『ヲタクに恋は難しい』6巻は、“社員旅行”というイベントが発生…!【映画化決定】

マンガ

更新日:2018/8/27

『ヲタクに恋は難しい』(ふじた/一迅社)

 漫画、アニメ、ゲーム、ガンプラ、お笑い、映画…どのジャンルであれ、そこを突き詰めてオタク濃度を上げていくと、その分プライベートに支障が出てくる。

 漫画の最新巻の情報をチェックしながら、今クールのアニメを片っ端から追い、最新作のゲームを積んでいるオタクにとって、誰かと恋愛をするというのは、かなり高度なライフイベントになりうる。日々恋バナに花を咲かせ、常に頭は好きな人のことで頭がいっぱい、恋愛が最優先である人々に比べれば、その攻撃力は無に等しい。しかし、その分「初々しさ」というときめきがあるかもしれない。

 オタク同士の恋愛を描いた大人気作品『ヲタクに恋は難しい』(ふじた/一迅社)が、アニメ化に続き、実写映画化もされることになった。「オタク」の属性やライフスタイルを見事に描きながらも、それぞれのキャラクター自体も魅力的な当作品、まだキャストは発表されていないが、劇場で萌え悶えている自分は容易に想像できる。

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 そして、7月31日にはコミックス第6巻が発売された。映画化のニュースに沸き立つファンに、さらに最新巻という嬉しいコンボ。喜びいさんで書店に走った。

『ヲタクに恋は難しい』は、同じ職場で働く、ちょっとミーハーな隠れ腐女子のOL・桃瀬成海と重度のゲームオタクである二藤宏嵩の2人のカップルを中心に、さまざまなジャンルのオタク同士が恋愛を繰り広げる作品だ。

 巻を追うにつれて、成海たちと同僚である、男性キャラ専門のコスプレイヤー・小柳花子と隠れオタクの樺倉太郎カップル、宏嵩の弟・尚哉や、彼と同じ大学に通うゲームオタクの桜城光などのキャラクターも多く描かれるようになり、いろいろな「オタクの恋愛」が楽しめる。

 キャラクターが増えていくとメインの2人がおざなりになってしまいがちだが、この作品にその心配は無用。最新巻でも相変わらず宏嵩と成海の初々しいトキメキポイントは満載。しかもなんと、今回は社員旅行という非日常的なイベントも発生する。

 オタクならではの不器用さからか、“大人な恋愛”というよりも、“初々しい青春”のようなエピソードが多い当作品。社会人になってもこんな新鮮な恋ができるってちょっと羨ましいくらいだ。

 自由奔放な成海と、表情が顔に出にくいが成海のことを大好きな宏嵩、この鉄板カップルの萌えは最新巻でも健在。仲はいいんだけど、ちょっとぎこちない。付き合っているはずなのに、片思い感溢れる宏嵩に、つい「頑張れ!」とエールを送りたくなってしまう。

 また、オタクとは対極にいる超社交的な宏嵩の弟・尚哉と、重度なコミュ障のゲーオタ・光との関係性も少しずつ進展していたり、小柳の樺倉に対する相変わらずなツンデレ対応にノックアウトされたりと、最初から最後までキュンキュンし続ける、大満足な1冊。

 自分の趣味を楽しみ、相手の趣味を尊重しながら、楽しいことはシェアしたり、ちょっとしたことにときめいたり。読み進めるほど、「オタクっていいな」という気持ちと「恋っていいな」という気持ちがどちらも湧いてくる。ゆっくりだが確実に絆が深まっていくさまざまなカップルのこの先が見逃せない。

文=園田菜々