「愛人OK」「跡継ぎ不要」…割り切った結婚のはずが思わぬ展開に!?『誰かこの状況を説明してください!』

マンガ

公開日:2018/6/20

『誰かこの状況を説明してください!』(著:木野咲カズラ、原作:徒然花、キャラ原案:萩原凛/フロンティアワークス)

 現在大活況を呈している女性向けライト文芸レーベルの中でも絶大な人気を誇る「アリアンローズ」。〈働く女性の“読むサプリ”〉をキャッチコピーに、異世界はじめ様々な世界や舞台、状況に投げ込まれたヒロインがしなやかに、軽やかに活躍する物語がそろっている。

 6月より電子配信中コミックの書籍化もスタート。その第一弾『誰かこの状況を説明してください!』は小説版がシリーズ8巻まで刊行され、ドラマCD、さらに舞台化とメディアミックスが続いているレーベルを代表する超人気作品だ。

 名門公爵家の青年当主サーシスから、結婚を申し込まれた斜陽伯爵家の令嬢ヴィオラ。実家の借金を肩代わりしてもらうことと引き換えに、その求婚を受け入れる。さらに彼女に提示された条件は「衣食住は完全保証」「跡継ぎ不要」「社交免除」、しかも「おたがい愛人を作ってもOK」という、完全なる“契約結婚”だった。かくして名目上は新婚夫婦、実質的には仮面夫婦となる二人だが――。

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 なぜサーシスがヴィオラと結婚したのかというと、身分ちがいの長年の愛人との生活を死守するためだった。名門貴族の当主としては、然るべき階級の相手との結婚は避けられない。ならばいっそのこと、世間体を取り繕うためだけの結婚をしようという思惑から、彼はヴィオラに白羽の矢を立てる。

「私のお飾りの妻になっていただけませんか?」と。

 こんな導入部から物語ははじまる。

 ジャンル分けするならば、昨今人気の“契約結婚”ものに属するラブコメディで、〈お飾りの妻〉という設定はヒストリカル系ロマンス小説でもおなじみのもの。

 加えて本作品の独創的な点は、ヴィオラがまったくこの状況を受け入れていることだろう。おっとり天然マイペースの彼女は、得意の家事能力を発揮して殺伐としていた屋敷の雰囲気を居心地よく変え、使用人たちの心も掴んでしまう。サーシスに対して恋愛感情を持っていないので、嫉妬することもなければ愛人との仲を詮索もしない。

〈お飾りの妻〉という自分の役割に徹するうち、めきめきと淑女スキルを上げていくヴィオラ。そんな彼女に、サーシスは遅ればせながら惹かれていくのだが――。この一風変わった夫婦関係の行く末やいかに⁉

文:皆川ちか