「イタイおばさん」と「素敵なマダム」の分かれ道!? 熊倉正子さんに習う50代からのハッピーライフ

暮らし

公開日:2017/11/17

『無駄のないクローゼットの作り方~暮らしも生き方も軽やかに~』(熊倉正子/講談社)

 『無駄のないクローゼットの作り方~暮らしも生き方も軽やかに~』(熊倉正子/講談社)は、タイトルだけを読むと「クローゼットの整理術」について書かれた本のように思えるが、実は50歳を過ぎた大人の女性の“人生のバイブル”になりうる1冊だ。

 著者の熊倉正子さんは、1987年に日本初のラグジュアリーブランド専門PR会社「KIC」を立ち上げ、「マルニ」「クリスチャンルブタン」など数多くのブランドを日本に紹介。その後も「グッチ」のブランドディレクターを経て「アレキサンダー マックウィーン」では英国キャサリン妃のウェディングドレス制作と契約業務を一任されるなど、世界を飛び回りながらファッション業界の第一線を走ってきた。

 仕事に邁進し続ける彼女が日本に帰国するたびに思うのは、「大人の女性、特に50代以上の女性たちのファッションやメイクが、その人の年齢や個性にマッチしていないこと」だという。

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■似合わない原因は、雑誌のマネばかりで “客観性”が決定的に欠けているからかも

 熊倉さんはまず、「ちょっと立ち止まって、今の自分を俯瞰してみてほしい。若々しく見せたいからと一生懸命流行を取り入れるあまり、『なんだかイタイおばさん』になってしまっていない?」と問いかける。若々しくいようとして、流行のアイテムをてんこ盛りにして収拾のつかないファッションになってしまうのは、自分自身のことをよく知らないから。一番にトライすべきなのは、雑誌の中の素敵な着こなしを真似することではなく、自分自身のチャームポイントを引き立てる服をチョイスすることだ。

■自分自身を研究して、チャームポイントを生かしたコーディネートに

 そのために必要なのは、今の自分を徹底的に見直すこと。自分のスリーサイズを知っておくだけでも、選ぶ服はかなり絞り込まれる。「自分を知る」というと欠点ばかりに目が行きがちだが、実は自分のいいところを自覚するということでもある。首筋が美しければ、そのラインがより美しく見えるデザインのトップスを選んだり、耳の形が美しければ、大ぶりのイアリングをつけて強調したり。自分のサイズに合わない服やチャームポイントを隠す服は潔く処分すればタンスの肥やしも減り、コーディネートもしやすくなるというのだ。まずは、1つでいいから自分のチャームポイントを見つけよう。

 ある日の熊倉さんのコーディネートでは、身長が低いので長袖をそのまま着ると重たく寸詰まりに見えるため、常に袖まくりをしてバランスアップをしている。また、くるぶしを見せて肌をのぞかせると足を長く見せる効果があるそう。手持ちの服はすべて、体形に合うものを選んだ上で着こなし方を研究し尽くし「1シーズン1ラック分」に厳選。自分に似合う服だけを持つ「無駄のないクローゼット」だ。

■「自分が大好き」になるともっと生きやすくなる

 「似合わない服を着るのは嫌、だから自分を徹底的に研究して似合う服を着る」と熊倉さん。心地が悪いことを放置していると毎日が辛いばかりだけれど、嫌なことを排除していけば自然と「嫌いじゃない自分」、そして「大好きな自分」に近づいていくという。

 まずは似合う服を選ぶことが、今後の人生をもっと楽しく、明るく生きるポイント! 本書を参考に、「素敵なマダム」への第一歩を踏み出してみては。

文=箕浦 梢