仮想通貨購入後は必ず「ウォレット」で保管! コインチェック被害に遭って分かったこと

ビジネス

2018/2/6

『『5000円ではじめる仮想通貨投資入門』(上野義治/インプレス)

 世間で超絶話題の仮想通貨。その熱はとどまることを知らず、様々なメディアで連日のように取り上げられている。なかには「興味はあるけど、まだ手を出せていないんだよなー」という人もいるはずなので、『5000円ではじめる仮想通貨投資入門』(上野義治/インプレス)を参考に、筆者が仮想通貨を購入し、どれだけ利益が出るのか検証しようと考えた。それが本記事の発端だ。しかしその結果、仮想通貨ホルダーに阿鼻叫喚をもたらした、あの取引所トラブルに巻き込まれてしまった。同様の経験を読者にしてほしくないので、本書を紹介しつつ、注意喚起したい。

■仮想通貨が有する利便性

 本書は、セミナー講師であり仮想通貨投資家である上野義治さんが、その基礎知識や投資法を紹介している1冊だ。2017年9月に出版されたので、なかには情報の古い記載もあるが、本書に書かれたことを遵守していればハッキング被害に巻き込まれることもなかった。

 読者は、仮想通貨がどのようなものかご存じだろうか。単に人々の投機目的のために存在しているわけではない。中央機関を介さずに個人間で決済ができ、二重払いの問題が起こらない方法「ブロックチェーン」技術を有している通貨なのだ。

 この技術があれば、たとえば公共料金を支払うとき、引き落としや振り込みなどで金融機関を介さず、電力会社やガス会社に直接支払えるようになる。さらに海外への送金も、銀行の手数料より安い金額で、はるかに早い時間で、24時間どこでも可能になる(筆者はこの一文で「ハッキング」を思い出し、頭が痛くなった)。

 こういった既存の貨幣にない利便性が評価されて、仮想通貨は発展していった。しかしあるときから投機目的として一般認知され、バブルのごとく相場が暴騰し、2017年の年末からあちこちで価格の乱高下が起こった。上野さんによると、たとえバブルが崩壊しようと、しっかりした技術や利用目的のある仮想通貨ならば、崩壊に負けることなく価値を上げ続けると述べている。

■初心者なら「ドルコスト平均法」で購入せよ

 仮想通貨を購入する人の大半が投機目的。読者もどうやって儲けるか気になるはず。上野さんによると、中長期的な目標を立てて投資すべきだそうだ。

 投資で大切なのは、相場から逃げないこと。2017年の年末以降を経験した人なら分かるだろうが、仮想通貨の急激な下落に「狼狽して売り」、「再び高騰して買い」、という行為を繰り返すと、あっという間に元手がすり減ってしまう。基本的に価値が上がるように設計されている仮想通貨の場合は、老後の資金の積み立てや学資保険代わりなど、簡単に手放さないことを前提に投資しよう。急にお金が必要になった、目標を超える金額を達成した、といった場合は、必要な分だけ日本円に換えるのだ。

 そしてもう1つ、一定期間ごとに一定金額ずつ投資する「ドルコスト平均法」を覚えてほしい。どこが高値でどこが底値なのか、相場の行方は誰にも分からない。素人が勘で投資を行うと、長期的に見て平均購入価格が高くなってしまう。ならば、何も考えず一定のペースで購入すれば、高値でも安値でも安定して買えるので、結果的に平均購入価格が安くなるのだ。

 この「一定」というのは、毎月でも毎週でも毎日でもOK。とにかく同じ間隔で同じ金額だけ買い続けることだ。上野さんは、毎月決めた日にちに5000円ずつ購入することをオススメしている。

■仮想通貨は自己責任で行う

 2018年1月23日、3日後に起こる大事件を知る由もない筆者は、コインチェックに1万円を入金した。

 毎日15時に「XEM(=通称ネム)」と「XPR(=リップル)」を1000円分ずつ購入し、5日後に資産がどれだけ増減したか検証しようと考えていた。

 そして翌24日から2日連続で通貨を購入。

 この時点で元本を59円ほど割り、「手数料が安ければ、わずかにプラスだったなー」と呑気なことを考えていた。

 来たる26日15時。まずは、前日より7%下落していたリップルを購入。

 次に、問題のネムを購入しようとすると、赤い表示が出てきた。

 あれ?  買えない。流動性の低下?  まあ、こんなこともあるか。危機意識の低かった筆者は勝手に納得し、平然と仕事を続けた。それから2時間後、手を止めてスマホを開き、流れてきたニュースを目にしてひっくり返った。「取引所がハッキング被害の疑い!!?  顧客のネムが消失するかも!!!?」。それからというもの、テレビやネットに流れる続報を茫然と眺めた。スマホを無くした時以上の無力感を覚えていた。

 今回の場合、取引所側のずさんな管理が問題となった。ハッキングに対するリスクを軽視していたのだ。これに憤った顧客たちが本社前で怒号を上げたり、ネット上で怒りを吐露したり、大きな混乱を招いた。

 だが、本書を読む限り、一連の騒動は筆者を含めた顧客側にも責任があったようだ。取引所登録の経験がある人なら、「二段階認証」を見たことがあるはず。SMSやGoogle認証システムを使ったセキュリティーのことで、ハッカーから盗まれるリスクを下げる。

 そもそも取引所に通貨を保管していること自体がリスクだ。今回のように取引所自体がハッキングされると、パスワードも二段階認証もまったく機能しない。そのため購入した資産は「ウォレット」へ移すのが基本だ。

 また、1月26日時点で、コインチェックは「仮想通貨交換事業者」として金融庁に登録されていなかった。金融庁のお墨付きの業者ではなかったのだ。被害に遭ったと憤る顧客たちは、資産管理の基本「リスクマネジメント」を徹底できていなかった。

 1月28日未明の速報によると、コインチェックは返金に応じる姿勢を見せている(時期は未定)。まだ間に合う。二段階認証とウォレットを活用しよう。ウォレットには大きく分けて「ウェブウォレット」「モバイルウォレット」「ペーパーウォレット」「ハードウォレット」の4種類が存在する。後者になるほど安全性は増すが、それぞれメリット・デメリットが存在するので、本書やネット上でリサーチして自分に合ったものを選んでほしい。

 株やFXに比べて手軽に挑戦できる仮想通貨は、誰でも「億り人」になる可能性を感じる。しかしそれだけリスクや罠も存在するので、自分の身は自分で守らなければならない。仮想通貨はどの投資・投機よりも自己責任なのだ。今回の事件は取引所のお粗末が目立ったが、だからといって「取引所が100%悪い!」と言い切るようでは、数年後、同じような被害に遭うだろう。リターンには必ずリスクがつきまとう。仮想通貨の良い面だけに目がくらまないよう気をつけたい。

文=いのうえゆきひろ