女性の仕事と結婚、お金はどうする? 経済的な視点から見る、専業主婦のデメリットとは?

マネー

2017/12/11

専業主婦は2億円損をする』(橘 玲/マガジンハウス

「専業主婦批判が一種のタブーになっている」――作者のこの言葉を目にして、どきっとした。たしかに、主婦向けのTV番組や女性誌を目にする機会は多い。「世間はいつも主婦の味方であるべき」、世の中にはそんな空気さえある。主婦を批判なんてしたら、こちらが批判されてしまいそうだ。

 しかしながら、きっと彼女たちにも何かしらの「生きづらさ」というものはあるだろう。「将来は専業主婦になりたい!」という女性の声はたびたび聞く。しかし、いったんリアルに目を向けてみると理想ばかりを語っていられないのが「専業主婦」という生き方だろう。

 その「リアル」に経済的な視点から切り込んだのが、『専業主婦は2億円損をする』(橘 玲/マガジンハウス)である。本書を開いてみると、「専業主婦にはお金がない」「専業主婦には自由がない」「専業主婦には愛がない」等の目次が並んでいる。「そんなこと言っちゃって大丈夫なのか?」と身構えてしまうが、いざ読み進めていくと、たしかに興味深い点が多い。

 まず気になるのが、タイトルにもある「専業主婦は2億円損をする」。専業主婦になるのは、2億円をドブに捨てるのと同じことだと著者は言う。理由はいたってシンプルだ。大学を出た女性が60歳まで働くと、平均的な収入の合計は2億1800万円(退職金は除く)である。そして日本で働く女性10人のうち、結婚後も仕事を続ける人は7人、その中で出産をきっかけに退職する人が3人いる。

 つまり、多くの女性が人生の「お金持ちチケット」を捨ててしまうことになるという。たしかに、「手に入るはずの2億円を捨てて専業主婦になりたいか?」と言われると、一瞬ひるんでしまう。

 次に、「専業主婦はカッコ悪い」という章。これはなかなか激しい言葉に思えるが、「外国人の前で”私はハウスワイフです”と名乗るのは、ちょっとヤバいのではないか」という話である。北欧のスウェーデンでは25歳から60歳まで約9割の女性が働いており、ヨーロッパ全体では8割以上の女性が働き続けているという。一方、日本の女性は、25歳までは8割の女性が働くものの、そこから30代にかけては7割に減り、40代から再び上昇を始める。海外の先進国では、子どもが小さいあいだでも働くのがあたりまえの国もあるのだ。

 さらに著者は、「専業主婦になりたい女子は賢い男子に選ばれない」ともいう。専業主婦に憧れる女性にとっては、かなり気になる部分であろう。この世の中、経済的に余裕を持って生きていくためには、男性だって「お金持ちチケット」を持っている女性を選びたいはずだ、という少し耳の痛い話である。

「女性とお金と幸せについて、初めて真剣に考えた」という著者の橘玲氏は、男性。こういうテーマの本は女性が書いているイメージがあるが、そこには「ある狙い」がある。「女性の人生の設計図」になりえる本を作るにあたって、本書の女性担当者は次のように感じたという。「女性が書くと”私はこんなにがんばった”という話になってしまって、それだと共感できない」。

 本書のように、男性の著者が、様々なデータを用いながらあえて客観的に書くことで、専業主婦やそれに憧れる女性が置かれたリアルな状況を伝えることができるだろう。

 仕事と結婚、女性が多様な選択肢から自分なりの幸せを選ぶ時代。本書は、真剣に未来を見据えたいという人々の”本当の幸せ”をつかむヒントになるかもしれない。

文=女生徒