ジョブズもザッカーバーグも知っていた? 年収を倍にする脳の鍛え方!

ビジネス

公開日:2018/8/9

『走れば脳は強くなる』(重森健太/クロスメディア・パブリッシング)

 自分が中学生だった頃、同じクラスに、勉強も運動もめちゃめちゃできる奴がいた。バスケット部も3年までしっかりやった挙句、東京でトップクラスの高校を受験し合格した。何でもできる奴だなあと、嫉妬すら覚えないほどの格差を感じたものだったが、そのことを思い出させてくれたのがこの本。『走れば脳は強くなる』(重森健太/クロスメディア・パブリッシング)である。

■走れば年収が倍以上になる?

 走ることで鍛えられるのは「体」だけではない、走り方次第で「脳」も同時に鍛えることができる、というのが本書の主旨だ。世界各国の研究結果をもとに、走って脳を鍛えるメソッドなどを紹介している。

 たとえばトロント大学の教授によれば、年収750万円以上の人たちは、年収300万円以下の人たちに比べて、体を動かす回数が2倍多い傾向にあることがわかった。

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 この研究結果から導き出されるのは、体を動かすことで脳が刺激され脳の機能がアップ、仕事の効率が上がり、成功し、結果として年収が高くなる、ということだ。経営者や役員クラスがランニング、マラソン、トライアスロン、そしてジム通いを趣味にしていたりするのは、偶然の一致ではないのだ。

 冒頭の中学時代の友人は、しっかりと部活で走っていたからこそ、効率良く脳が鍛えられたのかもしれない。成果に直結するランニングは、誰にとっても最強のツールといえるだろう。

■新鮮な血流がドバドバ! ランニングで脳が活性化しクリアに!

 そもそもなぜ走ることで脳が鍛えられるのか。その理由は誰でも納得できる。筋肉を動かし、深く呼吸すれば、新鮮な酸素を含んだ血液が体をめぐり脳も満たしていく。記憶力を司る“海馬”と、思考力・集中力などを司る“前頭葉”が活性化され、脳の発達を促すのだ。

 気になるランニングの質と量だが、“運動強度60~80%のランニングを1日20~30分、週3回”でよいということだ。これは息がすぐに上がらない程度の強度で、普段あまり運動をしていない人であっても気軽に行い、続けられるのではないだろうか。本書にはおよそ3ヶ月で結果が出ると書かれている。

■走り方で高まる3つの“脳力”!

 活性化し、鍛えられる能力、ならぬ“脳力”。その主なものを3つ、走るメソッドと共に以下に書き出してみる。

●記憶力
 前述の通り海馬を刺激することで“走って、思い出して、記憶する”ことが鍛えられる。さらにすれ違う人の顔を覚えるようにすると、記憶する時の瞬発力トレーニングになるそうだ。運動前より運動後の方が20%も単語を早く覚えられた、というドイツでの調査結果も報告されている。

●集中力
 前頭葉が活性化している状況で“ひとりじゃんけん”などのデュアルタスクを行うと集中力が鍛えられる。また作業中つまってきたらいったん休み、別の集中力を必要とする後ろ走りを行ってみるのもおすすめだ。違ったことに集中することで脳のモードが切り替わり、また同じ作業に戻っても新鮮に取り組むことができるだろう。

●発想力
 会議前や短時間でアイディアを出す必要がある時のコツがある。その場でかなり本気の駆け足をしてみる、場所があれば思い切りダッシュする、階段を一気に駆け上がってみる。このような心拍数を一気に上げる運動をするのだ。すると前頭葉に新鮮な酸素を含んだ血液が大量に送り込まれ、思考がクリアになり、ひらめきが期待できる。スタンフォード大学の研究によると、座っているより動いている方が平均60%もクリエイティビティを発揮するそうだ。あのジョブズやザッカーバーグはこの効果をうまく取り入れ、散歩ミーティングを推奨していた。

■現代人があえて走らなければならないその理由

 テクノロジーの発達で移動が楽になった現代。しかし、今の走らない、体を動かさないライフスタイルは、脳を確実に退化させているだろう。けれども、走り方や走るタイミングを工夫すれば、記憶力・集中力・発想力などは高めていくことができる。ビジネスパーソンやクリエイティブな職業に就いている人には効果てきめんだろう。成功、年収アップも夢ではないはずだ。

文=古林恭