欅坂46・平手友梨奈主演映画『響 -HIBIKI-』の原作! 天才でまっすぐで暴力的な文学女子高生が巻き起こす、予測不可能な人間ドラマ!

アニメ・マンガ

2018/9/14

『響~小説家になる方法~』(柳本光晴/小学館)

 異世界転移や特殊能力、喋れる動物など、マンガの世界にはあり得ないものが溢れている。だがそれは、設定や作品の雰囲気で「それが許される世界」もしくは「そういうキャラクター」として描かれることが多い。2017年マンガ大賞を受賞した『響~小説家になる方法~』(柳本光晴/小学館)は、そんな思い込みをばっさり壊し、衝撃を与えてくれる。現代の日本が舞台のファンタジーでもギャグでもない学園もので、大人しそうな文学好きの女子高生が淡々と暴力的、なんて展開は、普通想像しない。

 本作品の主人公・鮎喰響は、本が大好きな女の子。その本好きは常軌を逸しており、高校1年生にして月30冊~40冊読破している。友達も作らず、彼女に片思い中のイケメン男子・椿涼太郎に対しても、そっけない態度でただただひたすら本を読んでいる。

 一見すると大人しい性格に思われるが、強烈で迷いのない、かつ容赦ない物言い、そして暴力的な行為に驚く。不良男子の小指を骨折させ、並びが気に入らない本棚を倒し、子供相手でも容赦なく蹴りを入れる。などなど。響はこれらの行為を、まったく悪びれることなく、淡々と遂行する。まるで感情が欠如しているかのようなその行動は予測不可能で、ただただ唖然とさせられる。

 一方、彼女にはとんでもない才能がある。それは、文芸界に革命を起こすであろう革新的な小説を書く能力だ。響はある時、「感想が聞きたい」という理由で小論社文芸編集部の新人賞に応募する。その原稿は応募要項を完全に無視しており、本来なら読まれることなく終わってしまうはずだったが、たまたま編集部員・花井がそれを読んだことで物語が動き出す。

 その作品は、花井に衝撃を与えるものだった。この作品を逃すのは業界全体の損失だと思わせるほどの才能だった。響は連絡先も書かずに原稿を送っていたが、花井は執念でその作品を新人賞の選考対象にし、響を探し始めるのだ。

 響を見ていると、「天才は凡人には理解できない」という殴られるような感覚と、まっすぐすぎる生き方への羨望のような感情が入り混じる。常識的に考えてあり得ない行動も、彼女の中では何ひとつ間違っていないのだ。ただ思ったことを口にし、必要だから動いている。自分の尺度と現実とのギャップを埋められず、ただただ制御できずにいる。する気もない。それでも彼女の圧倒的な才能の前では皆無力で、彼女の小説を読み、言葉に触れることで常識を塗り替えられていく――。

 響の小説が世に出た時、社会にどんな影響をもたらすのか、響は“世の常識”と折り合いをつけられるのか、また、響の所属している文芸部の先輩・リカの心に巣食う、響の才能に対する嫉妬心はどうなっていくのか――どこをとっても気になることだらけだ。

 この『響~小説家になる方法~』は、現在10巻まで刊行されている。また、『響 -HIBIKI-』として実写映画化も決定しており、こちらは今年2018年9月14日(金)公開だ。響の才能はマンガの中だけにとどまらず、これからより一層、現実世界にも衝撃を与えてくれそうだ。

文=月乃雫