発想力や企画力を手に入れるには… 1日たった5分で学べる、偉人たちの生き方とアイデア

ビジネス

公開日:2018/9/4

『いつもの仕事と日常が5分で輝く すごいイノベーター70人のアイデア』(ポール・スローン:著、中川 泉:訳/TAC出版)

 新しい一歩を踏み出したい、何か革新的なことがしたい、と思っても「凡人である自分には無理」「そんな良いアイデア浮かばない」と諦めてしまう人は多い。だが社会に出ると、否応なしにそういった行動が求められることもある。どんな仕事でも、発想力や企画力がある人は重宝されるし、必要とされるものだ。

 そこでぜひ手に取ってほしい本がある。『いつもの仕事と日常が5分で輝く すごいイノベーター70人のアイデア』(ポール・スローン:著、中川 泉:訳/TAC出版)だ。本書は、偉大なイノベーターたちの生涯をはじめ、彼(彼女)らがおこなったイノベーションの根元にあるアイデア、手法などが書かれた本。成し遂げられた結果だけを見るのではなく、そこに至るまでの生き方、考え方から見ていくことで、発想の出し方を学ぶことができる、というわけだ。

 たとえば、イケアの創業者であるイングヴァル・カンプラード氏は、家具を組み立て式という形で販売することで輸送費や保管費を削減し、商品を安く提供することに成功した。カンプラード氏は農家の生まれで、幼い頃から倹約の精神を叩き込まれたそうだ。

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 6歳からマッチを売る仕事をはじめ、大量に仕入れ小分けにして売る、という商売の基本を学んでいた。彼は資産家になってからも倹約の精神を忘れず事業を進め、2017年時点で世界中に400店舗以上を展開している。お客さんに組み立てさせるなんて…という考えを捨て、安く提供することで、結果多くの人に喜ばれたのだ。組み立て式の家具は、通販などで今や常識となっている。

 また、「人魚姫」「裸の王様」を書いた童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン氏は、貧しい家庭に生まれた。精神科病院で庭師をしていた祖母の影響で病院を訪れる機会が多く、そこで入院患者たちから奇妙奇天烈な話を聞かされていたそう。

 その後人生で最も暗く辛い時期だったと話している学生時代を送り、役者を経て執筆をするようになったのだとか。彼の創るバラエティに富んだ物語は、こういったさまざまな経験があってこそなのかもしれない。人と違う斬新なアイデアを求めるなら、さまざまな、不特定多数の人と交流するのが良い、と書かれている。

 アマゾンの創設者でありCEOのジェフ・ベゾス氏は、幼いころからコンピューターに強い関心を持っていたそうだ。1994年、自宅のガレージでアマゾンを立ち上げてバーチャル書店を開いたところ、瞬く間に成長し、大成功となった。

 その後も他者に先駆けてさまざまなサービスを実践し、今なお拡大し続けている。すべてのイノベーションが成功しているわけではなく、中には失敗に終わったものもあるが、それでもベゾス氏の興味は尽きることがない。他人にやられる前に自社で、という考えのもと、余剰能力を余すところなく活かしている。

 このように、それぞれ置かれた立場や生きてきた中で得た感覚、知識、興味を活かし、社会に存在する不便さを見つけ、便利さを生み出し成功している。本書を読んでいると、「そういえば…」という思い付きや過去に感じた何らかの感覚が呼び覚まされる。

 自分が働いている分野と離れている偉人の話でも、読むと意外と気づきはあるもの。本書内でも言われているが、この本は1ページ目から読む必要はない。目次を見て、気になった人のページだけ読めばいい。70人の偉人の、200以上のアイデアが、きっと新しい発想の種となってくれるはずだ。

文=月乃雫