短大卒年収100万円のテニスコーチが億万長者に弟子入りしたウソのようなホントの話

ビジネス

2018/2/20

『お願いです!バカなオレを億万長者にしてください!!』(星野真/秀和システム)

 誰もが一度は大金持ちに憧れる。みんながうらやむ優雅な生活を送って、幸せな人生を送りたい。しかし現実はパンパンの通勤電車に乗って、一生懸命上司に頭を下げる毎日。しがないサラリーマンという言葉が似合う。自分の人生はずっとこんな風に続くのだろうか。

 そう思い悩む読者に読んでほしい1冊がある。『お願いです!バカなオレを億万長者にしてください!!』(星野真/秀和システム)だ。テニスコーチのアルバイトをしていた著者の星野真さんが、億万長者のアニキ2人と出会い様々な試練を乗り越えて、自身も億万長者になったウソのようなホントの話だ。

■億万長者のアニキ2人に弟子入り

 物語は、26歳短大卒年収100万円だった星野さんが、アルバイト先のテニススクールの社長に退職を願い出たところから始まる。実はこのとき、星野さんは一部上場スポーツ企業の内定が出ており、安定した将来の見通しが立っていた。しがないアルバイト生活からおさらばしようと退職を願い出たのだが、社長から返ってきた言葉は超意外なものだった。

「星野くんさー、シンガポールでテニスコーチやんない?」

 社長の知り合いにシンガポール在住の実業家が2人いて、日本人による出張テニスコーチ事業を展開しようとしている。しかもその実業家は超やり手で、国内外で20社ほどオーナーを務める億万長者。アルバイトを辞めるならそこで働けばいい、というのだ。

 あまりに突拍子もない提案を一蹴した星野さんだったが、社長の「この事業は成功が確約されている」「住む場所も用意」「億万長者に弟子入りなんて人生の大チャンス」という魅力的な言葉に負けて、なんと一部上場企業の内定を蹴り、シンガポールへと飛び立ってしまった。

 なんというか……星野さんはちょっぴりおバカな一面がある。だからこそ後に登場するアニキたちの教えを素直に受け取り、次々に行動できたのかもしれないが、その模様は本書に譲ろう。このように物語調で話が進むので、巷のビジネス本とは違い、サクサク読むことができる。これも本書の魅力の1つだ。

■ビジネスや人生で役に立つアニキたちの金言

 シンガポールに到着した星野さんは、億万長者のアニキの1人「センス兄貴」と合流した。「センス兄貴」とは、感性やセンスであらゆる物事をかぎわけ、正しい決定を下す姿を見て、星野さんが名付けた陰の名前だ。ちなみにもう一人は「理論アニキ」と呼んでいる。

 センス兄貴にオフィスを案内してもらった後、星野さんは翌日に備えて住む場所へ向かおうとしたが、ここで重大な事実が発覚する。アニキたちは星野さんの家を用意していなかった。さらにテニスの事業経験もないので、一から手探りの状態。社長から聞いた話とはかけ離れていた。社長は星野さんを弟子入りさせるため騙したのだった。大混乱し、人生のどん底に落ちたように固まる星野さん。その姿を見て、センス兄貴は同情しつつも大爆笑した後、金言を放つ。

「星野くん、人生は長いんだからこういうこともある。こういう時は面白くなってきた、ツイてるって言うこと!」

 人はピンチに陥ったときこそ、「真の人間力」が試される。こういう時こそ絶望からイチ早く立ち上がる最大限の努力ができるかどうか。そもそも立ち上がる努力をするかどうか。それらができる人間こそが「真の人間力」の持ち主であり、だからこそ声に出して「面白くなってきた」「ツイてる」と自分を鼓舞するのだ。

 本書では、星野さんが何かに迷ったりつまずいたりする度、このようなアニキたちの金言が次々に登場する。たとえば、テニススクールのお客さんを集めるためフリーペーパーに広告を打った時のこと。お客さんが集まらなくて焦る星野さんの様子を見て、理論アニキは広告を確認してこんな金言を送った。

「広告はターゲットを明確にイメージすることが絶対に必要なの」

 フリーペーパーに広告を出すのならば、ターゲットが主婦層であることだけでなく、「お隣のコンドミニアムに住む、シンガポールに来て3ヶ月の38歳主婦、2児の母親ミヤコさん」くらい具体的にイメージする必要がある。

「ラブレターもそうでしょ。“あなたの可愛いところが好きです”。これじゃあ抽象的すぎてダメ。“あなたは天然だけど、ドジ踏んじゃった時に笑っている笑顔が可愛い”。これくらい具体的に言った方が人は恋に落ちるし、広告ならターゲットに刺さるわけよ」

 こうしたビジネスや人生で役に立つ教訓をアニキたちは次々と星野さんに授ける。星野さんは必死にアニキたちに食らいつき、徐々に億万長者へのサクセスストーリーの歩みを進めていくのだ。このあと星野さんはテニスコーチ事業を軌道に乗せ、億万長者になるべくIT事業に挑戦することに。ウソのようなホントのストーリーが続くので、マンネリした毎日に飽きつつある人は騙されたと思って本書を手に取ってほしい。そして自分だけのサクセスストーリーを模索してほしい。

文=いのうえゆきひろ