敵対し合う騎士と魔女が惹かれ合う、『ロミジュリ』要素ありのバトルファンタジー!

ライトノベル

2017/9/25

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』(細音 啓:著、猫鍋 蒼:イラスト/KADOKAWA)

 社会によって分断されながらも、募る想いを通わせていく……。『ロミオとジュリエット』に代表される悲劇的なロマンスはいつの時代でも愛される不滅の物語だ。『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』(細音 啓:著、猫鍋 蒼:イラスト/KADOKAWA)もまた、相容れない国同士に所属する少年少女のボーイ・ミーツ・ガールである。

 科学技術が高度に発達した「帝国」と、魔女の国と畏怖される「ネビュリス皇庁(おうちょう)」は長らく敵対を続けてきた。最年少で最強の騎士の称号を得たイスカは、超常の力「星霊」を操る「氷禍の魔女」を捕獲する作戦に駆り出される。一方、氷禍の魔女と呼ばれるネビュリス皇庁の王女アリスリーゼ(アリス)もまた、帝国の前線基地に攻撃を仕掛けようとしていた。戦場で相まみえる最強の騎士と神秘の魔女。お互いに国や家族、仲間を背負い、命を賭して激突する。

 絶対的な宿敵だと認識し合うイスカとアリスだが、激闘の中、それぞれの矜持と素顔を知ることで何か引っかかりを覚え始める。そんな2人の距離を縮めるのは、戦闘が禁じられている中立都市での再会だ。

 もし、このイスカとアリスが同じ社会で生きていたとしたら、あっという間にカップルになっていたのではないだろうか。それぞれ中立都市での日常を満喫していると、どういうわけかイスカの行き先にアリスがいて、アリスの行き先にイスカが現れる。趣味も似通っていて、食事の好みも一緒。変に波長が合ってしまうところなど、傍目にはまるでいちゃいちゃするカップルのようにしか見えない。知らず知らずのうちに素顔を見せ合う2人。ふと我に返るアリスのツンとした態度もかわいらしい。

 運命的な出来事が繰り返され、相性もばっちり。何より2人は「戦争を終わらせたい」という想いで共通している。しかし、いくら距離が縮まろうとも、あくまで敵同士であると突き放すかのように、両陣営の不穏な動きも加速していく。果たして手を取り合い、分かち合える日はくるのだろうか?

 バトル満載のヒロイックファンタジーとロミジュリ的ロマンスが見事に融合した本作は、9月現在、第2巻まで刊行されている。どこまでも愛おしく、どこまでも歯がゆい2人の物語は始まったばかり。続刊が楽しみになる作品だ。

文=岩倉大輔