平凡な男は余計な存在?「モテる男しか結婚できない時代」が到来

社会

2018/2/13

『男性という孤独な存在 なぜ独身が増加し、父親は無力化したのか』(橘木俊詔/PHP研究所)

「結婚するのが当たり前」だった時代は終わろうとしているのだろうか。総務省統計局の国勢調査によると、戦前・戦後の20年間、日本人の生涯未婚率は2%前後で、男女ともに98%前後の人が一度は結婚する「皆婚社会」だった。しかし、1960~70年代あたりから結婚する人は減少し続け、90年代からは急降下。2015年速報値によれば、男性の22.8%、女性の13.3%は生涯未婚のままでいるという。

『男性という孤独な存在 なぜ独身が増加し、父親は無力化したのか』(PHP研究所)では、格差論の第一人者、京都大学名誉教授・橘木俊詔氏が、結婚が当たり前ではなくなった現代の日本の状況を分析している。特に男性をとりまく環境は過酷きわまりない。だが、橘木氏は「ほとんどの男が結婚できた時代こそ『異常』だったのだ」と一刀両断する。男性にとって、結婚することは今後ますます難しいことになっていくのかもしれない。

 たとえば、橘木氏は、2016年の明治安田生活福祉研究所「第9回結婚・出産に関する調査」のデータをとりあげて、平凡な男の結婚の難しさを論じている。その調査によれば、「交際経験がある」という人は、2008年から2016年にかけて、男性の20代が45.8%から22.3%にほぼ半減、30代も37.7%から18.0%とこれもほぼ半減しているのだという。一方で、女性においては「交際経験がある」という人は、20代が47.9%から33.7%に低下、30代が40.6%から26.7%と、ともに14パーセントポイント程度の低下がみられるのだ。ここで注目したいのが、男女ともに低下傾向であるものの、女性の低下率の方が男性の低下率より小さいということだ。もし恋愛経験すべてが男女で一度限りと想定できるならば、男女ともに同数の恋愛経験数になるべきである。ところが、女性の方が男性よりもその経験率が高いということは、1人の男性が複数の女性と交際したことを意味するに違いない。少数のプレイボーイの存在と、多数のもてない男性の存在を橘木氏は示唆してみせる。

 古今東西問わず、歴史を辿れば、一部のプレイボーイがいて複数のガールフレンドや妾を持つのは一般的なことだ。日本は現在かなり厳格な一夫多妻制を保っているが、この特色は最近のほぼ100年程度しか当てはまらない。他の長い期間はそう厳格ではなく、男女関係はかなり自由だった。一部のプレイボーイが女性を独占する。それが本来の人間の姿なのかもしれないと橘木氏は言う。

 サルという類人猿の世界に注目すると、たとえばチンパンジーは少数の雄が雌を囲い込んで集団を形成するし、ゴリラも一頭の強い雄が数頭の雌や子どもを従えることがある。類人猿の社会では競争に勝ち残った以外の平凡な雄は、集団の中での存在意義を失っていく。ならば類人猿の仲間であるヒトにおいても、本来は「平凡な男」の存在意義は小さいのかもしれない。そんな橘木氏の論にはどうも納得させられてしまうだろう。

 これらの動向から考えると、人の世界においても、夫や父になる男性は今後ますます減少するといえるだろう。だが、妻や母になる女性の数は男性ほどには減らない。一見不思議なことだが、つまりは、一部のプレイボーイが女性を独占する状態となるのだ。

 平凡な男にとって、結婚はこれからますます難しくなっていく。橘木氏の指摘は「平凡な男」たちにとって耳が痛いことだろう。しかし、そんな時代はもうすぐそこまできているに違いない。

文=アサトーミナミ