明治大学はなぜ女子高生に人気? 「ブランドイメージ」をつくりかえるヒント

ビジネス

2018/3/29

『あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNo.1大学になったのか? 奇跡を起こすブランドポジションのつくり方』(上阪徹/東洋経済新報社)

 そもそも「明治大学」というと、どのようなイメージを持っているだろうか?

 世代によって違うだろう。キャンパスごとにも違ったイメージは持つだろう。学生運動が盛んだった世代では、いわゆる「明大紛争」。そのあとの世代なら、大学への批判を独特な筆体の文字(いわゆるゲバ字)で記す「タテ看板」が並んだ駿河台キャンパスのイメージ。男臭い「バンカラ」大学といわれてきた。「バンカラ」とは、着古した学生服を着用するなど、時代にあらがったスタイルの学生の集まり。伝統的な「応援部」のイメージが近いかもしれない。

「明治大学」は1881年創立。文系学部7と理系学部3、ほか大学院を擁し、東京都駿河台・中野・和泉、神奈川県生田にキャンパスがある。首都圏の大学で早稲田・慶應・上智につぐ第二グループ「MARCH」の一角と目されてきた。「MARCH」とは、頭文字から「明治・青山学院・立教・中央・法政」の各大学を指すが、近年は「一人勝ち」状態が続いているという。上智の緩やかな凋落もあり、「MARCH」だけでなく、国際系の学部でも特異なポジションを築いている。早稲田・慶應につぐ第二グループに頭一つ飛び出しているのだ。

『あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNo.1大学になったのか? 奇跡を起こすブランドポジションのつくり方』(上阪徹/東洋経済新報社)によれば、志願者数で11年連続10万人を超えている。しかも志願者を見れば、人気と躍進を支えているのは、圧倒的な女子高生の支持だ。女子学生も増加。それにともない、男子学生も身なりに気を遣うようになり、たちまち「オシャレ」な大学となった。これには典型的な相乗効果があり、実際に、イケメン、雑誌モデルのような美女学生を目にすることが多くなったという。

 もちろん見た目だけの変化でない。2009年からはアメリカのディズニー・ワールドに留学できる制度ができた。給付奨学金制度が整っており、1000人強が受給している。駿河台のリバティタワーに代表される各所の瀟洒なキャンパスには、工夫をこらした図書館があり、学生は勉強にも熱心。非常に面倒見が良い就職課を有している。美点をあげたらきりがないほどだ。

 男臭い「バンカラ」大学は、この20年ほどで特異なポジションを得、実力もしっかり維持しつつ、「オシャレ」なイメージまで加味してしまった。どうして??

 それには大学内部の職員の努力と戦略があった。大胆な変革を可能にする体制を整えていった。現学長の土屋恵一郎氏が法学部長のころ、当時の理事長と交わした大激論には、「こんなこと上長に言ったらヤバくない?!」と、驚いてしまうがが、土屋氏の穏やかな風貌の裏には学校を向上させたい一心の、熱い気持ちがひしひしと感じられ、感慨深い。また、教職員は「明治大学」出身でない人も多く、伝統にこだわらず、新しいイメージ作りに貢献しようという人も多いそうだ。出身大学が「明治大学」ではない職員も多いという。

 著者の上阪徹さんは早稲田大学出身。1966年兵庫県生まれ。リクルート・グループなどを経て、フリーランスに。『10倍速く書ける 超スピード文章術』『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』など著書多数。取材を続ける中でOBではないからこそ「明治大学」を客観的に見つめることができ、まずはその変貌ぶりを知った驚きを知ってほしい、という。

 大学も伝統だけでは生き残れない。ブランドイメージはつくりかえることができる。誰もいないポジションで1位を取り続ければいい。組織をかえていくにはどうするか、というヒントも随所にある本だ。

文=久松有紗子