「見た目の印象を変える=服を買う」が失敗してしまうワケ

暮らし

公開日:2018/7/12

『未来を変える「外見戦略」』(川園樹/KADOKAWA)

 人は何かを決める時、瞬時に受け取った「情報」から判断し、評価し、行動に移します。
 そのため、「第一印象を良くしよう」とオシャレな服やブランド品を身につける人が多くいますが、そこにはある落とし穴があるのです。

■見た目の「足し算」があなたの個性を消してしまっている

「外見を変える」というと、スーツを買う、ネクタイを買うなど、「足し算」のイメージを持たれるかもしれません。実際多くのイメージコンサルタントの方は「クライアントの方の服を買うことが仕事だ」と考えているように思います。

 しかし、「外見を変える」ときに最初にすべきことは新しい服や新たな装飾品などを「足す」ことではなく、「個性」や「伝えたいこと」を伝えにくくしているものを「引く」ことが大切なのです。

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 最初から「足し算」をしてしまうと、「個性」や「伝えたいこと」に服が被さって見えなくなってしまいます。その結果、内面が服に引っ張られ、自分の個性を見失い、また相手から服のイメージで評価されるので、本当に伝えたいことが伝わりにくくなります。

 ちょっとした記憶のテストをしてみましょう。
 1週間以内に出会った初対面の方を、誰でもいいので一人選んでください。取引先の方、お客様、誰でもかまいません。そして、その方の顔を思い出してみてください。

 どのような映像が浮かんだでしょうか。 
 相手の顔がくっきりと思い出せましたか。いざ行ってみると、なかなか難しいのではないでしょうか。

 しかし、その代わりに、

「○○のブランドのネクタイをしていた人」
「髪の毛の長い人」
「ピチピチのサイズのスーツを着ていた人」

 など「その人の印象」でなく、髪型、服、持ち物の印象が残っていることは多いのです。

 その方の個性、つまり人物像や「どのようなことを大切にしているのか」「どのようなことを目指しているのか」といったようなことを伝えるために、それが伝わることを邪魔している要素を「引く」ことからはじめましょう。

■まずは「ノイズ」を除去

「外見戦略」で大切なことは相手の目線を「自分自身」に向けることです。特に「自分の顔の印象」を伝えることが大切です。

 なぜならば、「顔の印象」は情報として伝わりやすく残りやすいので、周囲の方々の判断や評価に直結するからです。

 しかし、相手の目線が髪型や眼鏡、服装、持ち物などに向かってしまうと情報が多くなり過ぎ、伝えたい情報が伝わりにくくなります。これを私は「ノイズ」と呼んでいます。ノイズは誰もが持っています。よくない印象を与えるノイズ、誤解を与えるノイズ、不必要なことを伝えるノイズなど様々です。でも、あなた自身も相手のことをノイズから判断してはいないでしょうか。

 例えば先ほどの例で言えば、このような感じです。

「○○のブランドのネクタイをつけていた人」→「虚栄心が強い人」
「髪の毛の長い人」→「仕事より遊びに重きをおいている人」
「ピチピチのサイズのスーツを着ていた人」→「自意識が強い人」

 本当はどういう方かはわかりませんが、このように判断することはできますし、逆に言えばあなたもそういう風に判断される可能性があるということです。

 そこでまず「引き算」の発想でノイズを除去します。
 ノイズを消すと相手の視線は「あなたの顔の印象」に集まります。ノイズに気をとられることなく「あなたの顔」を見てくれます。すると、あなたから発せられるメッセージをスムーズに受け取ってくれるようになります。ノイズに気をとられながら話を聞くのと、顔に集中して話を聞くのとでは、相手が受け取る情報量に大きな差が生まれます。

 きちんと話を聞いてもらうことは信頼につながります。商談、交渉をスムーズに進めたい場合、信頼度を上げることが重要です。
 その簡単な方法が、「見た目」のノイズを除去し、相手の意識をあなたの顔に集中させることなのです。