クソゲー世界を生き抜くために、残念な攻略対象たちのフラグをへし折れ!『転生王女は今日も旗を叩き折る』

マンガ・アニメ

2018/8/26

『転生王女は今日も旗を叩き折る』(著:玉岡かがり、原作:ビス/フロンティアワークス)

〈働く女性の読むサプリ〉をコンセプトにした女性向けライト文芸レーベル「アリアンローズ」。6月より始まった「アリアンローズコミックス」の書籍化も大好評で、人気小説のコミカライズが続々リリースされている。

 今月刊の『転生王女は今日も旗を叩き折る』は、頑張り屋の王女さまのフラグへし折り奮闘記だ。

 舞台はゲーム、それもクソゲーで名高い乙女系ゲームの世界だ。交通事故で命を落とし、ゲーム世界の王女ローゼマリーとして転生した主人公は、前世の記憶を活かして平穏な人生を送りたいと望む。しかし、クソゲーゆえのトラブルが次々に降りかかってくる――。

 乙女系ゲームの鉄則である逆ハーレム設定ながら、攻略対象(恋愛対象)とされている男性キャラクターたちは、揃いも揃って残念イケメン。対して、非攻略対象(恋愛対象外)である男性陣はおしなべて高スペックであり、中でも主人公のお気に入りは近衛騎士団長のレオンハルトだ。

 ゲームの規則に従うならば、彼を攻略するのは難しい。しかし、ローゼマリーは諦めない。前世の頃から憧れていたレオンハルトとの間にいつかフラグが立つように、そしていつそうなっても対応できるように、幼少期から自分磨きをスタート! さらに、平穏な暮らしのために攻略対象たちの性格を矯正、つまりフラグをへし折ってゆく。

 レオンハルト目指して頑張るローゼマリーのブレなさもさることながら、立ちはだかる(?)攻略キャラクターたちがまた強烈だ。

 重度のシスコンである弟ヨハンを筆頭に、自分しか愛することのできないナルシスト貴公子ゲオルク、マゾヒストにして忠実なしもべの護衛騎士クラウス、愛する女性を氷漬けにする天才魔導師ルッツ……。

 いずれも甲乙つけがたい残念ぶりながら、彼らは単なるアレな人ではなく、トラウマであったり、劣等感の裏返しだったりと、それぞれに複雑な事情を背負っている。言い換えればウイークポイントでもあるけれど、ローゼマリーは彼らのフラグを折る過程でその弱点を攻撃しない。トラウマが生まれることになる原因を回避したり、劣等感を自立心へと変身させる手助けをしたりする。

 その結果、残念イケメンから素敵なイケメンへとトランスフォームした攻略対象たちからますます慕われることになり、レオンハルトへの道はさらに遠ざかりそうな予感がしなくもないけれど……物語はまだ始まったばかりだ。

 コミックス第1巻と原作シリーズの最新第4巻が同時発売するので、漫画版と小説を見比べながら読んでみるのもきっと楽しいだろう。

文:皆川ちか