タワマン“心臓部”は地下に、豪雨による機能停止リスク
株式会社さくら事務所
公開日:2025/9/12
武蔵小杉駅が冠水、品川で川が氾濫……「高層だから安心」は間違い⁈
個人向け総合不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)、マンション管理組合向けコンサルティングを行う“不動産の達人 株式会社さくら事務所”(東京都渋谷区/社⻑:大⻄倫加)は9月11日、都内をはじめ各地で豪雨被害が発生したことを受け、マンション管理コンサルタント土屋輝之によるタワーマンションにおける水害リスクに関するコラムを公開いたしました。本件に関する取材やご質問がございましたらお気軽にお問い合わせください。
高層建築物は「水害に強い」は間違い⁈タワーマンションの高層階はもちろん水害の被害に遭う可能性は低いですが、次のような理由からタワーマンション自体は決して水害に強いとはいえません。
■重要な設備が地下にある
地上階はできるだけ住戸や共用部に充てたいという事情や意向から、電気室や受水槽、給水ポンプといったライフラインに直結する重要な設備も地下に作られるのが一般的
・浸水が電気や水道といった機能の停止に直結するおそれがある・電気室などには排水ポンプが備えられていないことが多い
・移設や水密にするには高額な費用がかかる
■駐車場が機械式
タワーマンションの駐車場は機械式が多い。機械式駐車場には排水ポンプが備えられているが、集中豪雨は想定されておらず、排水能力には限界がある
・強い雨により操作盤が安全上の理由から制御され、車両を出せなくなることも・駐車場の浸水を避けるために備えられてる止水板などの取り出し方・使用方法が周知されていないことも
2019年に川崎市のタワーマンションに甚大な被害をもたらした台風19号は、多摩川を氾濫させたわけではありません。浸水は、短時間の豪雨により雨水の排水が追いつかずに発生する浸水や河川の水位上昇により排水できなくなった雨水があふれる「内水氾濫」によるものです。
下から上がってくるものに対策することになるため、メカニズム的には雨水の排水と公共の排水管との接続方法や公共の排水管との高低差などをまず把握する必要があります。有効な対応策は建物の構造や立地などにもよるところですので、設計者や設備の施工者、あるいはマンション管理コンサルタントなどと一緒に考えていかなければ、対策しようにも「どこを対策すれば効果的なのか」「そもそも対策する必要があるのか」は判別できません。
今からできる備えも・
水害リスクを知る
まずはハザードマップを確認し、立地エリアの洪水・内水氾濫リスクを把握することが大切です。
・
止水板や簡易対策の準備
浸水想定に応じて止水板やビニールシートを備えておくだけでも、被害を軽減できる可能性があります。
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防災グッズを備えて終わりにしない
防災用品は定期的に点検・訓練を行い、管理交代時にしっかり引き継ぐことで初めて役立ちます。
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日頃からの訓練
住民全員が有事の行動を理解するために、防災グッズの使用を含めた定期的な訓練が欠かせません。
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保険の見直し
火災保険や水災特約の補償内容を確認し、地下駐車場の車両など個別リスクも含めて見直すことが必要です。
詳細はコラムで解説しています。
タワーマンションは水害に弱い? 浸水に備える手段と今から実践できる対策
さくら事務所について
株式会社さくら事務所(東京都渋谷区/社⻑:大⻄倫加)は「人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」を理念として活動する、業界初の個人向け総合不動産コンサルティング企業です。1999年、不動産コンサルタント長嶋修が設立。第三者性を堅持した立場から、利害にとらわれない住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスを行う「不動産の達人サービス」を提供、73,000組を超える実績を有しています。
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