早起きして三文以上の“トク”を得よう!京都旅行は朝観光が断然おすすめ

エンタメ

2018/1/22

『京都、朝あるき』
(ことり会/扶桑社)

 日本国内外から多くの観光客を惹きつける「京都」の魅力を、“朝の散策”という切り口で紹介する『京都、朝あるき』(ことり会/扶桑社)が発売された。京都に何度も足を運んだことがある人にも、いつか京都に行ってみたいという旅行ビギナーにもおすすめの1冊だ。

■新しい京都観光の切り口、「朝」の時間帯に注目が集まる!

 京都は、2016年には3年連続で5500万人超の観光客を迎え入れた。はんなりとした京都の風情を味わうために訪れたはずなのに、観光客の多さと交通渋滞でそんな情感を味わう余裕もないまま、旅行を終えてしまったことはないだろうか? そこで、京都市は2014年から、観光客の満足度の向上や滞在の長期化を図ることを目的に、「京都朝観光」のサイトを設置するなどして、一般の観光客が一斉に動き始める前の「朝」に着目した新しい観光スタイルを提案している。

 本書は、京都をベースにフリーランスで活動する女性3人が「ことり会」として発行する初めての書籍。「もっと京都を知ろう!」と銘打って、歴史を学び、素敵なところへ足を運び、美味しい料理を食べ、京都の魅力を再発見し…と、フリーペーパーで情報発信してきた内容の集大成である。

 表紙や季節ごとの扉絵は、著者たちの手によるもの。どれもその季節に合ったモチーフの柄となっており、イラストで解説された観光案内とあいまって、京都人の呼ぶ「かいらしい(=かわいい)」ものが満載の表現だ。

■季節ごとに訪れたくなる京都の魅力がイラストで図解される「かいらしさ」

 本文では、ちょうど今のように寒さ厳しい冬には、風情ある銭湯での朝風呂、お寺で朝の澄んだ空気の中での座禅体験など、さまざまな朝の貴重な楽しみ方が紹介されている。

 また、京都で花見というのは誰もが憧れるシチュエーションだろう。京都で優雅に桜の花を見てみたいと思うはず。しかし、きっと大勢の観光客に揉まれてゆっくり花を愛でることなんてできないだろうとも考える。そこで、著者たちが選んだ方法は、琵琶湖疏水を行く十石船。船上から桜を眺めるため、渋滞や人混みもないという。そして、ねらい目の時間帯は、やはり朝。舟からお花見とは、なんて優雅な体験だろう。

 朝活のひとつとして最近流行っているのが、朝ヨガ。この本では、京都御苑での朝ヨガ体験が紹介されている。京都御苑が24時間出入り自由であることは知らなかったが、掲載イラストからは、朝のすがすがしさ、新緑や風の匂いまで感じられるようだ。

「京都人の憩いの場である御所で開催することでヨガへのハードルを下げ、自然とのつながりを感じる機会にもなれば」

 というヨガ指導者の言葉に誘われて、「自分もちょっと参加してみたい」という気分にさせてくれる。季節ごとの見どころの豊富さも京都ならではだ。

 また、朝食も立派な楽しみのひとつ。京都はパンの消費量日本一だそうである。そういうこともあり、パン屋巡りやカフェでの優雅な朝食なども紹介されている。もちろん、和朝食や朝粥についても、京都の風情を味わいながら楽しめる店をたっぷり紹介。そして、季節限定の楽しみ方として、「非公開のあの場所」で特別朝食がいただけることをこっそりと教えてくれる。これは、ぜひ本書を読んで訪ねることを楽しみにしたい。

■人それぞれの楽しみ方で、京都を楽しもうという一冊

「朝は弱いから、動き回るのは無理」という人も安心してほしい。「このあと、どこ行こう」という形で朝以外の過ごし方や観光スポットの紹介もある。時間や季節を特に気にしなくても、この一冊があればいつもと違う京都の魅力が堪能できることが約束されている。

 本書冒頭では、著者たち「ことり会」の3人がこのように挨拶している。

「三文の得?いやいや、三文以上の得は確実にあるだろう。それを『三文の得』といってしまうところに京都人の奥ゆかしさを感じるのではないだろうか」

 静かな朝の京都を楽しむことで、京都の魅力を再発見できる。そんな1冊である。

文=青沼恵