うちの猫、エサの催促方法が特殊なんだが!? クセ強猫たちに振り回され続ける飼い主の日常

マンガ

更新日:2024/5/9

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 猫マンガと聞くと、かわいい猫の姿に思わず癒やされる作品を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、世の中にはかわいいだけではない個性的な猫との生活を描いた猫マンガも存在する。

 X(旧:Twitter)でも大きな話題となったシリーズ累計50万部を突破した大人気マンガ『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!』(鴻池剛/KADOKAWA)は、クセの強い猫たちとのちょっと普通じゃない日常が描かれている作品だ。猫たちと作者の生活に思わずくすっと笑って元気になれるので、癒やしを求めている人にこそおすすめしたい。

advertisement

 本作の作者・鴻池剛さんは、友人から捨て猫を飼ってほしいと頼まれたことがきっかけで、猫を飼い始めることに。そうしてはじまった元捨て猫・ぽんたとの生活は、一般的な猫との暮らしとは大きくかけ離れているような気がして——。

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 ぽんたは作者のことをエサやり機だと思っているのか、とにかく容赦も情けもない。撫でるだけで威嚇・ひっかき・噛みつきと、あらゆる方法で攻撃を仕掛けてくる。さらには、発情期のマーキングのためにそこら中の家具におしっこをしたり、吐いたりするので、作者がゆっくりすごせる日はなかった。

 特にその関係性が分かるのは、ぽんたのエサの催促方法だ。飼い始めのころは猫らしく鳴いて催促していたのに、2年経ったころには作者の足を攻撃するように。そして、現在ではもはや攻撃することもなくなり、後ろ足で作者の足を踏みつけて催促してくるのだ。上下関係がありありと想像でき、思わず笑ってしまうだろう。ページの左下に書かれた作者のひと言に哀愁が詰まっていて、「飼い主がんばって!」と思わず応援したくなる。

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 2巻からは、作者が仕事帰りに見つけた捨て猫「アルフ(=アルフレッド)」も加わり、2匹とひとりの日々がはじまる。猫風邪にかかってボロボロだったアルフは、作者のケアのおかげでぽんたと同じ部屋ですごせるまで元気になっていく。

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 お互いのお尻の臭いを嗅ぎ合って、猫パンチを繰り広げる2匹。そのまま追いかけっこがはじまり、作者の側を通り過ぎるついでにぽんたは作者の足に噛みつくのだ。アルフが来てもまったく変わらないぽんたの態度に、思わず笑顔になってしまう。猫の数だけ増えたトラブルのせいでもっとドタバタになってしまったものの、愛情いっぱいに猫たちをお世話する作者の日々は続いていく。

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 3巻で印象的なのは、日常の中でも健康にフォーカスしたエピソードだ。アルフを撫でていた作者は、皮膚にあるシコリを見つけた。ガンではないかと心配になり病院に連れていくと、獣医師が猫のシコリは切って検査してみないと良性か悪性かわからないというのだ。検査の結果、アルフのシコリは悪性でなかったものの、悪性の場合は手遅れになることも少なくないという。こうした猫を飼うのに必要な知識も身に付くのが本作の魅力のひとつといえる。

 もし悪性のシコリだったとしても、早期発見すれば助かる可能性もあるそうだ。日常的な猫との触れ合いで発見できたことからも、作者の猫への愛情深さを感じられるだろう。もし、猫を飼っているなら、触診も兼ねて毎日たくさん撫でてあげてもらいたい。もちろん、ぽんたのように触診のハードルが高い猫もいるのだが——。

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!

 愛らしい2匹の猫たちと悲壮な作者の姿に思わず笑顔になれるので、本作を読めば笑って癒やされること間違いなしだ。自由気ままで奇天烈な行動をし続ける猫たちと、そんな猫に全力で振り回される作者の日々をいつまでも見守り続けたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

あわせて読みたい