雪崩に巻き込まれたらどうする? 雪山でのレジャーで肝に銘じておきたい心得

暮らし

2018/1/4

『雪崩教本』(山と溪谷社)

 冬のレジャーといえば、雪山で楽しむスキーやスノーボードがやはり定番だろう。しかし、楽しい時間もつかの間、慣れない雪山では何らかの事故に巻き込まれる危険性もはらむ。

 雪崩はその一つで、記憶に新しいのは今年3月に栃木県那須町で発生した高校生たちが命を落とした雪崩事故である。登山講習会に参加した高校生7名と教員1名が死亡した事故では、講習会の責任者が「雪崩が起きるとは思わなかった」という言葉も残した。

 そして、この事故を受けて、刊行された一冊の本がある。先の雪崩事故でも検証に取り組んだ、雪氷災害調査チーム&雪崩事故防止研究会による『雪崩教本』(山と溪谷社)だ。雪崩の知識と捜索救助の装備や方法を教えてくれる一冊であるが、本書を読むと、予備知識が何よりも重要だと気付かされる。

◎事前の情報収集が肝心! 気象情報をつかむのは必須

 雪崩の危険性をつかむ一つの方法として、現地の気象情報を把握しておくのも大切なことである。例えば、本書によれば小さな樹木が揺れるほど、風速が7m/s以上になると雪の移動が多くなるのだという。これにより、風が強い方から弱い方へと雪が流れ、その積もった雪がやがて崩壊し、雪崩が発生するケースもある。

 また、気温も雪崩の発生を予知するには必要な情報だ。そもそも積雪は氷でできているため、温度が0度以上になることはない。しかし、気温が0度以上になると、積雪の表面が溶け始め、雪崩を引き起こす要因となりうるサラサラでもろい「こしもざらめ雪」または「表面霜」などの状態になる。たとえ一点でもその状態になると、雪の破壊が進み、雪崩が発生する場合もあるのだ。

 そして、気象情報をつかむときに注意すべきなのは、平地と山とでは押さえておくべき情報が異なるということだ。例えば、平地では雨が降っていても、より気温が低い山では雪が降る場合もある。そのため、春先であっても雪崩が発生する危険性はじゅうぶんにあるという。

◎雪崩に巻き込まれたら“埋まらないよう”努力することが大切

 事前の準備が万全であったとしても、現地で突如として、雪崩に巻き込まれる可能性もある。では実際、事故に遭遇したときにどのような行動を取るべきなのか。いざというときの対策を、本書でもいくつか取り上げている。

 雪崩による主な死因は、雪の中に埋没することによる窒息死だ。そのためなるべく早めに察知して、雪に埋まることのないよう逃げるのが生死を分ける行動の大切なポイントになるという。

 万が一遭遇した場合は、発生した時点で大声などで周囲にまず知らせる。そして、スキーやスノーボードなどのを身に付けている場合は、あらかじめ安全地帯を見きわめた上で、自分の立ち位置から見て斜め45度の方向へ高速で真っ先に滑り降りるのが取るべき選択肢となる。

 雪の流れに巻き込まれてしまった場合には、なるべく積雪の表面にとどまれるようもがくように泳いだり、途中の樹木につかまったりするなどの努力が必要になる。やがて、雪崩が止まった際には、口や鼻の前に空間を作り呼吸を確保したり、手足を表面へ突き出したりするなどして、完全に埋まることのないようにする。

 もし自分の呼吸が確保しづらいのならば、酸素を無駄にすることのないようできる限りリラックスした状態で救助を待とう。

 雪山でのレジャーをめいっぱい楽しむのは大切だが、雪崩事故はいつ何時、誰の身に降りかかるかも分からない。備えあれば憂いなし。命を落とすことのないよう、くれぐれも注意しておいてもらいたい。

文=カネコシュウヘイ