人生はいつだってこれから! 今もなお新しいプロジェクトに取り組む82歳が伝えたいこととは?

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公開日:2018/1/21

『これはしない、あれはする』(小林照子/サンマーク出版)

「しないほうがいいこと」とは、やってしまった自分がみじめに思えること。「すること」とは、人生を楽しく生きるためにプラスになったこと。数々の後悔を繰り返し、長く生きてきたからこそ見えてきた『これはしない、あれはする』(小林照子/サンマーク出版)。著者の小林照子氏は1935年生まれ、82歳にして現役の美容研究家・メイクアップアーティストとして大活躍中の、美容界のレジェンド的存在である。

 1935年生まれの著者は、5人の親に育てられ、貧しい生活という、試練の多い少女時代を送ったという。なぜ自分ばかり? 18歳にして行き着いた考えは、「人と比べることはやめよう、私は私の人生を引き受けよう」ということだった。「人生を投げ出すのか、引き受けるのか。文句を言って生きるのか、体験から学んで生きるのか。それを決めるのは自分しかいない」。試練を生き抜いてきた著者だからこその言葉である。

 上京し、保険外交員の仕事をしながら、美容学校に通い、化粧品会社コーセーに勤務。56歳で会社を創業し、75歳で高校を設立し、82歳の今も、美容に関するプロジェクトの準備中だという。この間仕事への情熱を燃やし、夢を叶えながら、結婚、子育て、卒婚なども経験した著者は、働く女性の黎明期を切り開いた1人だろう。著者の言葉をいくつか挙げてみよう。あたりまえのことのようにも思えるが、あらためて心に響く言葉ばかりである。

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・容姿の欠点にふれない

 美容家として、心傷つきコンプレックスを抱えた多くの女性たちの相談にのってきた小林氏は、こんな言葉を私たちに贈る。

「人の心を傷つける言葉はナイフと同じ。不用意な言葉で、人の心から血を流させてはいけません」

・油断しない

 保険外交員時代の苦い体験から、仕事でも結婚でも子育てでも、うまくいっているときこそ有頂天にはならないことが大切だと述べる。

「物事がうまく運んでいるときこそ、気を抜かないこと。油断していると幸運は逃げてしまうのです。」

・軌道修正する

 運転を誤ったトラックによる事故で、死にそうなほど働いていた著者は休養を得た。

「何の意味もないことが起きたわけではない」「よくないことが起きたときは、人生がよい方向に変わるために大きな力が働いたと考えなさい」

「人生100年時代」における理想的な生き方を示しながら、新しい世代の人たちが「生きやすくなる」ように、波乱万丈だった人生の知恵を伝えていきたいと述べる著者。幅広い年代の共感を呼ぶ1冊である。

文=泉ゆりこ