「痩せてなくっちゃ、オシャレをしちゃいけない」そう思っていた。ありのままの自分を受け入れることの大切さ

マンガ

公開日:2024/6/14

自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 日本でも話題にあがることが増えた“ルッキズム”は、外見を重視する価値観のことで、そのことに着目したマンガも注目を集めている。顔やスタイルなどの外見に悩む人が少なくない現代社会において、過度な外見重視の傾向を見直そうとする動きが活発化している。

 イラストレーターのharaさんが自身の体験をもとに描いた『自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ』(KADOKAWA)は「自分の体をありのままに愛そう」という考え方である「ボディポジティブ」について描いたコミックエッセイだ。

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自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 著者のharaさんは、中学時代に無茶なダイエットを試み20kgも体重を落とすものの、それが過食症に発展し苦しい経験をした。さらに、大学時代には過食嘔吐の悪循環に陥り、身体にも精神にも負担を与える日々を送っていた。しかし「ボディポジティブ」の考え方に出会ったことで、自分自身の体を受け入れてもいいと思えるようになり少しずつ前向きになることができた。そんなharaさんが「痩せてなくっちゃ、オシャレをしちゃいけない」と思っていた自分へのメッセージがつづられる。

自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 絵を描くことが好きで美大へ進んだharaさんだが、「絵」と「自分」を切り離して描くことが当たり前になっていた。でも「ボディポジティブ」の考え方を知ったことで、ありのままの自分を否定せずに絵を描けるようになった。彼女が描く女の子たちはとてもポップで可愛らしく、プラスサイズの女性たちに勇気を与える存在だ。

自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 美しさの基準は人それぞれで、いろんな形があっていいはずなのに「ダイエットしてキレイに」と、SNSを開けばこんな文言が自然に目に入ってくる。ファッション雑誌を開けば自分とはスタイルが違いすぎるモデルが並んでいる。「痩せた体形=キレイ」という美の基準が定着し、そうではない自分を否定する経験をした人も多いのではないだろうか。本作は自己受容と肯定の重要性を教えてくれる。

自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 自分のありのままを受け入れることを難しく感じる人も多い。自分の顔やスタイルに対する不安やコンプレックスは、多くの人にとって普遍的な問題だが、悩みながらも自分の心と体が心地よいものを選んでいきたい。そう思わせてくれる本作は、ステレオタイプや周りの目によって苦しんできた人たちにとって、新しい見方を見つける手助けとなるはずだ。

自分サイズでいこう 私なりのボディポジティブ

 自身の経験と共に「ボディポジティブ」について描く本作は、読む人によって色んな感情を持つかもしれない。それも含め、自分の体に対して個々が抱くネガティブな感情もポジティブな感情もそのまま受け入れるという「ボディポジティブ」の重要性について深く考えさせられる作品である。誰もが自分自身を愛し、受け入れることができるような世界となることを願わずにいられない1冊だ。

文=ネゴト/ Ato Hiromi

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