「サザエさん」がどら猫を追いかけていった「悲しき理由」とは? アニメや漫画に秘められた「裏事情」の数々

アニメ・マンガ

2017/12/4

『本当は怖すぎる名作マンガ・アニメの裏知識』(鉄人社)

 手塚治虫先生の名作漫画『鉄腕アトム』が、日本初の国産テレビアニメとして放送されたのが1963年。現在、日本の漫画やアニメは「ジャパニメーション」として、世界的にファンを獲得する一大コンテンツへと成長した。そして歴史がそれなりに長くなると、いろいろと不条理な現象が発生するのはどのジャンルにもあることで、漫画やアニメとて例外ではない。『本当は怖すぎる名作マンガ・アニメの裏知識』(鉄人社)では、そのような「裏」の事情を数多く集めて紹介。なおタイトルは『名作マンガ・アニメの裏知識』となっているが、他にも「ゲーム」や童話などの「古典」も扱っている。

 本書は「名作」「人気作」「ゲーム」「古典」の4章で構成され、220もの裏知識が解説されている。各項目の解説は短いので、気軽に楽しめる作りだ。ここは分かりやすく、気になるネタをピックアップして紹介しよう。

【サザエさんがどら猫を追う悲しすぎる理由とは?】
 1969年にアニメ放送がスタートし、現在テレビアニメの最長寿番組として君臨する『サザエさん』。そのオープニング曲にある「サザエさんが裸足で魚ドロボウのどら猫を追いかける」描写は有名すぎる部分だ。しかしそのユニークな歌詞の背景に、とても悲しい現実が含まれていることはあまり知られていない。本書によればこの歌詞の元となったエピソードが1946年の地方紙に掲載されたという。それは戦後間もない時期の食糧難で魚が配給制だったとき、サザエさんが主婦に魚を配っていた際にどら猫がそれを強奪。サザエさんは大切な食料を取り戻すため、走りにくいサンダルを脱いで裸足で追いかけていったのである。歌詞だけ聴けば「慌てんぼう」のイメージしか湧かないが、実際は配給の魚を取り戻しにいった責任感の強い人だったのだ。

【ドキンちゃんの恋が実らない衝撃の理由とは】
 先日、人気アニメ『それいけ! アンパンマン』で「ドキンちゃん」というキャラクターの声優を務めていた鶴ひろみ氏が急逝された。謹んで哀悼の意を表するとともに、彼女が命を吹き込んできた「ドキンちゃん」にまつわるネタを紹介しておこう。「ドキンちゃん」は「しょくぱんまん」が大好きなのだが、その関係が進展する気配は一向にない。そして結論からいえば、この恋は決して実ることはないのだという。これは白泉社発行の月刊誌『MOE』の2003年12月発売号に掲載された特集で「ドキンちゃんとしょくぱんまんの恋の行方は?」という質問に、「ぜったい結ばれることはありません。なぜなら、片方はバイキンで片方は食品ですから。」という回答がなされたから。このあまりにもリアルで無慈悲な回答は、確かに衝撃的といわざるを得ない。

【東日本大震災を予言したすごいホラー漫画がある】
 日本人なら誰しも2011年3月11日に発生した「東日本大震災」を忘れることができないだろう。このときの大地震と津波は東北地方に未曾有の被害をもたらしたが、実はこの大災害を事前に予見していたホラー漫画があるというのだ。それは朝日ソノラマ発行の「ほんとにあった怖い話コミック」というシリーズで、1999年に発売された『私が見た未来』という作品。作者のたつき諒氏は予知夢を見る能力があり、実際に見たという夢をベースに物語は展開する。その中で「日本のどこかで大地震と津波が起こり、広大なエリアが崩壊する」という夢を見たことが語られるのだ。これだけなら特に騒ぐほどでもないが、問題はこのコミックの表紙。「夢の記録」というメモの切れ端の中に、ハッキリと「大災害は2011年3月」と記されていたのだ。ネット上でもさまざまな意見が飛び交ったが、本作品が1999年に発売され、表紙に「予言」が記載されていたことは紛れもない事実なのである。

 本書にはこのような漫画やアニメなどに関する「トリビア」が満載である。掲載ネタの中には現在でも確認可能なものが多いので、興味が出てきたというのであれば一度、原典にあたってみることをオススメしたい。

文=木谷誠