SNS消費時代でモノを売るには? 知っておきたい!「3つのF」

ビジネス

2018/9/5

『「3つのF」が価値になる! SNS消費時代のモノの売り方』(藤村正宏/日本経済新聞出版社)

 今年の夏は「命に関わる危険な暑さ」とニュースでも注意を呼びかけるほどの酷暑となった。クーラーや冷風機などを新たに買った、という人も多かったのではないだろうか。このように、何か商品を購入したいと思ったときに“信頼できる”情報は何だろう。販売サイトのレビューや口コミか。それともリアルな知り合いとの会話や、SNSつながりでのやりとりか。

『「3つのF」が価値になる! SNS消費時代のモノの売り方』(藤村正宏/日本経済新聞出版社)は、消費者に体験を売る手法「エクスペリエンス・マーケティング」の考え方で企業や個人商店の集客のコンサルティングを行ってきた著者が、今後のマーケティングの在り方とSNSの関係性について考察した1冊だ。

 個人が何らかのSNSを利用する、発信するという行為はこの十数年で急激に拡大した。若い世代であればあるほど今や複数のSNSに登録は当たり前、チェックすることも生活の一部となっている。中年層以上でもSNSがビジネスや趣味などのさまざまなコミュニティー作りに欠かせないツールになっており、活況といっても差し支えないだろう。

 その一方で、著者はSNS離れという逆行現象も実感しているという。

これからはSNS淘汰時代が始まります。
個が出ていない投稿はますます見られなくなっていく。(略)
つながっている人たちが喜ぶ情報とはなんだろう。そう考えることがますます重要になるのです。

 さらに、モノの消費でもわかりきっていることとして、どんなモノでも「量」を求める時代はとっくに終わっている。代わりに求められているのは「質」である。ここでいう「質」とは「商品の差」とは少し違う。クーラーだろうが、スマホだろうが、商品自体は「どこで買っても同じ、どれを買っても同じ」時代だ。消費を決定づけるものは何なのか。

そんな時代に消費を決定するのは「関係性」による場合が多くなります。「はじめに」で述べた「3つのF」です。友達、知人、つながっている人から買う。
あるいは広告や宣伝は信じられないから、家族、友達、フォロワーの情報で買う。
そんなケースが多くなるわけです。
だから企業は消費者との関係性の「質」を上げていくことを求められています。

「3つのF」とは“家族(Family)、友人(Friend)、フォロワー(Follower)”のことだ。なお、このフォロワーとは「すでにファンのようになってくれているフォロワー」という定義だ。共通項は「本音」で語り合える間柄、すなわち信頼できる関係性を持つことが大切なのだ。

 もうひとつ、ビジネスを発信する側の心得として“楽しんでやることが大前提”だともいう。本書後半の「お酒の飲めない酒屋三代目」や「2000万円の住宅をインスタグラムの共感で売る工務店」などの好事例を読むと、SNSにおける「ゆるやかな関係性」を構築することでこれまでの販売促進では得られないような影響力や利益をもたらすことも可能だということがよくわかる。

 仕事を、人生を、いかに楽しんでいるかの「見える化」次第で企業も個人もファン獲得に直結する時代が、もう始まっている。SNSを活用してビジネスを発展させたい人はもちろん、個人のブランディングにも役立つ本書である。

文=小林みさえ