自殺志願者に少女が抱く「残酷な願い」…『外れたみんなの頭のネジ』が佳境に!?
更新日:2019/9/10
連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」にて絶賛連載中のホラーマンガ『外れたみんなの頭のネジ』(洋介犬/泰文堂)。「人間の狂気」を徹底的に掘り下げ、オムニバス形式でさまざまなホラーを描いている本作の第5巻が3月12日(月)に発売された。
作者である洋介犬さんは、もともとブログ「イヌギキ」にて、ホラーテイストのショートショートを発表していたマンガ家さんだ。たった30秒で読めるような短さにもかかわらず、読み手に嫌な汗をかかせる手腕はさすがの一言。なかには「読まなきゃよかった」と後悔させるような話もあり、ホラー好きを中心に注目を集めていた。
そんな洋介犬さんの連載作品となった本作のテーマは「サイコホラー」。主人公である女子中学生・ミサキが、悪魔〈べへりん〉とともに、狂ってしまった街や人々、そしてその原因に迫っていくという物語が展開される。
最新巻でも相変わらず人々の狂気が描かれている。たとえば「F・オブ・ザ・デッド」では、存在感の薄い同級生を「お前はゾンビみたいだ」といじめ抜く女子学生の話だが、最後には「狂っているのはいったい誰なんだ…」という恐怖に襲われる。
また、猟奇殺人を機にその犯人を「アーティストだ」と持ち上げる世論の怖さを描く「ヴィクテム・アート事件」や、自殺志願者に対しなるべく苦しんで死んでもらいたいと願う少女が登場する「死ニカケのアイデンティティー」など、その内容は実に多彩。
しかも、巻数を重ねるごとに感じるのは、現代を風刺している、ということ。友人関係やSNSなど、現代人の心に闇を落とすさまざまな事象を、洋介犬さんはホラー作品に昇華し発表しているのだ。
さらに最新巻では、ミサキにも変化が訪れる。そもそも、世界が狂ってしまったことに対し、その原因を究明しようとしていた彼女。ところがどうやら、ミサキ自身にもおかしなところがあるよう。狂っているのは世界なのか、それとも主人公であるミサキなのか。物語もついに佳境に入りつつある本作。サイコな展開をサイコな主人公とともに楽しんでもらいたい。
文=五十嵐 大
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