「こぼされたら被害が大きいから」食卓から味噌汁が消えた… 高齢新米親の奮闘とメシ事情を描いた家族の成長物語

マンガ

公開日:2024/7/22

よそじとふたごのメシ事情

 妊娠・出産の高齢化に伴い、子育てする親も高年齢化している。四十路で親になることも決して珍しくないが、体力面や将来的なことを考えると不安もある。しかし動き出した時計は止められないのだからやるしかない! 四十路をちょっと過ぎて双子の親になった著者が描く『よそじとふたごのメシ事情』(小坂俊史/竹書房)は、双子が産まれ4人暮らしとなった高齢新米親の奮闘とメシ事情をほっこり描く家族の成長物語だ。

 前作「新婚よそじのメシ事情」でアツアツ新婚食卓ショートを描いた著者にめでたく双子男児が誕生。気ままな2人暮らしから一気に4人暮らしに、そして食卓の中心は夫婦から子どもへ。双子と成長とともに笑いと奮闘のメシ事情が描かれる。

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よそじとふたごのメシ事情

 帝王切開のため「今日の午後には親になります」と実感伴わぬまま46歳にて双子の親となった著者。子どもが生まれた日に選んだ食事が親子丼というチョイスに妻から突っ込まれてしまうが、大事な日の食事というのは忘れられないものだ。

よそじとふたごのメシ事情

 独特のゆるく柔らかい雰囲気で描かれる本作。双子の知られざる生態と可愛さにほっこりさせられる。また夫婦の掛け合いも楽しく、テンポよく読めてしまう。

よそじとふたごのメシ事情

 子どもが思春期を迎えるころの著者は50代後半。食卓の中心である子どもたちの好きなハンバーグやカレーといったメニューが並ぶのはなんだか嬉しい! 気持ち的にはそう思えても年相応に胃袋の機能も低下していく。家庭内パンデミックは避けられず、親もカゼを引く上に年のせいかなかなか治らず2週間はカゼを引きずる。子育てあるあるに首がもげるほどうなずいてしまうはず。

よそじとふたごのメシ事情

 子育てにおける子どものメシ事情が中心に描かれるものの、同時に変化していく大人のメシ事情も垣間見られることが魅力のひとつである。育児中の親であれば共感することはもちろん、『新婚よそじのメシ事情』からのファンにとっては変化も楽しめるポイントだ。

よそじとふたごのメシ事情

 乳幼児期の子育て中の親にとって、日々のごはんはまさに戦い。いつまで続くのかと不安になることも…。食事をゆっくり味わう日など永遠にやってこない気さえしてくる。

 子どもが産まれてから巣立っていくまで食事のことを考えないことはないのではないだろうか。母乳を飲んでくれない。離乳食を作ってもひっくり返される。アレルギーがあるのは自分のせいではないか。偏食がひどくて不安になる。きっと悩んだり不安にならない親はいないはず。それは食事と子どもの成長が直結しているからであり、親としてはどうしても切り離せない悩みなのだ。

 それでも成長するにつれて悩みは変わっていくし、このドタバタした日々も愛おしさへと変わっていく。ごはんの戦いを振り返れば家族の成長とともに思い出として残っていく。子育てにおける“メシ”は、家族の歴史そのものなのかもしれない。

よそじとふたごのメシ事情

 家族が増えたことで今まで当たり前だったことやルーティーンが崩れることも増える。崩れても新しく構築しつづけることが家族の成長なのだ。

 実家での食卓、ひとり暮らしでの自由気ままな食卓、新婚のアツアツな食卓、そして子どもが産まれ新しい家族での笑いと戦いの食卓。生活や環境の変化とともに食卓も変化していく。その変化を楽しむことが出来る「メシ事情」シリーズは、ずっと見守りたくなる作品だ。

文=ネゴト/ Ato Hiromi

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