必要以上の開脚はトラブルのもと!? 見直すべきは「歩き方」

健康・美容

2017/9/5

『ベタッと開脚してはいけない。 どんなにからだが固い人でも、痛みがなくなり心が整う「1分間ウォーキング」』(新保泰秀/講談社)

 かつて「鋼鉄王」と呼ばれた人物がいた。何を隠そう、私である。もちろん鉄鋼業で成功し、一生使いきれない財を手にしたからではない。周囲と比べ圧倒的にからだが固かったのだ。前屈をしても数センチしか曲げることをできない私のからだには「鉄板が埋め込まれている!」と言われるほど。

 王を名乗っていたあの頃は小学生。今でも“鋼鉄”のごとくからだが固いのは変わらない。しかし、からだが固いことは世間一般で良しとされないもの。からだが柔らかければ、筋肉がしなやかに動き、ケガをしにくいという。もちろん、そうなのだろうと健康のため、気の向くままに前屈や開脚を試みるも、凝りに凝った“鋼のからだ”はなかなかほぐれてくれない。

 そんな折、私は不思議な本に出会う。『ベタッと開脚してはいけない。 どんなにからだが固い人でも、痛みがなくなり心が整う「1分間ウォーキング」』(新保泰秀/講談社)だ。これまで13万人以上もの患者の足を診察してきた柔道整復師・フットマスターの新保泰秀氏が、本書の冒頭で「からだが柔らかいことと、健康は関係ない」とバッサリ。もし、これが本当であればからだが固い人も辛い修行を経て、柔らかなからだを手に入れなくて済むのだが…。

 本書ははじめに「ベタッと開脚」はやめるようアドバイスをおくっている。私のような鉄板が一枚からだに埋め込まれているような人間にとって、「ベタッと開脚」は羨ましい限り。だが、からだに余計な負担がかかってしまい、何かしらの不調が出てしまうことがあるという。
 その理由としては「日本人の股関節ではリスクが大きい」「日々の生活で股関節を開く必要がない」「脚がぐらつきやすくなる」「からだが“柔らかく”ても“使える”とは限らない」「からだの左右の差が大きくなる」とのこと。

 特に最後の「左右の差」に関してはこれまでに私自身覚えがある。足を開き、左に上体を倒すのは難しいが、右だと比較的倒すことができた。この差がそのまま大きくなってしまうと問題。片方に力がかかり過ぎてしまうため、腰や肩、首などを痛めてしまうことも。この左右の差をチェックする方法も本書には掲載されているので、是非とも試してみていただきたい。実際にやってみると、私は右半身に重心が傾いていることがわかった。

 ではストレッチは全くの無意味なのだろうか。本書によると「日常生活」では必要ないそう。しかし「激しいスポーツをする前」「同じ姿勢が長時間続いたとき」にストレッチを行うのは有効とのことだ。

 本書では日々の健康を手に入れるために、ストレッチ・筋トレでなく1分間「正しく歩く」ことを推奨している。本書で解説する「正しい歩き方」は脚や腰の不調、背中のハリ、肩こり、ダイエット効果、冷え性、便秘、胃痛、生理痛の改善にも効果があるそう。第4章では正しい立ち方から始まり、正しい歩き方をイラスト、コマ送り写真を使って詳しく解説。第5章ではさらに効果的に歩くためのエクササイズも掲載されている。これらの「正しい歩き方」は特別な道具や場所が不要。しかも痛くないし、のんびり散歩するだけで辛くもない。それで健康になれるのであれば、やってみない手はないだろう。

文=冴島友貴