競争せずに利益を増やす新展開、「ブルー・オーシャン」戦略とは?

ビジネス

2018/3/2

『[新版]ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』(W・チャン・キム:著、レネ・モボルニュ:著、入山章栄:監訳、有賀裕子:訳/ダイヤモンド社)

「ブルー・オーシャン」という言葉をご存じだろうか?
 ビジネス用語で、いまはまだ生まれていない市場を指す。新たな需要を掘り起こす必要があるが、利益の伸びにも期待できる市場だ。多くの場合は既存の産業を拡張することで生み出され、単なる差別化戦略やニッチ戦略、またイノベーションとも異なる。

 対になる言葉として「レッド・オーシャン」があるが、これは現在ある産業すべてを指す。血の海という呼び名の通り競争が激しく、場合によっては利益や成長の見通しも厳しい市場だ。

『[新版]ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する』(W・チャン・キム:著、レネ・モボルニュ:著、入山章栄:監訳、有賀裕子:訳/ダイヤモンド社)は、初版が2005年に刊行され、世界中で大ベストセラーとなった。その後の10年間で急激に進んだグローバル化や、読者から寄せられた新たな疑問を受けて刊行されたのがこの新版だ。

■日本で躍進しているブルー・オーシャン型のビジネス

 競争が激化し、グローバル化が進むいまこそ、「ブルー・オーシャン」型の戦略が必要であると、本書は指摘している。実際には、どのようなビジネスや取り組みが当てはまるのだろうか?

 日本の企業で挙げられるのは、例えばJINS。「眼鏡は視力が悪くない人のためのものでもある」という明快な戦略とコンセプトを描き出し、パソコンのブルーライト対策のJINS PC(現在は、JINS SCREEN)を発売。機能性アイウェアという市場を開拓し、それに続けて花粉カット用の眼鏡なども種類豊富に揃えている。

 クックパッドも、ブルー・オーシャン型の取り組みが見られる企業だ。料理レシピのサイトにおいて、従来の「プロの料理人・料理研究家」という要素を敢えて切り捨て、誰でもレシピを投稿できる仕組みを構築。これにより、「レシピを読むことも、投稿することもできる」という素人のコミュニティを作り、従来のレシピ本には興味がなかった新しい客層・ファンを多く獲得した。

■新しい価値を生むための4つのアクションとは

 本書では、既存の産業に新しい価値を生むためには、4つの問いを通して既存の戦略ロジックやビジネスモデルに挑むことが推奨されている。

Q1:業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か
Q2:業界標準と比べて思い切り減らすべき要素は何か
Q3:業界標準と比べて大胆に増やすべき要素は何か
Q4:業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か

 この、「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」というアクションが鍵となる。

■優れたビジネス戦略に共通する3つの特徴とは

 上記のアクションを考慮しつつビジネスの戦略を練っていくわけだが、優れた戦略には共通する特徴がある。それは、「(1)メリハリ」「(2)高い独自性」「(3)訴求力のあるキャッチフレーズ」。

 重要なポイントにフォーカスすることでメリハリを持たせ、上記4つのアクションを実践して、それまでの業界標準とは違う独自の戦略を築いていく。そして、サービスの中身を正しく表現しつつ明快なメッセージを伝える。事業の再構築のために戦略を組み立てる時には、この3要素を満たしているかどうかが指針となる。

 激しい競争に勝てるのは、限られたプレイヤーのみ。グローバル化が進むいま、競争相手は世界中に存在する。その中で生き残るために必要なのが、ブルー・オーシャン戦略なのだ。既存のビジネスの中で、新たな価値を創造することができれば、競争で傷つき血を流すこともない。

 ここでご紹介したのは、ほんの一部だが、本書ではブルー・オーシャン戦略の策定や実行、さらにはブルー・オーシャンがレッド・オーシャン化してしまうのを防ぐ方法などが、丁寧に説明されている。すでに初版を読んでいる方でも、時代の変化に合わせて加筆されているので、いま必要とされるブルー・オーシャン戦略を考えるために、大いに役立つ内容だ。

文=松澤友子