あなたはお金に強い人? 弱い人? インド人大富豪が教えるポジティブなお金の考え方

暮らし

公開日:2018/9/15

『これからの時代のお金に強い人、弱い人』(サチン・チョードリー/フォレスト出版)

 とあるサラリーマンが休日に何やらつぶやいている。“あーあ、今月もクレジットの請求が来ちゃった。お金持ちならいちいち悩まないで済むんだろうなぁ…そういや、アイツが言ってた投資話にいっそ乗ってみるか! いや、待て待て、その前に投資セミナーに参加してみるのもアリか。テレビで見たことがある有名なあの人やこの人のセミナーを調べてっと…え!? どっちも満席かよ。もういいや、気分転換にコーヒー飲みに行こうっと”。

…この人物は、お金に強い人? それとも弱い人?

 本書『これからの時代のお金に強い人、弱い人』(サチン・チョードリー/フォレスト出版)は、お金に強くなる21のルールを「“マインド”を変える」「“習慣”を変える」「“学び”を変える」「“行動”を変える」の4章に分け構成。著者が見てきた日本人の特徴からお金や投資について“お金に強くなるための”成功者に共通している考え方を提示する1冊となっている。

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 ひとつ、お金に強くなる21のルールより「キーワード13 誰を信じるか」を一部紹介しよう。

・お金に強い人は、成功者やプロの言うことを聞く
・お金に弱い人は、友達の言うことを聞く
すぐ身近にいる人の話のほうが耳に入りやすくなるのかもしれませんが、私はこういうことだと思っています。自分の都合のいいほうを選択してしまうのです。

・人は、自分が信じたい情報を信じてしまうクセがある(略)
だからこそ、誰の言うことを信じるのか、自分で決めていく意味があるのです。

 さらに同じ項目でメンター(助言者)についても「お金に弱い人ほど、セミナージプシーになる」の箇所で語っている。

私は「お金についてのメンター」を持ちなさいという話をよくします。メンターに相談したり、メンターを目標にして頑張る。そうすることで、向かうべき方向がわかりやすくなるからです。
ところが、このメンターが何人もいたらどうなるか。もっといえば、ぜんぜん違うタイプの人をメンターにしてしまったらどうなるか。混乱してしまうに決まっています。(略)オバマ前大統領とトランプ現大統領に両方、師事するようなものです。

 他のキーワードもいくつか取り上げておこう。「お金を信じる」「スピーディに動く」「自分をマネジメントする」「自分のためにお金を使う」「テレビは見ない」「安全にお金を増やしていく」「買い時に気をつける」など。本書後半は投資の分散方法や考え方を述べ、より実践的で初心者でもわかりやすい解説となっている。

 さて、冒頭のサラリーマンがお金に強いか弱いかは、もうおわかりだろう。お金に強い人と弱い人の比較文は21のルール全項目に掲載されているので、お金に対する自分のウィークポイントがチェックできる。構成されている順番にこだわらず、自分ができる項目から実践していくと、確実にお金に強い人に近づいていけるのではないだろうか。

 また、本書の特別企画である世界三大投資家・ジム・ロジャーズ氏のシークレット・インタビューも見逃せない。冷静な投資家目線から見た今後の日本の展望や、投資の基本姿勢について語られている。

 著者のサチン・チョードリー氏は、既に有名な実業家であり、国際コンサルタントだ。インドで生まれ、幼少の一時期、ちょうどバブルの時代に日本に在住。その時の日本の印象が忘れられず23歳で再来日。日本語の習得や日本独自のビジネスのやり方に苦戦しながらも、インドの大富豪の考え方である“ジュガール”をきっかけに今の地位を築き上げた。本書の文章も全体を通して大変読みやすく、これからの日本の事を案じて執筆されたことがよくわかる。日本愛にあふれたメッセージとなっている「おわりに」まで、ぜひ読んでほしい。

 人生において学ぶこと、自分にとって揺るがない信念を持つことの大切さが、ひしひしと伝わってくる1冊だ。

文=小林みさえ