論文テスト対策は「書いて勉強するな」!? 難関資格を次々取得した受験指導のプロが教える合格メソッドとは?

ビジネス

公開日:2024/2/9

どんな人でも1番結果が出る勉強法 合格は「あたりまえ化」の法則
どんな人でも1番結果が出る勉強法 合格は「あたりまえ化」の法則』(TAC出版)

 試験にも“プロ”がいる。社会人としてシステムアナリスト、ファイナンシャルプランナー(CFP)、行政書士(2カ月一発合格)、宅建士、50代で公認会計士、システム監査技術者と、難関資格を短期間で次々と取得してきた受験指導のプロ、トレスペクト教育研究所の代表・宇都出雅巳の新刊『どんな人でも1番結果が出る勉強法 合格は「あたりまえ化」の法則』(TAC出版)は、学生や資格取得をめざす社会人へ、合格に向けた「結果が出る勉強法」を指南する一冊だ。

 テキストに沿って「前から順番」に習う、いわゆる「学校の勉強」から卒業するのが大事と著者はいう。ベストセラー書『速読勉強術』(すばる舎)など、多くの受験者に支持される著者が伝える“真の合格メソッド”とは。その内容を紹介する。

問題と解答に「これは常識、あたりまえでしょ」と言える状態が理想

 試験へのマインド、本番までの具体的な勉強プロセスを学べる本書。合格への第一歩は「◯◯年◯月 ◯◯試験合格」と、まっさらな紙に書き込むところからはじまる。

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 受験への「覚悟」はできた。ではその後、何をするべきか。基礎的な問題が掲載される「問題集」や「参考書」に手を出したくなるが、著者は最初から「受験する試験の過去問を読むこと」をすすめる。

 基礎を知らないと“問題の意味すらも分からないのでは…”と思ってしまうが、過去問は「過去の本試験問題そのもの」であり、近い将来に受験する“実際の試験にもっとも近いもの”だと、本書を読むと気が付く。

 また、過去問は「解く」のではなく「読む」だけでいい。「読みたければ、さっさと解答解説を読んでも」かまわないとも、著者は述べる。知識が足りず、読むのも苦しくなってきたら「見出し」など、文章が短く「ラクに読みやすいところ」だけを見るのでもいい。

 本番までに繰り返し過去問を読むと、内容が理解できるようになる。そして次第に、その内容について「これは常識、あたりまえでしょ」と言えるほど知識が定着していくが、これを著者は「あたりまえ化」と呼んでいる。試験当日が「ピーク」となるように過去問をできる限り「つぶす」という著者による勉強法は、不思議と勉強への抵抗感もやわらげてくれる。

「択一式」「計算科目」「論文式」で分かれるアプローチ

 自身にとって、解答を「あたりまえ化」するためには何が必要か。本書によると、勉強時のアプローチは、試験形式が「択一式」か「計算科目」か、「論文式」かによって分かれる。

 問題に沿って選択肢を選び解答する「択一式」では、本番で「『一瞬』で正誤」を判断、その理由を「説明」できるようになるのが理想だ。過去問では最初、意味が分からない用語があってもひとまず読んで問題文になじみ、「主語と述語だけにフォーカスして(問題文の該当箇所を)◯で囲んでつなぐ」「誤った選択肢の間違っている部分」を正しく直すなど、ステップを踏んでゴールをめざす。

 公認会計士試験など「計算」が求められる「計算科目」の理想は、本番で「解答プロセスを素早く思い出し、当てはめて計算ができる」状態だ。「択一式」とはアプローチが異なり、解答へのプロセスでは、問題文で言葉が「省略」される傾向にあるため「言葉を補う」意識が必要。実際、問題文を読みながら「数式から思い出される言葉や文章を書き加えていく」「キーワードや見出し」になりそうなものは「◯」で囲むなどして、やがて問題文を「九九のように一瞬で語れて解ける」状態まで持っていく。

 最後、「論文式」の試験では、本番で「必要な知識を的確に思い出し、正確な言葉・定義で論理的に書ける」のが理想となる。ただ、著者が「書く勉強をしないほうがいい」と主張するのは意外だ。その理由は、勉強時に大きな「時間とエネルギー」を費やす必要があるためで、代わりに、歩きながらでもできる声で「語る」勉強法を提案している。解答では、問題に沿って「ざっくり」とでもかまわないので「タイトルをつける」、解答に見出しを付けて内容を「3つに分ける」などして語り、いずれ本番で書けるようになるのをめざす。

 さて、本稿で紹介した内容は本書のごく一部であるが、著者による勉強法はこれまでの常識にとらわれていた側からすると、目からウロコなものばかりだ。テキストのみではなく、QRコード経由で著者の解説動画(8本)も見られるのもポイント。今ある勉強の習慣を見直して、合格を勝ち取ってほしい。

文=カネコシュウヘイ

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