わたしの「いつも」が命を救う! 毎日の生活に取り入れたい“暮らしの防災術”

暮らし

更新日:2020/9/1

『東京くらし防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課/東京都)

 メディアで他県の災害情報を目にしても、具体的に何をしていいのか分からないと思い、防災ができない人は多いはず。そんなモヤモヤを抱えている人でも防災を始められるように…との願いを込めて作られたのが『東京くらし防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課/東京都)だ。

 女性視点の防災ブックとなっている本書には、日常生活のちょっとした工夫でできる防災術や避難所生活の乗り越え方などが掲載されている。

■外出時にできる防災術とは?

 災害時に備えて、家庭で非常用袋を用意している方も多いかもしれないが、外出先で被災してしまう可能性もある。そんなときに命を守るには、日頃から「ここで地震が起きたらどうするか」と考え、通勤・通学路にある危険物をチェックしておくことが大切だ。

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 チェックポイントは「転倒・落下物」「身を守るための場所」「避難ルート」の3点。屋外では物が倒れたり、落ちてきたりする危険性があるので、逃げ場を確保できるような広い道路や安全な避難ルートをあらかじめ見つけ出しておこう。

 商業施設や会社にいるときは天井のオブジェが落下してきたり、トイレが開かなくなってしまう可能性があるので、日頃から危険なポイントを確認したり、トイレに行くときは友達や同僚に一声かけることを癖づけたりしていくことも重要だ。

 また、外出時はおしゃれの中にさりげなく防災アイテムを取り入れてみよう。安全性の高い外出スタイルをするには「肌の露出が少ない服装」「歩きやすい靴」「両手がふさがらないバッグ」の3ポイントを意識してみてほしい。秋冬に大活躍してくれる大判ストールは災害時にマスクや日よけ、ブランケット、避難所での間仕切り代わりとしても活用できるので、ぜひオフィスコーデにも取り入れてみてほしい。

■親が子どもに教えたい防災術とは?

 小さなお子さんがいる方は特に、災害時はどんな行動をしたらよいのか不安に思ってしまうもの。こうした不安を解決するには、日頃から家の中や通園・通学路にある危険な箇所を子どもと一緒にチェックしたり、遊びを交えたりしながら子どもにも防災の大切さを教えていく必要がある。

 たとえば、子どもと一緒に外遊びをするときは、もしもに備えた練習をしてみよう。緊急用のホイッスルが吹けるか試してみたり、備蓄食品をラップで覆ったお皿で食べてみるなど、ほんの少しの工夫で子どもにも災害時の暮らしを体験させ、防災意識を高めてみてほしい。

 近年はスマートフォンが子どもたちの間でも普及しているため、公衆電話の使い方をしらない子が多くなってきているので、災害時に備え、使い方の練習をさせておくのがおすすめだ。

 ワンタッチで電話がかけられるスマートフォンに慣れている現代っ子は親の電話番号を暗記していないことも多いので、これを機に電話番号を暗記させたり、番号を書いたメモを持たせるようにしてみよう。

 暮らしの中でできる防災術から災害後の生活再建法までもが収録されている本書は、いざというときに役立つ1冊だ。各ページには音声コードが印刷されており、スマートフォン専用アプリなどで読み取ると、音声で内容が確認できるようにも配慮されている。

 防災で一番大切なのは、自分や大切な人の命を守ること。もしものときはパニックになってしまうのが当たり前だからこそ、日々の生活の中にちょっとした防災術を取り入れ、パニックになっても生き抜けるよう、準備しておこう。

文=古川諭香