自己肯定感が低くてもあきらめないで。「わたしらしさ」を発見し幸せになるためのサプリ本!

ビジネス

2018/6/30

『わたしらしく働く!』(服部みれい/マガジンハウス)

 シルバー世代でさえスマホに移行中というのに、ガラケーにこだわっている友人がいる。ブレることのない「わたしらしさ」を、確かな道しるべとした生き様は、何をしている人であれ、素敵だと思う。よくぞ、「わたしらしさ」を発見したなと、尊敬してしまうのである。

 現在、生まれ故郷の岐阜県美濃市を拠点に、詩とインタビューの雑誌『まぁまぁマガジン』(旧『murmur magazine』)の発行や文筆活動の他、出版・商品プロデュースや農業を中心とした天然生活を営む、服部みれい氏も、そんな素敵な人のひとりだ。

 そこで本稿では、『わたしらしく働く!』(服部みれい/マガジンハウス)を題材にして、「わたしらしさ」について、学んでみよう。というのも、わたしらしい人生は、本当の自由が手に入り、とにかく幸せなのだという。

 本書の7割を占めるのは、服部氏が25歳から45歳となった2016年までの、出版業界でのキャリア奮闘記にして、夢実現までの紆余曲折の回想録だ。そして残り3割は、その過程で服部氏が培った24の「知恵」が、読者にも実践できるようなアドバイスとしてまとめられている。

 タイトルには“働く!”とあるが、著者にとっての仕事はいわばライフワーク。なので本書は、わたしらしく“生きる!”ためのガイドブックとしても大いに活用できる内容だ。

■自分の「ワクワク感」「本当にやりたいこと」をヒントにする

 大学院で教育学を学んだ服部氏が就職先に選んだのは、小規模な出版社だった。それは本が大好きで、本や雑誌に携わりたいと願う、自分の「ワクワク感」を最優先にした選択の結果。つまり、「自分が本当にやりたいこと」は、わたしらしさを知る大きなヒントなのだ。

 ワクワク感というと、甘ったれたイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、実際には「自分の夢や目標に近づくための、心身のタフネスを引き出す原動力」という、パワフルな心のサプリになって機能していることが、本書からもわかる。

 最初の勤務先で著者を待ち受けていたのは、「一人前の編集者として働く」という過酷な環境だった。いきなりの修羅場。しかしそんな中でも「将来のためにスキルを得たい」という一心、ワクワクが、その心身を支え、今へと繋がる成長の大きな第一歩にすることができたのだ。

 またわたしらしさに、自己肯定感の低さは関係ない。本書で服部氏は、いくらキャリアを積もうと「自信がない自分」「文章がうまくない自分」を自認しているという。つまり自分と向き合い、その自分を抱えながらも発見し、発露させていくのがわたしらしさなのだ。

■無心になって無私のわたしになってみる

 そして、わたしらしさはエゴむき出しの生き方や働き方とも違う。むしろ、他者から評価されようとか、認められようとかという思いは「潔く捨て」、人のために無心で働いてみるのだそうだ。すると、わたしらしさが顔を出すと、服部氏はこう記している。

 無心になればなるほど、無私のわたしになればなるほど、「わたし」が消えるほどに、なんと「わたしらしさ」は顔を出してくるもの。

 また、そんなわたしらしさについて、失敗をたくさん重ねて試行錯誤しながらも、しまいに「もういいや」と思った頃に「ぴょこっとあらわれるのが“わたしらしさ”」だとも記している。

 ともかくあきらめずに、わたしらしさの発見・発露をしていこうじゃないかと、著者は勇気づけてくれるのである。

 本書では他にも、「わたしが わたしを わたしする」「迷ったら“自然かどうか”を規準にする」「今が最高、と思える働き方を」など、仕事・生き方に活かせる多くのアドバイスがもらえる。

 自身の人生を振り返り、20代が「歩く五里霧中」、30代も「歩く必死」だったと記す服部氏。そして現在の40代は「今が、本当に、最高です」と胸を張る。ぜひ、そんなわたしらしく働き、生きるコツを、本書から学んでみてほしい。

文=町田光