ガンダム前史の完結編にして壮大な始まりの物語、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』公開!

アニメ・マンガ

2018/5/8

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星』 5月5日(土)より4週間限定・全国35館にて劇場上映中 (C)創通・サンライズ

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』は、社会現象となった大ヒットアニメ『機動戦士ガンダム』(1979、以下「初代ガンダム」)のキャラクター・デザインを手掛けた安彦良和の漫画、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のアニメ化プロジェクトの第6作目であり、同プロジェクトの完結編に該当する作品だ。『THE ORIGIN』はシャア・アズナブルとセイラ・マスの生い立ちが明かされると共に、初代ガンダムでは描かれなかった前史から一年戦争へと至る、ガンダムの原点を改めて再構築した壮大な物語だ。

 そして今回の『誕生 赤い彗星』は、一年戦争でも極めて重要な戦いである「ルウム戦役」にフォーカスし、初代ガンダムの第1話へと直結する『THE ORIGIN』の過去編のまさにクライマックスであり、そのクライマックスに相応しい重厚でありながらスリリング、そして深い余韻を残す90分に仕上がっている。

『THE ORIGIN』アニメ化プロジェクトの醍醐味のひとつは、ガンダムの原点が新エピソードと共に詳細に描き込まれ、最新テクノロジーを駆使したハイファイな映像として鮮やかに蘇ってくることだ。それは本作でも同様で、圧巻の艦隊戦として繰り広げられるルウムの会戦シーンを筆頭に、赤い彗星の呼称を得たシャアに早くも見え隠れする非情な復讐者の片鱗や、未だ少年のあどけなさを残すアムロ・レイとガンダムのニアミス、そしてジオン公国と地球連邦の間でうごめく魑魅魍魎の数々など、幾重にもディテールが重なって構築されていく。

 本作の物語は、ガンダムのファンにとって至福の瞬間であるのはもちろんのこと、初代ガンダムを知らない若いアニメ・ファン、SFファンにとっても斬新なスペクタクルと映像美であり、没入できる緻密なドラマともなっている。なぜなら、ここで行われているのは、初代ガンダムの単なる復元作業ではないからだ。本作の真価とは、40年近く昔の物語である初代ガンダムを、2018年の現在、紛争やテロの悲惨、ねじ曲がった国際関係の時代に生きる「今」の我々の物語へとアップデートしていることなのだ。それは初代ガンダムという神話の再現ではなく、再生と呼ぶに相応しいものであり、ガンダム・ワールドの普遍性の在処を明示するものになっている。

 冒頭でも書いたように、『誕生 赤い彗星』は一応の完結編だ。しかし本作が同時に壮大な予告編でもあったことが明かされるエンディングに至って、あなたはきっと「続きが観たい!!」と劇場で昂ることになるはずだ。

文=粉川しの