女性は「商品」じゃない! 「…べき」を手放し、女性である自分を好きになれる“心のレッスン”とは?
公開日:2018/1/23
多様な生き方が認められるようになってきた今の世の中であっても、根強く残る性別ごとの「こうあるべき」論。「男らしく」とか、「女の子なんだから」と多くの人が一度は言われたことがあるのでは?
それぞれに生きづらく感じることはあると思うが、女性ならではの悩みをいろいろな角度から見直し、女性であることを前向きに考えるためのヒントをくれるのが、『女に生まれてよかった。と心から思える本』(水島広子/朝日新聞出版)だ。
例えば、社会進出が当たり前になっても、女性は20代後半にして「賞味期限」を意識させられ、共働きが主流となっても、家事や育児は「女の仕事」と思われがち。子どもを産まないと「半人前」と思われ、仕事で頑張れば「女のくせに」と言われ…などなど、時代が変わっても変わらない状況は多い。さらに、昨今は「女子力」が問われ、以前よりもより完璧さを求められているように感じる。そんな「女性」であることに、「女って面倒くさい!」「男に生まれたかった」と思ったことのある人は、けっこういるのではないだろうか。
著者も若い頃には「女性に生まれなければよかった」と思っていたそう。本書には、精神科医で元衆議院議員でもある著者により、自らの経験や、多くの女性が日々抱く感情の実例をもとに、どうしたら女性として生まれたことを幸せに思え、自分に自信が持てるようになるかが具体的に示されている。
著者はまず、「女らしさ」を目指すことは、自らを「商品」化することだと指摘。周りに価値を決められ、やがて劣化していく「商品」を脱しようと説く。そして、脱・「商品」のためには、完璧主義をやめ、自分が楽しめる「女らしさ」をつかみ、自分らしく生きていくことを勧めている。一方で、押し付けられた「女らしさ」に縛られたくないと感じても、「女らしさ」を投げ出した「ダメ女子化」することは解決策ではないという。
「自分はダメ女子!」と思ったときに意識すると、癒やしが進みやすくなるというのが、次の5つのステップ。
1 自分がとらわれている女性に押しつけられている『べき』を見つける
2 それにとらわれたときに感じる自分の足りなさをしみじみ味わう
3 人間としての事情を無視した「べき」は削除する
4 「べき」の中から自分にコントロール可能な「したい」を味わう
5 自分の努力を肯定する
このように、「べき」から「したい」に自ら認識を変えることが、「商品」としての女性から脱し、自分らしく生きることにつながるのだ。
他にも、恋愛や結婚、子どもを持つことに対して陥りがちな状況への対処法や、年齢を重ねることへのポジティブな意識の持ち方など、気持ちがフッと軽くなるようなさまざまなアドバイスが綴られている。
改めて「女って面倒くさいなぁ」と思うところもあるが、「女性」だから得して楽しめることも多い気がする。「女性」として生きること、性別や外見だけにこだわることなく、自分らしく生きることとは?を考えさせられる1冊だ。
文=三井結木
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