サンジ、攻めの料理法「甘みの真骨頂」 で四皇ビッグ・マムの「食いわずらい」に立ち向かえ!『ONE PIECE』88巻

マンガ

公開日:2018/3/5

『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)

 四皇ビッグ・マムによる政略結婚に巻き込まれたサンジを救出するべく、恐怖のお茶会に潜入したルフィ一行。「最悪の世代」カポネ・“ギャング”ベッジ率いるファイアタンク海賊団と手を組んでお茶会をめちゃくちゃにできたものの、同時に目論んでいた「ママの暗殺計画」に失敗。さらにママが「食いわずらい」を発症し、事態はついにビッグ・マム海賊団との対決へ移る。

「食いわずらい」を止めるべくサンジたちは最高のウェディングケーキを用意することになり、一方でルフィたちが命からがらサニー号に乗り込むと、なんと3将星のカタクリが船で待ち伏せしていた。ルフィがどうにかカタクリを「鏡世界(ミロワールド)」に引きずりこんだものの、シャーロット家長男のペロスペローにそそのかされてママはサニー号を追いかけ始める。

 ワンピース史上かつてないピンチが続く波乱の展開に、87巻を読みながら手に汗を握ったファンも多いはず。そして待望の『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)88巻は、最高のウェディングケーキ作りに挑戦するサンジたちの奮闘から始まる。

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■超一流の攻めの料理「甘みの真骨頂」

 お茶会で用意されたウェディングケーキはホールケーキアイランドのお菓子職人たちが腕を振るって用意した最高傑作。それを一口も食べられなかったママの舌のハードルも最高に上がっており、もはやどんなものを用意しても「食いわずらい」は抑えられそうにない……と思われたが、超一流の料理人がその状況を変えてくれそうだ。

 ケーキ作りを始める前から、サンジはウェディングケーキに使われた食材のすべてが分かっていた。なんと、お茶会で嗅いだその香りだけでレシピを見抜いたのだ。これには驚愕するシフォン。さらに、ケーキにある秘策を投入するという。人を幸せの絶頂に導く「甘みの真骨頂」を体現するために。

 2年間の修行を経て麦わらの一味はより一層強くなったが、サンジにはまだ隠された能力がありそうだ。ストーリー序盤で「怪物3人組」と称され、異常な強さを発揮していたサンジ。だが、新世界編に突入して以降、出番が少なかったこともあってちょっぴり物足りなさを感じていた。どうやらここからサンジの「真価」が発揮されそうだ。「オールブルー」を目指す超一流料理人の「攻めの料理」がビッグ・マムの「食いわずらい」に立ち向かう!

■娘のために人知れず役割を果たす父親

 サンジを救出するためホールケーキアイランドに乗り込んだルフィ一行は、全員がそれぞれの役割を果たしていった。そして今はママから逃れるため全員が再び奮闘している。それは途中で出会ったファイアタンク海賊団、シーザー、ジェルマ66も同様であり、同じく彼もまた人知れず奮闘し、その役割を果たした。ビッグ・マムの25番目の元夫であり、その子どもたちの父親パウンドだ。

 83巻の「誘惑の森」のヘタレキャラのインパクトで忘れがちだが、パウンドはある悲しみを抱えている。ママと結婚して子どもが産まれた後、彼はちり紙のように捨てられ、子どもたちと父親らしい交流をすることもなく疎まれる存在となってしまった。無念極まりない思いが胸中を渦巻いているはずだ。

 そのためパウンドは危険を顧みず、ケーキ作りに励むサンジやシフォンたちのいる場所まで足を運んでしまう。実の娘のシフォンの姿を一目見たいがために、だ。同じくそこに現れたのがシャーロット家四男のオーブンだった。

 完成間近のケーキを運び出すシフォンの姿に感動するパウンド。そんなことなどつゆ知らず、オーブンはシフォンを殺そうとする。夫であるベッジの反逆の罪は妻のシフォンにもあるというのだ。ネツネツの実の能力で空気が揺らぐオーブンの拳。実の兄に殺されそうになるシフォンを救うため、父親パウンドが立ち上がる。

 この他にも、ルフィとカタクリの息のつまる対決や正気を失ったママの猛威から全力で逃げるサニー号など、前巻に増して混沌を極める見どころ満載の88巻。ファンならば手に取って大満足の1冊となっている。

 そして最後に、これをお伝えしたい。大人気コーナー「SBS」にこのようなお便りが届いた。

「こんにちは。おだ先生。ぼくは、おだ先生がSBSで答えてきたしつもん(しんがいしつもんもふくめて)を数えてきました。(きかくやゲームはぬいて)正確ではないですが、なんとぉっ!!!1199回(4かん~86かん)どどーん!!」

 つまり88巻までを含めると、尾田先生は1200を超える質問に回答してきたというのだ。これはすごい! すごいことだ! 読者の変態な質問を変態な回答で返す姿には頭が下が……いやいや……あー……読者の気持ちを真正面から受け止めて真摯に回答する姿には尊敬の念しかない。

 これからもぜひエロエロな回答を……違う違う……うーん……少年誌にふさわしいSBSを続けてほしい。

文=いのうえゆきひろ