早稲田大学時代に「渡辺まお」として人気AV女優に! 新進気鋭のエッセイスト「神野藍」が処女作で綴った衝撃エピソードとは…
株式会社ベストセラーズ
更新日:2025/6/19
『私をほどく 〜AV女優「渡辺まお」回顧録〜』6月17日発売
早稲田大学在学中にAV女優「渡辺まお」としてデビューし、人気を一世風靡するも、大学卒業とともに現役を引退。その後、「神野藍」として活動し、注目されている文筆家・エッセイスト。AV女優「渡辺まお」時代の「私」とは何だっかのか? 神野 藍がしずかに、懸命にほどいた一年の軌跡。ホス狂い、身バレ、 ストーカー、死の予感・・・今だからこそ赤裸々に綴られた衝撃のエッセイ。魂の叫びに感涙必至!
早稲田大学時代にAVデビュー、人気を博すも、大学卒業とともに現役を引退。現在は、文筆家・エッセイストとして活躍している神野藍さんによる初の著書『私をほどく 〜AV女優「渡辺まお」回顧録〜』(KKベストセラーズ)が発売となりました。
AV女優時代の「私」、「渡辺まお」とは一体何だったのか?
ホス狂い、身バレ、ストーカー、死の予感……衝撃のエピソードと裏腹の、
静かな筆致で、「私」をほどいていきます。ウェブマガジンBEST T!MESの連載としてスタートし話題沸騰、
このたび加筆・書き下ろしを加え、稀有の処女作が誕生しました。
ーーー私がAV女優になったのは、肉体的な死を選ぶことができず、社会的な死を望んだからだ。
偶然にもAV女優という手段が、限界に達していた私の目の前に現れて、藁にも縋がる思いで手を伸ばした。
今考えると安易だったのかもしれないが、そのころの私には自分がデビューしたらどうなるのかやその後の自分の人生について具体的に考える余裕を持ち合わせていなかったのだ。
これが現時点で出せている「なぜAV女優になったか」の答えだ。ーーー神野 藍
「生きること、考えること、女であること、
自分であることをサボらず誤魔化さなかった
元エリートAV女優が綴る〝若い女のリアル〟。
とても貴重な、心強い書き手の登場です。」ーー作家・鈴木涼美さん、絶賛!!
〈内容抜粋「はじめに」より〉
二十歳のとき、私はビデオカメラの前で裸になった。思わず目を細めてしまうほどの照明の中、沢山の人間に囲まれてするセックスは思いのほかあっけなかったのを覚えている。快楽も衝撃もないまま、渡辺まおとしての人生は始まった。
現役の間、無我夢中に走り続けた。ぽっかりと空いた何かを埋めるように、撮影を詰め込んでいた。私が欲しかったのは人気でもお金でもなく、抱えている苦しみから目を逸そらすための痛みだった。
私は自分の抱えている苦しみの正体が分からなかった。
裸になることで失ったものなのか、決断したことへの後悔なのか、渡辺まおになる前からあったものなのか。もしかしたら、その全てなのかもしれない。
私はそっと蓋をした。目を逸らして何もなかったことにすれば大丈夫だと。痛みは痛みで塗ぬり替えればいい。全て塗り潰つぶしてしまえば、もう何も見えない。
二十二歳のとき、私はビデオカメラの前で裸になるのをやめた。渡辺まおと決別し、私として新しい道を歩むはずだった。なぜか身動きが取れなかった。
知らず知らずのうちに、私は私に呪いの茨を巻き付けていた。
「私は幸せになれない」
「私は汚い」
灼けつくような感情に襲われる。蓋をして見て見ぬふりをしていたものたちが、甘い言葉を囁いてくる。「一緒に溺れてしまえば、楽になれるよ」と。
それでも良いと思った。何もせず、何も考えないまま「私って幸せになれない」と思っている方が、進みはしないが新たには傷つかない。
でも、本当に何もしないことが私にとっての救済なのだろうか。進んでいるようで、進んでいない人生をなぞることが私のためになるのだろうか。
私の呪いを断ち切れるのも、私を救い出せるのも私だけだ。
他の誰かに任せてはいけない。
私の身体に刃を突き立て、溢れ出た血で言葉を残す。
私が望んだ場所に歩いていけるように、もっと自由になれるように。
〈目次〉
はじめに
#1 すべての始まり
#2 脱出
#3 初撮影
#4 女優としてのタイムリミット
#5 精子とアイスクリーム
#6 「ここから早く帰りたい」
#7 東京でのはじまり
#8 私の家族
#9 空虚な幸福
#10 「一生をかけて後悔させてやる」
#11 発作
#12 AV女優になった理由
#13 セックスを売り物にするということ
#14 20万でセックスさせてくれませんか
#15 AV女優の出口は何もない荒野だ
#16 後悔のない人生の作り方
#17 刻まれた傷たち
#18 出演契約書
#19 善意の皮を被った欲の怪物たち
#20 彼女の存在
#21 「かわいそう」のシンボル
#22 わたしが殺したものたち
#23 28錠1シート
#24 無為
#25 近寄る死の気配
#26 帰りたがっている場所
#27 わたしとの約束
#28 読書について1
#29 読書について2
#30 孤独にならなかった
#31 人生の新陳代謝
#32 「私を忘れて、幸せになるな。」
#33 戦闘宣言
#34 「自衛しろ」と言われても
#35 セックスドール
#36 言葉の代わりとなるもの
#37 雪とふるさと
#38 苦痛を換金する
#39 暗い森を歩く
#40 業
#41 四度目の誕生日
#42 私を私たらしめるもの
#43 ここじゃないどこかに行きたかった
#44 進むために止まる
#45 「好きだからしょうかなかったんだ」
#46 欲しいものの正体
#47 あの子は馬鹿だから
#48 言葉を前にして
#49 私をほどく
#50 あの頃のわたしへ
おわりに
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〈著者プロフィール〉
神野藍(じんの・あい)
文筆家、エッセイスト。元AV女優。1999年生まれ。2020年5月、早稲田大学在学中に渡辺まおとしてAV女優デビュー。2022年5月、現役引退後は、文筆家・タレントとして活動中。好きな本は谷崎潤一郎『痴人の愛』。趣味はトレーニング。Webサイト「BEST T!MES」で連載「揺蕩と偏愛」を配信中。