女の子×昔話の時を超えたガールズトーク! 『日本のヤバい女の子』

文芸・カルチャー

2018/8/7

『日本のヤバい女の子』(はらだ有彩/柏書房)

『日本のヤバい女の子』(はらだ有彩/柏書房)は、時を超えたガールズトークだ。昔話の登場人物たちと現代の女の子たちが、自分たちのしんどさや世間の理不尽さや男の勘違いについて、ああでもないこうでもないと語り合う。

 鉢かづき姫は頭に巨大な鉢をかぶり、美醜による嫁争いを拒絶する。「てか、自分の闘うフィールドはそこじゃないし」と。それに対して、顔面偏差値スクールカーストで戦力外通告された現代の女の子は強く共感する。「そんなフィールド降りてやるよ。何なら土俵ごとぶっ壊してやるわ」と。

 天女の機織姫はガチで一心不乱に機を織って働いていた。彼女の存在理由は仕事だ。とりあえずこれやっちゃわないと。心に余裕はないし、男に色目使ってる暇もない。が、人間の男がやって来て「君って凄くきれい」みたいなことを言う。どう考えても「マジギレ案件だよね」と現代の女の子は返す。こっちは仕事ドツボなのに、何言ってんだよ、と。あるいはまた、虫愛づる姫君は、趣味も見た目もマイノリティゆえに、同性からは反感を持たれ、異性からは「フツーにすれば可愛いのに」と上から目線で評価される。現代の女の子は、「自分の好きな服を着てスッピンで何が悪いんだよ」と、眉ボウボウで毛虫好きの虫愛づる姫君に共感する。

 そう、昔話のヤバい女の子たちは、世間が勝手に作った“女子かくあるべき”というルールやレギュレーションに異議申し立てをする勇ましい存在であったりもする。が、中には、大工である夫の失敗を自分のアイディアでカバーしたのに、「自分のアイディアで救われたのが分かると男の恥になるから……」と自殺してしまうおかめのような、別の意味でヤバい女の子も登場する。この場合、ヤバい思考回路に追い詰められている女の子、か。

 この本の昔話に登場する女の子たちには、全員「ヤバい」という形容詞が冠せられている。「喧嘩とヤバい女の子」「結婚とヤバい女の子」「顔とヤバい女の子」……のように。彼女らに冠せられた「ヤバい」という形容詞は、時に、「振り切れた」という意味であったり、「痛い」「辛い」「悲しい」という意味であったり、「あり得ない」とか「自由な」という意味であったりする。いずれにせよ、著者が最大級の共感や怒りをもって冠した「ヤバい」である。

 なぜなら、著者もまた、堂々たる日本のヤバい女の子の一人だからだ。著者・はらだ有彩のファッションブランド《mon・you・moyo》を見ると、それがよく分かる。「しぬまで踊り続ける呪い」をテーマにしたスカーフは、牡丹の花を中心に、赤い靴を履いた女の子の足がステップを踏むように並ぶ模様がプリントされている。呪術的で、蠱惑的で、強く、コケティッシュなスカーフは、当然、ヤバい女の子のためのものだ。そんなスカーフをデザインする著者が、時を超えて昔のヤバい女の子と語り合うガールズトークは、どんなにぶっ飛んでいて、愛おしさに満ちていて、笑えるんだろうか。女子たるもの、ページをめくって参戦せずにはいられないではないか。

文=ガンガーラ田津美