感動を再び!『監獄のお姫さま』シナリオ本発売! 監獄で出会った5人の前科アリ女性と罪を許せぬ刑務官、6人の復讐の行方は…

エンタメ

2017/12/22

『監獄のお姫さま』宮藤官九郎/KADOKAWA)

『逃げ恥』『カルテット』を送り出した火曜夜10時のドラマ枠は、やはり無敵なのか。2017年秋季、話題となったドラマのひとつといえば、火曜ドラマ『監獄のお姫さま』。小泉今日子を筆頭に集結した、満島ひかり、夏帆、坂井真紀、森下愛子、菅野美穂という豪華女優陣。そんな彼女たちの魅力を最大限に引き出したのが、宮藤官九郎の脚本だった。罪を犯した5人の女囚と罪を憎む1人の刑務官が織りなす、先が読めないハチャメチャな展開。クスッとくる小ネタ。根底に漂う哀愁と、思わずハッとさせられる名台詞の数々…。笑いあり、涙ありの「おばさん犯罪エンターテインメント」は、多くの人の心を奪った。

「あの感動をもう一度…」という人に朗報。『監獄のお姫さま』のシナリオが12月22日(金)に電子書籍でも配信された。完全オリジナル版のシナリオをフルで収録しているだけでなく、今ドラマへの思いをつづる宮藤官九郎の寄稿、出演者のアンケートも盛り込んだ内容は、ファンにはたまらない。宮藤は言う。「このシナリオ本だけが俺の仕事。つまり、ここに書いてない部分はスタッフ&キャストの皆さんの功績です」。彼のドラマには原作がない。ドラマに関わるスタッフ、キャストは、このシナリオだけを指針に、ドラマを生み出したのだ。そう考えると、なんと感慨深いことか。ドラマを思い出しながら、読んでいければ、名シーンが眼前で蘇るようだ。

 罪を犯し、「自立と再生の女子刑務所」に入った女囚たち。無実の罪を着せられて収監されてきた「姫」こと江戸川しのぶのために、刑務所内で看守の目を盗んで復讐計画を練る。

 本作品にみなぎっているのは、おばさんたちの底力だ。宮藤は、普段からおばさんたちの、必死に生きている姿を愛おしく思ってきたのだという。心は女のまま、でも体がついて来ない。ループする会話、出てこない固有名詞、移りゆく味覚、ものわすれに次ぐものわすれ、悔し涙…。宮藤が描く女囚たちはどこか抜けている。立てた計画はツメが甘いし、スマホも上手に使いこなせない。だけれども、とことんおせっかい。一度こうと決めたら突き進むそのまっすぐは姿になんだか勇気づけられる。

 宮藤に言わせれば、最近、若い女子はみんな同じに見えるという。だが、おばさんたちは違う。弱点が個性に昇華され、それぞれの完成系に行き着いている。『木更津キャッツアイ』で描いた20代のハチャメチャ感を女子に変換すると、40代・50代にしっくり来るのだという。

「要点しか喋っちゃいけないの? 要点以外はどうすればいいの。誰に話せばいいの。前は聞いてくれたじゃん。そっちは誰かにしゃべってるかもしれないけど、こっちは誰にも話せないの。だから、全部要点なの」
「初犯で捕まらないヤツの方が私は許せません!雑魚にもおばさんにも正義はあるんです」
「どのおばさんも、みんな、誰かの姫なんだよ」

 罪を犯してしまった、生きることに不器用な女たち。彼女たちにあたたかな視線を送るこのクライムエンターテインメントは、脚本でも、多くの人の胸に響くに違いない。

文=アサトーミナミ