解釈、さらには学会発表や論文にどのように表現すればよいかまで含まれます。
論文や学会発表の準備が簡単になります
医療統計でよく使う統計手法を網羅しています
特に医療分野で頻繁に使われる統計手法を広くサポートし、また、医学論文で必要なグラフの作成が簡単に行えます。 今後、リクエストがあればさらに拡充してゆく計画です。
また、心理統計の領域で使われる手法も今後拡充してゆきます。
最新の R による解析結果が得られ、論文への記載が容易です
・論文発表や学会発表において、「統計解析はRで行いました」と書くことができます。・Rは通常、毎年2回 (4月と10月) バージョンアップされます。これらのリリースにはバグ修正などが含まれます。
・解析ごとに、R 本体および使用されたすべてのライブラリのバージョンを表示します。
・近年重要視されるようになった効果量の値の計算が多くの統計手法でサポートされています。
・論文にどのように書けばよいか、AI が教えてくれます。
論文や学会発表で必要なサマリー表がすぐに作成できます
ほとんどの臨床系の論文で必要とされる、症例の背景因子の表が、あっという間に作成できます。 一つ一つの因子を統計解析し、その数値をまとめて表にするのは、意外と手間のかかるのもです。 これを、本当にあっという間に作成してくれます。 ぜひお試しください。
ドラッグ&ドロップで項目を入れ替えたり、統計処理がパラメトリックとノンパラメトリックから選べたり、徹底的に使いやすさを追求しています。 使いこなしていただけると嬉しいです。
p値まで含んだ表が出力されますので、学会発表くらいなら統計処理がこの機能だけで済んでしまう場合もしばしばあります。
本当に「あっという間に」思い通りのサマリー表が作成できてしまいます!
多彩なチャートを簡単に作成できます
多く用いられるチャートを簡単に作成できるよう、チャート作成機能を充実させました。
対象ユーザー
・統計学には興味は無いが学会発表があるのでちゃちゃっとデータ処理を済ませたい方
・実際のデータを触りながら統計を学びたい初心者
・手持ちのデータを探索的に把握したい研究者
などなど、(統計学者以外の) あらゆる方が対象です。
統計結果のグラフは、設定の変更をリアルタイムに反映しますから、その理解が簡単です。 上の例にも示すように、ROC曲線における閾値の変化で、感度や特異度がどう変わるのか、実際にサンプルデータで試してみることで、その原理まで理解が深まります。
また、常にデータの内容を視覚的に示しつつ設定を進めてゆくという基本コンセプトですので、どうしていいかわからない迷子になってしまうことがありません。
Reactive stat により、統計嫌いが少しでも減ることを願っています。 そして、皆様の貴重な研究成果の発表のお手伝いができると嬉しいです。